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中荷重の場合の組立て方法
2004/04/23

中荷重の場合の組立て方法

前回の軽荷重が10kg位を上限の目安としていたのに対し中荷重では50-60kg位の荷重を上限として考えることにしたい。 簡単に言ってしまえば人間一人がそっと載っても壊れない接合方法である。

この場合の接合方法には2通りある。 第一がネジと木工ボンドを併用する方法で、第二が木ダボと木工ボンド併用の接合だ。 前者は3.3φ-3.8φのスレンダースレッドネジを使用するが、その長さは板厚の2倍から3倍の間と考えればよい。 12mmの板厚であれば25mm-35mm15mmの板厚であれば30mm-45mm18mmの板厚であれば35mm-55mmということになる。
使用本数についてはネジとネジの間で浮上るようでは間隔がありすぎだで15cm位の間隔が一応の目安と考えてよい。 

 接合強度は使用するネジの本数により上昇するが、気をつけねばならな
 いのは、接合面に隙間が出来ないようにすることである。

 何故隙間が出来てはまずいかは木工ボンド自身の接合力が密着度に依
 存しているわけで、ネジを正しく使ったときにはネジの締め付け力は密着
 度の増加に大きく寄与するが間違った使い方をすると密着度が上がらな
 いからだ。

 左の写真はmini-Shopで販売している35mm45mm55mmのスレ
 ンダースレッドネジと右端は手持ちの40mmのタッピングネジであり、私
 の使用頻度が最も高いネジである。

 よく見るとタッピングネジには全体にネジが切られているにも拘らず、スレ
 ンダースレッドネジの場合全長の約1/3はネジが切られていない。
 これは手抜きでそうなったのではなく意識的にネジが切られていない。

 種明かしをすると右端のタッピングネジは、スレンダースレッドネジよりも
 ピッチが細かいため締結力も高いのだが、これを使うときには要注意な
 のである。

 左の図の一番左側はスレンダースレッドネジでネジが切られていない
 部分と上の板厚が等しい時で、スレンダースレッドネジは上の板に対し
 ては食い込まない。 従って密着度は十分に上がる。 

 それに対し全ネジとなっている真中の場合には上の板にネジが食い込
 んでいるので、ネジがもぐるほど締め付けても板と板の密着度は上がら
 ず隙間が出来易い。

 このような場合には右のようにネジ径と同径の下穴をあけてやれば、上
 の板にネジは食い込まないから、密着度は十分に上がる。

 このような背景があるので一般的にはスレンダースレッドネジを使った
 ほうが合理的であり、上板の厚みの3倍の長さのネジを使用すれば
 作業性もよく締結力は最高になる。

 但し下穴をあけるネジ締めの方法はは別な面から、特にネジ締めの初
 心者にお奨めしたい。
 というのは、下穴をあけることにネジ締めの初期にあるネジの先がぐら
 つく現象がなくなることと、曲がって捻じ込んでしまうことを防止できる点
 にある。    同じ下穴でも目的が異なるので、このような場合には、
 2.5mm-3.0mmのやや小さめの穴で目的を達成できる。

 ところでスレンダースレッドネジを締めこむ時に0.5-1.0mm程度の位
 置ずれが起き易い。 これは先端が偏芯していて味噌すり運動が起き
 るためだ。 このずれを防止するには、前回申し上げた隠し釘で予め接
 合位置を調節して仮止めした上でネジ締めすればよい。

 えらく面倒なようだが、後で接合位置の凸凹を修正したり組立寸法が
 狂ってしまうわずらわしさを考えれば、十分に価値のある手法である。  

註)最近のスレンダースレッドネジはここで説明したネジを切った部分(全長の1/3)がより長くなっている傾向にある。
  (理由は不明)従って完全な締結には下穴を無条件であけておいた方が良い。


木ダボを使用した接合はネジによる締結よりも高等技術になるが、ネジの頭が見えないため木目を生かすニス仕上には大変都合がよい。 しかし木ダボで接合した場合にはネジのような締め付け力が期待できないので他の方法で密着度を高める必要がある。 クランプ、ハタ金の使用や隠し釘が具体的な方法であるが、締め付け力はこの順序で低くなって行くので選択には注意が必要だ。

使用する木ダボの太さの選択基準、木ダボの穴あけ上のノウハウなどは、「材料の特質と使い方」で詳しく解説しているのでそちらを参考されたい。 この接ぎ方をマスターできると日曜大工としての外観上の出来栄えは最高レベルになれるといえる。


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