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屋外工作物用木材
2004/02/06

屋内の工作物では合板や集成材が最も有力な木材として考えられるが、一方屋外で使用する木材では何を選んだらよいかが今回のテーマである。

基本的に屋外で使う工作物の場合には、

  1.直射日光に晒され木材が痛んだり(日焼け)、極度に乾燥し反りが出てくる問題。
  2.雨に晒され水分を多量に含み腐りやすくなる問題。
  3.強風により倒れる可能性がある。
  4.温度変化が大きく、冬には木材表面の凍結が起きる問題。
  5.誇りまみれになりやすくしかも2.と合わさって汚れがこびりつきやすい。
  6.虫害に関する問題。

というような屋内用の工作物とは比較にならない厳しい使用環境にある。

そのような厳しい環境で十分な耐久性を持つ材料は、合成木材としての合板チップボードOSBランバーコア集成材には残念ながらないに等しい。 唯一耐水合板が考えられるがこれも接着部分がより耐水性があるということであり、そのままで耐久性があるということではない。

一般論では天然材のほうが耐久性の点では優秀だが樹木によってその差は大きく出てくる。 水分に強い材料、虫害に強い材料などなど詳しく説明したらきりがないし、また入手性の点や価格の点でも問題があるので、ここではそれほど詳しくは解説せず替わりに実用性が高い選び方に焦点を当てたい。


ツーバイーフォー用の材料は屋外用の最も有力な候補

ツーバイフォー建築工法用に考えられた木材は殆どが北米、欧州からの輸入材であるが、需要と供給の大きいことから価格が非常にこなれている。 樹種としては松系であるのでヤニが多い、裂けやすい、耐水性があまりないなどの問題はあるが、現在最も入手性がよく価格も低廉なので使いやすい材料だ。 北米産の物はSPF材とも言われ、スプルス、パイン、ファーの3種類が混在しているがひとくくりに松系の材料と考えてよい。  欧州産はホワイトウッドなどの名称で販売されておりこれも松系。  これらのサイズには次のようなものがある。

呼称 表示(厚み x 幅) 備  考
ワンバイフォー 1 x 4 (19mm x 90mm) 6フィートが殆ど。1枚\190なんて事もある。
ワンバイシックス 1 x 6 (19mm x 141mm) 6フィート(183cm)の物が主
ワンバイエイト 1 x 8(19mm x 187mm) 6フィート(183cm)の物が主
ツーバイフォー 2 x 4(38mm x 90mm) 長さは6フィート(183cm)か12フィート(366cm)
ツーバイシックス 2 x 6(38mm x 141mm) 長さは6フィート(183cm)か12フィート(366cm)
ツーバイエイト 2 x 8(38mm x 187mm) 長さは6フィート(183cm)か12フィート(366cm)
ツーバイテン 2 x 10(38mm x 238mm) 長さは6フィート(183cm)か12フィート(366cm)


材料の厚みと幅は何となく中途半端な値であるので多少の慣れが必要だが、長さについてはフィートと尺がほぼ同じ値(30.48cmと30.30cm)であるため何となく馴染みやすい面もある。  そのサイズだが実際の寸法はミリ単位での誤差は十分ありうるので設計に当たっては注意が必要だ。

デッキ材として水分、腐れなどへの耐久性があり人気のあるレッドシダーも北米産であり、サイズ的には上記と全く同様。 但しSPF材やホワイウッドとレッドシダーの耐久性と価格がほぼリンクしている(およそ2倍)ことと、着色性ではもともと白っぽいツーバーフォー材の方が有利という面があり、この点でも魅力のある材料だ。


木材の耐久性アップ

屋外使用の工作物は使う木材の耐久性が高い方が良いには違いないが、やはり日光、風雨、気温の変化、虫による傷みの害は避けられない。 この問題を補うための良策としては何といっても塗装がお奨めである。 但し塗装自身の耐久性がまたかなり重要であり、使う塗料により塗り替えの時期がかなり変わる。 一般論としては水性塗料は耐久性は劣る。また家庭用塗料は業務用塗料に較べると劣る。と言える。 この辺り実使用しながら塗装面の耐久性について実験している例があるので以下の写真でご覧いただきたい。

塗装無し3mm耐水合板を外壁に立てかけた耐久性実験です。 3ヶ月しか経っておりませんが、ご覧のとおり常に風雨のあたる手前側は接着面が剥がれてそっくり返り割れも出てしまっています。  これではとても使い物になりません。

同じ耐水合板を使ったうなぎの寝床の物置の扉。 業務用のウレタンペイントを2回塗りしましたが、ひび割れもなく6年経っても良好な状態です。 上との違いは絶大です。

同じ物置の手前の破風部分。 下地は珪酸カルシューム板で腐らないため問題ないのですが、6年を経過した水性ペイントはこのように剥がれだし耐久性はかなり落ちます。

日曜大工入門コーナーで紹介しているプランターボックス(ツーバイフォー材)で、製作1年後に家庭用油性屋外塗料で再塗装した当時の写真です。

それから1年経過した現在の様子。 汚れ退色は別として木材の痛みは見当たりません。

これも日曜大工入門コーナーで紹介している花車(ツーバイフォー材)で製作した当時の写真です。 塗ったのは家庭用水性屋外塗料でした。

10ヶ月たった現在の様子で矢印で示した部分は塗幕にひびが入り板の中に雨水が沁み込み始めています。 塗料の耐久性が不十分と言えます。


以上の写真でお分かりのように、塗装することによりかなり耐久性が上がる。 最も耐久性の低い水性塗料でも無塗装に比較すればずっとましだが、10ヶ月以内に塗りなおしが必要だろう。  油性であれば更に良い結果が得られ2年は持つと思われる。 業務用に至っては5年以上持つことは先ず間違いない。 これら塗装の費用は耐久性の高い材料を購入するよりも割安である。

結論としては屋外用工作物の材料として、価格的に有利なツーバイフォー材。 但し耐久性を上げる為必ず塗装する! というのがお奨めになる。 更に業務用油性塗料が採用できるのであれば、合成木材のように水に弱い材料でもかなりの耐久性を得られる。


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