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電磁石を使った実験・工作 2
   
2009/08/14

 電磁石を使った簡単な工作の二つ目はクリップモーターです。
 実は私の作った物は材料としてクリップを使ってはいないのですが、
 原理的にはクリップモーターですので同じ名称を使います。

 小学校の理科の授業でこのクリップモーター工作はやられている
 ようですが(何年生かは不明。)、インターネットで調べてみるとどう
 もきちんとした動作説明や、うまく回る物を作るために重要な点の説
 明が不十分な場合もありそうです。

 そこで単に作り方を紹介するのではなく、『回る原理』『うまく回す
 にはどうしたら良いか』
『工作上で大事な所』などについてお話
 しようと思います。

 最初にクリップモーターが何であるかをご存じない方のためにお話
 ししましょう。 左の写真が私が作ってみた物です。  中央に見える
 物はエナメル線を巻いて作ったコイルでその巻き始めと巻き終わり
 は横に引き出して回転軸になっています。 それを導線を曲げて
 作った物干竿受けのような支柱に載せてあり、その下側は乾電池
 (アルカリ単三型)に接触するようセロファンテープで固定してあります。 電池が転がらないよう2本の細い棒を並べてその上に電池を載せ、その電池の上にフェライト磁石がくっついています。

とまあ大変簡単な構造なのですがこれが実にうまく回ります。 上の画像をクリックしてみてください。 動画にてクルクルと軽やかに回転する様子がご覧いただけます。


モーターが回転する原理

 理解しやすくするため電磁石を回転軸の付いた棒磁石に変えそれを真横から見た図を左に示します。

 図の状態では回転させたい電磁石側と下においた磁石のNとSが引き合った状態
 になっているため(引力)、回転するような力は働きません。 しかし右の図のよう
 にNとN(またはSとS)が近づくように置くと反発力のために(斥力)磁石はどちらか
 に回ります。 そして半回転すると左の図の状態になりそこで止まります。

 これでは半回転しかしませんのでもう一工夫しないと上の動画のように回り続けて
 はくれません。 そしてその方法には二通りあります。

 第一番目の方法はこれがクリップモーターの回転原理なのですが、右のように回
 転を始めたら電磁石への電流を止めてしまいます。 そうすると電磁石は磁石とし
 ての機能がなくなりますから半回転した所で引き合って止まることはなく惰性で更
に回ります。  そして1回転した位置に戻った時に再び電流を流します。 そうするとNとNまたはSとSに
よる斥力が発生して回転力が発生し回り続けることが出来ます。

電子ブランコの時には斥力で回転することは出来ませんでしたが、真下に来たときに電流を流してやることでブランコを継続して揺れさせました。 クリップモーターではNとN或いはSとSが1回転するたびに出来るようにしてその斥力で回転が続くわけで動作として大変似ているところがあります。

もうひとつの回転を持続させる方法は、半回転するたびに電流を流す方向を反対にしてやる方法
です。 最初に上の右の図の状態で回転し始めますが、半回転したら電流の流れる方向を反対に
します。  そうすると上の左の図のようにはならず、反発力が発生するNとN、或いはSとSが向き
合う形になります。  そうすると斥力により回転が続き半回転、そこで電流の流れる向きが変わ
るので再び斥力が発生し・・・・・と回転が持続します。

この電流を流す方向を反対にするための仕掛けは複雑にはなりますが、大きな回転力を得るた
めのテクニックであり、電動工具などに使われるパワーのあるものから電気工作に使われるモー
ター(例えば右写真のマブチモーター)でも使われています。

電流を流したり止めたりするにはどうすれば良いか? 或いはどのように加工すればよいか? 電子ブランコと似た部分が多々ありますので、それを参考にして考えてみてください。 



2009/08/21

クリップモーターの構造種明かし

 最初に先週の答えと言うかこのクリップモーターが回転
 する構造についてお話します。

 左の図は先週説明した続きで更に追加してあります。
 回転する軸は判りやすくするため大変太く描いてありま
 すが、エナメル線で出来たコイル(オレンジ色の部分。)
 の巻き始めと巻き終わりになっています。

 回転軸の表面には絶縁被覆(黒)が施されていますが、
 左側では曲がった導線(赤色)と接触している部分は被
 覆が剥がされ電気的につながるようにします。
 そうするとコイルに電流が流れて目には見えませんが棒
 磁石(灰色の点線の枠内)が発生し、これと下のフェライ
 ト磁石は同じ極(NとNまたはSとS)が向かい合った状態
 にあるとします。(NとSになるのであれば電池を逆に繋げ
 ば良い!)
   そうすると同じ極どおしですから反発して
 どちらかに回転します。

 半回転したところでは絶縁被覆は剥がされてませんので
 電気的には繋がっていないため電磁石ではなくなります。  このため回り続けますが、さらに半回転すると左側の図となり、電気的に繋がって同じ極どおしなので反発して・・・・・・・と回転が継続するようになります。

よって右の図のように、巻いたコイルの巻き面に面した導線の被膜を剥がしてやれば
良いのですが、私の実験結果では剥がす角度は90度〜120度が良いように思います。
(半分以上剥がしてしまうとうまく回りにくくなります。)

ここで少々脱線なのですが、インターネットでクリップモーターの製作紹介をしているサ
イトがいくつかありますが、それらでは『導線の片側は全て(360度)被覆を剥がす
こと!』
と説明しています。 何故そうするのか私には理由が良く判りません。

原理的には上で解説しているように、コイルで出来る円の面に向いた巻始めと巻き終
りの両方の被覆を(角度で90 - 180度)剥がせば間違いなく回ります。
エナメル線の片側の被覆を360度剥がしても回転を悪化させることはありませんが、全
て剥がすのは意外に厄介ですから、うまく回らないときにこれが原因かとつまづく元に
なるかもしれません。  またもう一方の被覆を剥がす方法も剥がす方向が明確に表
現してなく、単に『半分削る!』という記述も見かけます。

念のためもう一度申しあげると、導線の片側を360度被覆を剥がす必要はありませ
ん。 両側共に同じ剥がし方でOKです。  但し『90度〜120度剥がす部分』は、コイ
ルの円の面方向になっている必要があります。

この点はうまく回転させるための重要部分ですので、次に紹介する作り方中の写真も
よくご覧いただき、間違えないようご注意ください。


クリップモーターの作り方

以下は私が試作したクリップモーターの製作方法の全手順です。 うまくスムーズに回転させるためにはコイルをきちんと作るのが鍵ですので、簡単にひしゃげないようエポキシ接着剤で固めるなど、手間と時間の掛かる方法にしています。 その為動作の安定性はすこぶる付きの良好なものであることをお断りしておきます。

コイルの巻き枠にはフィルムの容器を使いました。 これはポリエチレンで出来ているためエポキシ接着剤が付いてしまうことなく、緩いテーパーが付いているので外す時も好都合です。

0.5mmのエナメル線(またはポリウレタン線)の端を椅子に固定してピンと張り10回巻きします。 そしてセロファンテープ(今はウレタンテープかもしれないが?)で巻き始めと巻き終りの部分に貼って(矢印部分)バラけ防止とします。

赤矢印範囲がセロファンテープを貼った部分ですが、それ以外の部分にエポキシ接着剤(30分硬化開始型)を楊枝で塗りつけます。

エポキシ接着剤を塗った後です。 一番下の線はちょっとバラケ気味で隣と離れていますが?

エポキシ接着剤を混合後20分以上経つと化学反応で粘度がどんどん上がってきますので、頃合を見計らってバラケ気味の線を楊枝の先で揃えてやります。

そうするとこのように巻線どおしの隙間が全くない状態で接着剤は固まります。(約2時間放置します。)

次にバラケ防止のテープを剥がし線の端をこのように巻いて折り曲げ、矢印部分にセロファンテープを貼り固定します。

反対側の線の端も同様に処理しますが、曲げた位置が容器の丁度反対側に来るよう調節しておきます。 そしてこれらの線の上にエポキシ接着剤を塗って固定します。(2時間放置。)

テープを剥がしてから巻枠からコイルを外しますが、フィルム容器の底方向に向かって爪をコイルに引っ掛けて押してやります。 最初はかなり力がいりますが、押す場所を少しずつ移動しながら徐々に外して行きます。 (この時接着したコイルがばらばらになる心配は先ずありません。)

フィルム容器から外した状態でエポキシ接着剤がはみ出たまま付いています。 これをカッターナイフで削り取ってやります。

コイルを横から見てこんな具合になるよう線を曲げて調節します。 この調節はスムーズに回すために大変重要です。

それを90度回転するとこんな感じです。 エナメル線の端同士を結んだ線(黄色の点線)はコイルの円の中心を通るよう調節します。

エナメル線の被覆はがしの方法です。 コイルの中心が上下を向くようにして端の被覆をカッターナイフで20mm程度削ります。更にコイルを少し捻って(回転させて)削る角度が90-120度になるようにします。 それが済んだら水平方向に180度回転させて反対側も同様に剥がします。

モーターの軸受けには0.5-1.0mmの錫メッキ銅線を使いました。 その片端の先端を折り曲げて単三電池の電極に当ててセロファンテープで固定します。 電池の反対側も別な導線を同様に固定します。(この部分にクリップを引き伸ばして使うのでクリップモーターと呼ぶようですが、銅線のほうが指で簡単に曲がるのと、伝導性が高いので使っています。)

それぞれの線の上端はこのように曲げてやりますが、矢印の先の谷部分にモーターの回転軸が乗っかります。

その電池の上にフェライト磁石を貼り付けます。 また電池が回転しないように工夫しましょう。 ここでは小型のクランプを使っていますが、他にも色々方法があります。

そしてコイルを載せてやると回転し始めます。 コイルを載せてもうまく回らないときにはコイルの左右を逆に載せたり、コイルの端を削った部分が下向きになるように載せてみてください。 先週お見せした状態ではフェライト磁石を3枚重ねとしていましたが、1枚でも全く問題なく良く回ります。(上の画像をクリックすると動画にて回転する様子をご覧いただけます。)


モーターをうまく回すためのテクニック

1.コイルの出来栄えが大きな鍵
  良好に且つ安定的に回るようにするにはなんと言ってもコイルの出来栄えが重要です。 具体的には出来るだけ軽く簡単に
  つぶれない強度を持ち、指でコイルからの引き出し線を摘んで回した時にブルンブルンと震えることの少ないコイルが作れれ
  ば、殆ど成功したようなものです。

  クリップモーターの製作例でエポキシ接着剤でコイルを固めてしまう方法を取っている例は見かけませんが、軽くて簡単につ
  ぶれない効果は絶大です。 またコイルの巻き方も1段で済みますので回転した時の空気抵抗も小さいはずで、作るのは
  少々面倒で時間も掛かりますが私はベストな方法だと考えています。

  引き出し線を指で摘んで回した時に震えが発生するのは専門的には、「ダイナミックバランスが取れていない!」ということ
  で、自動車のタイヤを交換すると必ずタイヤを高速回転させて振れ具合を点検し、ブレがあれば小さな錘をタイヤとホィール
  の間に挟んで震えが出ないようにしますが、これがダイナミックバランスです。

  クリップモーターではそれ程シビアーに考える必要は無いものの、コイルの引き出し線がコイルの円の中心を通るようにとか、
  コイルの固定のために塗るエポキシ接着剤はなるべく均等にならすとかはしておいた方が良いでしょう。

2.接触不良に注意
  コイルに安定的に電流を流すためにコイルの引き出し線で被覆を剥がした部分と、コイルを受けるU字型に曲げた部分の接
  触が確実で無いと安定的に連続して回ってくれません。 ここを確実にするにはコイルからの引き出し線(回転軸)がふにゃ
  ふにゃと曲がっていないことと、U字型の受けの部分に錆がないことなどに気をつけると良いでしょう。 また引き出し線の被
  覆を剥がした部分が滑らかではなくがさがさしていると、接触がうまく無いだけでなく摩擦が増大して具合の悪いこともあるよ
  うです。

3.電池の寿命は余り長くない
  クリップモーターを1分以上回してから止めてコイル部分に触ると温度が高くなっていることが判ります。 かなり高速回転して
  いて強制空冷状態にあるにしては発熱量が大きいと思いますが、これは大きな電流が流れているのが原因です。

  大電流を流した時の電池の寿命はかなり短くなりますので、うまく回らないと感じた時に電池を疑って見る必要があります。
  これは少々高等技術になりますが、モーターへに流れる電流を短時間にすることにより電池の寿命を延ばすことが可能で
  す。

  考え方としては次のようになります。
  コイルに流れる電流は間歇的になっていますが、例えば引き出し線の半分を削ったとすると、1回転で流れる時
  間と流れない時間は同じになります。 従って削る角度を減らして例えば120度にしたとすれば、1回転(360度)の1/3の時間
  だけ電流が流れ、残りの2/3は電流が流れません。 これだけで電池の寿命は50%位長くなります。

  それでは更に削る角度を小さくすれば良いじゃないか?!という発想が出てきますが、私自身が試してはいないもののうまく
  回転できなくなる可能性が高くなります。 それはコイルを跳ね上げる反発力が発生する時間が短くなるので、電流が途絶え
  た時に惰性で回る力も下がってしまうことによります。 よって1個しか使っていないフェライト磁石を複数個使う、もっと強力な
  物に変更する、コイルの両側にフェライト磁石を置くなど、反発力を高める手立てが必要になります。

とまあ簡単に作れるクリップモーターながら、突っ込んで考え出すと大変奥が深く興味が尽きません。 皆さんも色々試してみてください。




 
  
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