HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop

 
トナカイの物入れ
2003/11/07

トナカイの物入れ

構想

 2日前に行きつけのホームセンターに入ったところ早くもクリスマス用に店内の模様替えが行わ
 れていました。  今年ももうそんな季節か!と考えながらその昔アメリカに滞在していた際家内
 がどこからか買ってきた木製のトナカイの物入れを思い出しました。

 クリスマスの歌にある「赤鼻のトナカイさん」といった風情のその物入れというか飾り物は、ざつ
 い作り方ではあるもののそれがまた素朴な感覚でほのぼのとした雰囲気を与えてくれます。
 家族の一人がそれを欲しいというので、それじゃコピーを作ろうか?ということになりましたが、工
 作精度が云々というテーマではありませんので、日曜大工入門用のテーマにもってこいと、急遽
 紹介することにしました。

現物を採寸して図面化しましたが、ほんの少し寸法を修正するだけで板取りが改善されることがわかり、横幅をオリジナルより10mm短くしてあります。

掲載する部材は縮尺1/2で描いてありますので、これを2倍に拡大して印刷すれば板を切り抜く型紙になります。   組立には簡単に作業する為ネジを一部使いましたが、ネジの露出を避けるのであれば木ダボで接合するなどの方法を取れば良いでしょう。

使用材料

  パイン材(松): ホームセンターで購入したアメリカ産のパイン材で、厚さ19mm、幅235mm、長さ910mmでした。
             見た目は柾目に近いようなもので必要量よりもかなり大きめですが、節の部分を避けて使うことにしました。
             このような単材の入手が困難でしたら、素朴な感じは若干薄れますが、集成材を使っても良いでしょう。

  細い棒:      厚さ10mm、幅20mmのもの。 材質はなんでも結構、ここでは手持ちの端材(杉)を使っています。

  隠し釘:      36mmのものを10本を組立て時の仮補強に使いました。 釘の頭が見えても構わなければ25mm前後の
             普通の釘で代用しても良いでしょう。

  丸釘:       これは化粧釘で横棒の打ち付けに12本使いました。 ステンレスの20mmですが、こちらも普通の釘で代
             用しても結構です。

  凡天とリボン:  凡天という毛玉のような手芸材料がオリジナルでは目玉と鼻先に使われており、
             家内から譲ってもらいました。 大きさは黒20φ(目玉用)と赤15φ(鼻先用)です
             が、毛糸などで工夫して作る手もあります。   またリボンも適当に工夫してみて
             ください。  (右の写真は凡天です。)


  ウッドオイル:  一般にオイルフィニッシュと呼ばれる処理に使われるもので、(和信ペイント製エボニー色)を使いました。
             光沢が出ず自然な木の温かみをそのまま生かしながら着色が可能で、使用法も大変簡単です。


使用道具

  電動ジグソー: 切断加工の殆どが曲線ですので電動ジグソーが不可欠です。 糸ノコ盤があると楽に切断できますが、
             切断精度が厳しくありませんので曲線切り用の刃を使えば困難ではありません。

  木工ヤスリ:   切断面と面取り用に使います。

  その他:     ドライバー、ハンマー、木工ボンド、ハサミ、糊、刷毛など


設 計

 正面と横から見たイメージは左の図をクリック願います。 また6種類の部材の型紙はこちら
 ご覧になれます。  型紙は縮尺1/2で描いてありますので、この図をコピーして2倍に拡大した
 上で印刷すれば使えますが、操作法が判らない方のためにMS Excelで作った型紙ファイルを
 無料で送付いたしますので、こちらからメールをお寄せください。

 註: ファイルには長方形である底板と横板の型紙は含んでおりませんのでご承知置きください。
    またこのファイルはWindows用のMS Excelで正しく読み込めますが、Mac上でのMS Excelでは正しく読み込めません。





2003/11/14

製作詳細

このテーマをうまく作る勘所は曲線切りです。 電動ジグソーを始めて使うとか初心者は次の点に十分心がけましょう。

 ・曲線切りの場合には必ず刃の幅が狭い曲線切り用を使用する。

 ・曲線を切り進む場合には刃にねじれの力が加わるので前進スピードを極端に落とす(刃の上下スピードは速いままです。)
  さもないと実際の切断が外側へずれてしまう(曲率半径が大きくなる。)可能性が大。

 ・曲線切りをカーブを切るようなつもりではなく、ジグソーを握る右手の捻りにより向きを変えさせ、前進のコントロールはジグソー
  台座左先端に添えた親指で行う。 (詳しくはこちらを参照ください。)

曲線切りの切断精度はこのテーマではそれほど要求されません。 強いていえば前後の胴体となるトンネルのような形をした板の幅を110mmとしていますが、この幅が底板の幅と同じになるようにしなければならない程度です。  あとは型紙の線からずれても大過はありません。  若干ずれてもトナカイのシルエットが若干変わってしまう程度です。

作業の中で一番時間を取られるのは、曲線切りが済んだ後の切り口のヤスリ掛けでしょう。  ここを丁寧にやればやるほど滑らかな柔らかい感じが出てきます。 私はのんびりやりすぎたせいもありますが、5時間も使ってしまいました。 但し所要時間はかかりますが難易度は低くむしろ根気のほうが必要となります。

次に時間を取られるのは曲線切りで、緊張も強いられます。  最も簡単なのは組立て・接合で接着剤硬化の時間を除いた作業時間は1時間にも満たないと思います。

さて後は以下の写真で作業の推移をご覧ください。

これがExcelで描いた型紙のプリントアウトでA44ページで1セットです。 ご希望によりこのファイルをお送りしています。

型紙のアウトラインに沿ってはさみで切り取り材料の板に木目方向に注意しながら糊で貼ります。 かなり余りがあるようですが、節のところを避けたためです。

曲線切りをしやすくするため5つのブロックに分けました。

そして電動ジグソーで型紙の青線に沿って切断。 型紙には含まれていない11 x 11cmの板の切り出し(中央下)もお忘れなく。


 註: このあと切り出した部材をぬるま湯に浸して型紙と糊を落とします。 糊が残っていると塗装がうまく載りませんので
    完全に落とします。 そして十分乾かしてから成形に入ります。




切断面を木工ヤスリで滑らかにしてから、更に木工やすりで角を丸めます。(これは首・頭の部分)

かなり面倒で時間がかかりますが、角の部分はこのように丸めます。

松はヤニを多く含んでいるので、このように木工やすりの目が詰まってしまいますが、塗料またはラッカーシンナーをぼろきれに含ませて擦り付け歯ブラシでこすれば取れます。

丸め加工まで終わった全部材。 10mmの板から切り出した横棒も忘れないように!


 註: 曲線切りの切り口を木工やすりで滑らかにする作業とその後の角の丸め作業は最も時間がかかりますが、完成後
    の柔らかな感じを出すのに重要な作業ですから、根気良く進めましょう。




頭部の凹上の欠き込み部に木工ボンドを塗って角を差込み接着。(少なくとも30分寝かします。)

尻尾の板に隠し釘1本を釘の先が少し出る程度まで打ち込み、胴体の板に木工ボンドを塗った上で当てて位置を決めたら完全に打ち込みます。 (少なくとも30分寝かします。)

左右の耳を木工ボンドで接着しクランプで押さえます。 
位置は図面や後掲の写真を参考にしてください。

残りの胴体の板の首が取り付く部分に隠し釘3本の先が出る程度まで打ち込みます。

首のブロックを当てて位置を決めたら完全に打ち込みます。(木工ボンド併用、少なくとも30分寝かします。)

物入れ部底板に後ろの胴体を隠し釘3本と木工ボンドで固定します。  (少なくとも30分寝かします。)

前胴体ブロックを物入れ底板に隠し釘3本と木工ボンドで固定します。  (少なくとも30分寝かします。)

横棒6本をステンレス丸釘と木工ボンドで固定します。組立ては完了です。  (少なくとも30分寝かします。)

隠し釘の頭を横からたたいて切り落とし組立て作業は終了です。

コピーした元のものよりも口先が長くて細くなったようです。

元々あったものと並べました。 若干フォルムが違いますが、この程度の違いは良しとすることにしました。


  註: このあと塗装ですが、ここで使用したWood Oil(ウッドオイル)は塗料には違いありませんが、使用感覚と仕上が
  り状態は通常の塗料とは全く異なります。 特筆すべきは、使用上難しいことは全くなくどなたが試されても良好な結果
  が30分程度の作業時間で得られます。(下地作りの段階で注意があるが後述。)

  従って塗装中の写真はお見せしませんので、以下の使い方の手順に従ってください。

    1.刷毛でたっぷりと刷り込むように塗りつける。
    2.数10分後もう一度塗る。
    3.生乾きの状態でぼろきれで拭き取り乾燥させる。
    4.12時間程度経ってから色の具合を見て、塗る。拭き取る。乾燥。を好みの色となるまで繰り返す。


  購入したWood Oilの容器には、「3.の前に#400程度のペーパーで螺旋を描くように表面を擦る!」とありますが、
  これは細かな傷をつけてWood Oilの浸透を高めようとするもので、使用する木材によって省いても良いと思います。
  (今回は#400による研磨はしておらず2回塗ってから拭き取っただけです。)

  ひとつだけ気をつけるべき部分は、
  Wood Oilは下地作りではニス塗り、ステインで着色後ニス塗りと同様木工ボンドなど接着剤や油分が付着した部分
  には染み込まずそこだけ白っぽくなってしまう。」


  ということです。 また材料表面に傷があるとそこだけ着色濃度が高くなります。  よってWood Oil仕上げ及びニス
  塗りとする場合には塗装を済ませてから組み上げるのが正解です。(この時はボンドG17クリヤーかエポキシで接着。)
  (お見せする私の作品は組み上げてから塗装したため拭き取れなかった接着剤による着色斑が若干あります。)

  塗装なんて面倒なことは嫌!と思われる方は、上の写真のような生地のまま(ホワイトトナカイ?)もなかなか良いと思
  います。 この場合でも汚れたときのことを考え液体ワックスなどで仕上げたほうが良いでしょう。



 ウッドオイルを2回塗って拭き取り12時間乾燥後に、家内は早速クリスマスデコレーションとして飾りだしました。 
 私も子供心に戻って楽しくなってきました。 そっくりさんの製作うまくいったようです。



型紙ファイルを無料にてお送りしています。 こちらからお申し込みください。!

----- 完 -----

Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.