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うなぎの寝床型物置詳細
   
 2002/10/10 Up

 構想と留意点

 この物置は私の収納に関する考え方そのものを具現化した作品のひとつです。 
 どこがそうなのかというと、別名うなぎの寝床物置(倉庫)とも言っているように、奥行きが小
 さいのに幅(間口)が大きく取ってある所にあります。
 私の収納部分に関する考え方についてその要点を再度ご披露しますと、

  1.家財の殆どは奥行き45cmあれば収納(保管)できる。
  2.45cm以上の奥行きになると奥のものが取り出しにくくなったり、死蔵品を増や
    す可能性が高い。
  3.一般家庭で収納スペースに必要な奥行きは60cmを限度とした方が良い。
  4.奥行き90cm近い押入れは収納スペースとして合理的な寸法ではない。
                         5.奥行きが深い場合は引出し対応にすると遥かに使いやすくなる。

ということで、今まで製作した家具全てに適用している基本思想です。

この作品は上記の1.に特化した設計であり、外寸で450mm丁度の奥行きに対し幅は2770mmとなっています。
何故このような寸法となったかについてはリフォーム時の間取りの設計にさかのぼる必要があります。

勝手口というと、60cm幅のドアと道路までの狭い通路(60-90cm)というのが多いように思いますが、私はこれでは主婦の作業スペースの一部ともなる勝手口が余りにも軽視されていると考えています。

勝手口に求められる機能・使用目的は、ごみ出し、食材搬入、生活用品の出し入れ(屋外倉庫との間)、ごみ箱の置き場、外部水場へのアクセス、生活機材の保管等であり、玄関よりも出入り口としては生活のし易さに遥かに影響を与える場所です。

したがって通路として最低でも90cm近くの実スペースを残すべきと考えています。 実際にはこの通路に色々な物が置かれることが多いですからその分を差し引くことを考慮すると、135cm位の通路幅を確保しなければなりません。

 実の所、リフォーム後の
 勝手口周りを検討する中
 で道路から勝手口まで
 アクセスする部分の幅
 (家屋と隣地境界間)は
 1間(182cm)しか取れ
 ないことが判りました。
 (左図参照ください。)

 この状況で隣地境界に
 沿って横長の既製の組
 み立て式物置を置く場合
 には奥行きが90cm
 上となり、設置は可能で
 すが、通路幅は90cm
 下となりますからそこに
 何かを置くのは通行の
 妨げとなり、使い勝手が
 大変悪くなります。

 この辺りの事情が奥行き
 を45cmに押さえ通行幅
 をより広く(135cm)確保
 したもうひとつの理由で
 す。




最終的にはこの通路の外壁沿いに空調設備のボイラーが設置され自転車を置くようになりましたので通路としての空きスペースは約90cmとなりましたが、体を横向きにすることなく行き来できます。

勝手口ドアも間口半間用のものとしたため大型の家財(ベッド、冷蔵庫、机)なども玄関ではなく勝手口から出し入れできるようになっていますし、折れ曲がりの少ない動線となる為玄関よりも都合が良くなっています。

言ってみれば第2の玄関みたいなもので、道路からのアクセスは玄関へのアクセスと共用となっています。 
目立たないように設置された狭い勝手口!! これを根本的に廃した設計であるわけです。

 既製品にはないサイズである為自作するしかありませんが、正直言ってコストパフォーマンスは余り良く
 なく10万円を超える費用が掛かってしまいました。 しかし強度、使い勝手何れの面でも100点満点に近
 いものが出来たのではと自認しています。

 構造主材は75mm角(2寸5分)の米ツガ材ですので、軸組み工法?を真似たものといえますが、撓み、
 歪み等の本体の強度確保は、コンパネを貼り付けた壁構造(ツーバイフォー工法がその典型)となってい
 る妙な構造です。 柱、土台、梁とそれらに加えた筋交いで強度を確保する軸組み工法は壁構造で強度を確保するツーバイーフォー工法より好きな構造ですが、それをそのまま導入すると筋交いのために内部が狭くなって使用可能な容積が減少してしまいます。 従って筋交いに期待する部分を、べた張りしたコンパネにやらせようという魂胆で内部は目いっぱい使えることになります。

物置の設置場所は隣地境界線に積み上げられたコンクリートブロックの塀を補強する部分でコの字型に積み上げられた内部になっています。 そしてこのコンクリートブロックには全く寄りかからない構造としました。(約10mmの隙間が開いています。) 理由としては、もしもブロックに木材が密着しているとブロックに染み込んだ水が木材に移り湿っぽくなるためシロアリなどの被害に遭う可能性が高くなると考えた為です。 無論ブロックの表面にはローラー刷毛で水性のコンクリート用塗料を2度塗りして水が染み出さないよう目止めしていますが、長期の使用を考えたわけです。



設計の要点

 設置場所はコンクリート打ちっぱなしになっておりますが、その上に高さ15cmの基礎をコンクリー
 トで作りました。 大き目の通風口を3箇所設けて床板下に湿気がたまらないようにしています。 
 また6箇所にアンカーボルトを埋め込みこれで土台を固定します。

 土台は2寸5分角の米ツガで長方形に組んだものでアンカーボルト6本で土台に締結しました。 
 柱は2寸5分角8本からなっており一般の家に比べれば細いものの本数は大変多くなっています。
 手前の柱は奥の4本よりも高くなっており片流れの屋根を作ります。
 尚詳しくは後述しますが手前の間の柱2本は引き違い戸を実現する為、後方にオフセットされてい
 ます。

手前と奥の柱の間には2寸5分角を切った4本をホゾを彫りハシゴ状に組み上げてありますが、この部分に棚板を乗せることになると同時に前後方向の撓みを少なくする意味もあります。 また横方向ですが、手前上部と後ろ側中断にそれぞれ4本の柱にまたがるような横板(90mmx24mm)を柱を欠きとって渡していますが、これは補強というよりもコンパネを固定する目的の方が大きいといえます。

 柱の最上部横方向に2寸5分角を渡しその上に垂木(40 x 30)を打ち付け野地板となるコンパネをその上
 に貼りました。

 屋根は水切りと共に唯一プロの助けを借りた所で、防水のルーフィングを貼った上にカラートタン貼りとし
 ています。

 外壁はコンパネで完全に覆った上に防水の為ルーフィングを貼りサイディング材横貼りとしました。 
サイディング貼りとしたのは母屋がそうなっているので外観のイメージを合わせようと考えたのが一番の理由ですが、材料そのものが軽量であるのと乾式工法ですからアマチュアの外壁仕上げにはもってこいだと思います。

 手前は30x142のラワン材のドア枠をコの字状に嵌め込んだ上で、アトムリビンテックのFF型引き戸ユニッ
 トを使って4枚の引き違い戸としました。 この扉構造は決定までに大変時間が掛かり次のような諸点で
 悩んだ部分です。  (FF型引き戸システム詳細は、アトムリビンテックのサイトで得られます。)

  1.開き戸は作るのは簡単だが、通路をふさぎ使いにくくなる。
  2.開き戸に比べ引き戸のほうが強風で外れやすいのではないか?
  3.引き戸とした場合には吊り戸のほうがメインテナンスが楽。(レールのつまり等)
  4.屋外の4枚の引き違い戸を実現できる適当な吊り戸金具がない。

 アトムリビンテックの引き戸金具FF型は屋内用で物置に使う計画を話した所、
 屋外使用で起きやすい土埃などでのトラブルには責任をもてませんよ!
 と釘を刺されました。 
 また引き戸と引き戸の間の隙間もメーカー推奨値から外れたものとしましたが、
 結果OKで、3年経った今土ぼこりで磨耗が促進したとか動きが悪くなったとかの
 トラブルには至っておりません。 
 うまい引き戸金具を探していた矢先にFF型引き戸金具が発売されたので大変
 ラッキーだったと思います。

 外壁はサイディング材で水切りもプロのアドバイスを元にプロにやってもらいましたので残る耐水上の問
 題は破風板です。 一般家屋で破風板は板材を貼って塗装したものが多いのですが、板材の収縮で塗
 料が簡単に剥げ落ちそこから水が沁み込んでラワンがぼろぼろに腐ってというのを良く見かけます。 
 私は破風材としてコンパネを使いましたが、その上を5mm厚の珪カル板で覆いステンレススクリュー釘で
 固定しました。

 珪カル板とは珪酸カルシューム板の省略語で、水は吸い込みますが無機質ですので腐ることはなく収縮も木材に比べ極僅か、不燃材ですから防火性能も優れています。  この珪酸カルシューム板を貼った上に塗装をしますと塗装自身の剥がれなども起き難くなりますので長期間の使用に耐えられるという次第です。 扉なども塗装仕上げですが、この珪カル板を貼った所は敢えて寿命の短い水性アクリル塗料で仕上げました。 再塗装の必要性は破風に塗装した部分を見て判断しようという魂胆です。

扉は3mm厚耐水ラワン合板でフラッシュ構造とし、仕上げは2液性ウレタン塗料である日本ペイントのファインウレタンU100としました。 3年経過した今でも塗料の剥げ等扉が痛む原因となるような問題は全く発生していません。



作業上の注意点

実際に作業したときの注意点について順を追って触れておきます。

1.お天気との勝負
屋外の工作物ですから雨が降ったら作業が出来ませんし、作業途上で雨が降り出したら濡れないような配慮が必要です。 この為に大工仕事用の大きなプラスチックのシートを3枚購入しました。 また出来るだけ短時間で終了するようにお盆休み前に基礎打ちを終わらせ、お盆休み(8日間)で屋根を葺いて外壁の部分に防水用のルーフィングを貼るまでを終わらせました。 残りの作業に2週間かけ通算で1ケ月で終わっています。 何れにせよお天気との勝負ですからこの辺りの配慮が大事です。
また私はよせばいいのに真夏にやりましたがゴールデンウィーク辺りを選んだ方が正解です。 とにかく暑かったです。

2.コンクリートのハツリ
基礎打ちの際土台を締結するのと、地盤と基礎の締結力UPを兼ねてアンカーボルトを埋め込みましたが、その為には地盤のハツリのため電動ハンマーが必要でした。 これを買うわけには行かないのでホームセンターから借りてきて作業しましたが、地盤と基礎の締結は十分にしておかないと強風などで大変不安定になりますのできつい作業ですが手抜きは出来ません。

3.柱のホゾ穴加工
これはノミでくりぬくのがアマチュア的方法ですが、時間が掛かりすぎるのでお世話になっている材木店から電動ホゾ穴加工機を借りて作業しました。 これは大変助かり大いに時間セーブが出来ましたが、このような意味でも別項で触れているように材木店などと仲良くなっていると有利であるといえます。

4.垂直・水平出し
これには下げ振りと水盛りが必要になります。 購入すると高いのと使用頻度が少ないので簡易型を自作した方が賢いです。 それぞれ別項で説明していますので、ご覧下さい。

5.外壁下地の固定
外壁下地はコンパネですが、その際柱・桁を固定しているL金具固定はほんの少し緩めて、柱の垂直出しを十分にした上でコンパネを木工ボンドとネジを使って固定します。 その後L金具を完全に締め上げます。 この垂直出しは後では全く不可能となりますので慎重にやりましょう。

6.ルーフィングの固定
外壁と屋根のの防水下地としてルーフィングを貼りますが、その固定にはタッカーを使いました。 このタッカーはホッチキスの親玉のようなものでコの字型の針を打ち込む構造ですが、頻繁に使う機会がないのでこれまた材木店から借りました。

7.水切り・カラートタンの屋根葺き
こればかりは熟練技術のないアマチュアには重過ぎますのでプロに頼みました。 プロからすると少量作業ですが、材木店が紹介してくれた職人さんだったので単に作業するのみでなくいろいろな知恵も教えてもらえました。  私がお付き合いできる材木店を探すと良いと主張する理由がここにもあります。

8.サイディングの貼り付け
サイディングは鉄製とアルミ製と2種類ありますが、どちらが良いかは難しい所だと思います。 鉄は錆びやすい欠点がありますが、最近の塗装は大変上部なので数年で錆びが出てくるようなことはないと思います。 アルミは錆びの点では有利ですが物理的な強度が不安です。 というのは、鉄の場合でも簡単に凹むくらい非常に薄い鋼板で切断時には曲がらないよう細心の注意が必要です。 私は鉄製を使いましたが、電動ジグソーでいとも簡単に切断できました。 その際塗装面を傷つけないよう注意すればよいだけです。 固定はネジで電動ドライバーで簡単に出来ました。  まあ面食らった所というと出隅、入り隅を始めとした綺麗に端末処理をする部材をうまく使うことくらいなものです。

9.雨樋の取り付け
小さい面積の屋根といっても片流れの屋根に降った雨はほっとくと隣地に流れ落ちます。 従って雨樋を付けて自分の敷地内に流すようにしました。(実際には外部水場の流しに落とします。) 雨樋の勾配は緩すぎても急すぎても駄目なのだそうですが、2800mmで2cm下がるような勾配としています。 これで支障はありませんが適切な勾配なのかどうか未だに判っていません。

10.4枚の引き戸
耐久性で一番心配し今でも心配しているのが引き戸です。 18mm合板の端材で厚さ25mmの枠を作りそこに3mmの耐水合板を両面に木工ボンドで貼った32mm厚の物です。 その上に2液性ウレタン塗料を2回塗りしました。 耐水性は塗料に全て頼りきっているといえます。 今の所全く問題ありませんが、軽く作るには他の名案はないと思われます。

11.良好な通風の配慮
物置内の通気性には特に意を払いました。 基礎に付けられた3つの換気口は200x75mmの開口面積があります。 また床板として貼ったコンパネの周りには15mm程度の隙間を設け、根太との隙間から床下の空気が上がってきます。 そして軒天は全面的に沢山穴のあいた合板を貼り雨が吹き込むことなく通気性は抜群の状態になっています。  このように書くと床下から虫などがぞろぞろと侵入してくるのではと感じるかもしれませんが、実は基礎の換気口には内側に目の細かなステンレスの金網をコンクリート接着剤で貼り付けてありますから、そのようなことはありません。 この辺りはかなり前に作った物置が内部に溜まった湿気でシロアリを呼び無残な結果となったことを経験していますから、やりすぎくらいの配慮をしたつもりです。

12.防蟻材の塗布
言い忘れていましたが、土台、根太、床板の裏には十分に防蟻材を染み込ませました。 毒性が強いので手に触れないように注意すると共に、床の表面に滲んでこないよう気をつける必要があります。

13.塗装
サイディングの部分は塗装不要。メーカーによれば15年は塗装が持つとの事で本当かなという気がしないでもありません。 破風、軒天、ドア枠は前にも触れたようにアクリル系水性塗料の2回塗りです。 また引き戸は2液性ウレタン塗料の2階塗りとなっています。 色の組み合わせは母屋のカラーリングと同一にしたため玄関のそばにあるにもかかわらず、物置があるぞというような場違いな感じや違和感がないと思います。 道路側からの写真をご覧になって皆さんはどう思われたでしょうか?

  
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