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ジグソーで真っ直ぐ切る!
2005/04/01

 電動ジグソーで直線を切るのは容易でないといわれており私もそのように申し上
 げている。 何故ならばジグソーは曲線を切りやすくなるように設計されており直線
 切りのことは基本的に考慮されていないためだ。  ご存知のようにジグソーの刃
 は幅が数mmから大きいものでも10mm止まりになっていて、替刃式鋸や電動丸
 ノコなどの刃が材料に触れる部分の長さと比較にならないくらい短くなっている。
 これが曲線を切りやすいかどうか? 裏返せば、直線性を保ちやすいかどうか?
 に大きく拘っているわけだ。

 従って電動ジグソーで直線切りしようというのが既に酷な話なのだが、手引きノコ
 をマスターできていない方にとっての補助的なソリューションとして紹介しようという
 のが今回の趣旨だ。

 本題に入る前に電動ジグソーで切断するときの注意について整理しよう。
 曲線切りには不可欠のジグソー (リョービ CJ-250)   曲線、直線何れを切るにしてもジグソーの台座(正しくは定盤という。)は材料面に密着させなければならない。 ジグソーの切断原理は刃の上下運動によるため台座が浮き上がりやすく、これが正しく切断できない原因となるからだ。 以前日曜大工教室の講師をしていた折、参加者のうちこれを起こさなかった方は殆どいなかったことを覚えている。 そしてこれが重要だと説明していると、同時にしなければならないほかの注意(例えば適切な送り速度、適切な刃の上下速度、曲線切りの運動の仕方)などがおろそかになり、やはり巧く切断できなくなる。

要するにあれもこれもと同時に守らなければならない事項があるため、巧く使えなくなってしまうのである。

 一方メーカーは、「電動ジグソーで直線を切るときにはガイド板を使えば綺麗に切れます!!」
 こともなげに説明書で解説している。 そしてその気になってやってみても結果は必ずしも良くはないは
 ずだ。 何故ならばこの場合も、ガイド板に台座が完全に密着しながらスライドできれば!!という新たな
 条件付なのだ。 しかもそれは決して簡単ではなく、ジグソーを握ってガイド板に当てるときの力の入れ
 どころ、力加減など、かなり修練と緊張を強いられる作業になる。 そして(例えば適切な送り速度、適切
 な刃の上下速度)
も満足させねばならない。 よって巧く直線に切ることは難しい。

 そこでこれらの守るべきことを少しでも少なくして直線切りを実現するジグを考えた。
 と言っても、左の図のように板を4枚貼り合わせたものとそれを固定する50mmクランプ2個という実に簡単な
 道具だ。 材料としては特に限定する材質はない。 端材利用大いに結構である。 厚みは12 - 18mm
 適当であろう。 長さについては切断したい最長の直線で決まるが、長くなると取りまわしが悪くなるのでこ
 こでは最長切断長さを60cmとして設計・製作することにしたい。  それと長い板2枚を裏から固定する薄い
 板が要る。 厚みは5 - 9mmで良いだろう。 (図では前者は18mm、後者は9mmとして描いてある。)

 使用する電動ジグソーにリョ−ビのCJ-250という手頃な価格mini-Shop\5,754.-)のものとした。
 このジグソーを選んだのは現在私のジグソーによる作業の90%以上がこれで賄えてしまい、作業量では主
 力のものになっていることと、低重心設計が今回の目的に合っているからである。

 もしも他のジグソーで試したいのであれば、左図の *64 という寸法(これはCJ-250の台座の幅の値になっ
 ている。)
を、使用するジグソーの台座の幅に変更すればよい。


製作詳細

前掲の図面を見れば製作解説など必要ないくらい簡単であるが、大事なポイントに触れておこう。 先ず長い板の内面の木口はヤスリで極力滑らかにしておくこと。 ここにジグソー台座が触れながら前後に移動するためだ。  その60mm幅の板2枚だが、これらの直線性と幅は一定でないとならない。 例えば60mm59mmにずれたのであれば、上から下まで59mmとならないといけないのだ。 それと板の間隔は64mmとしてあるが、実際にはジグソーの台座を当てて緩からず!きつからず!の状態で小さな板に木工ボンドとネジを併用して固定することだ。 数ステップで完成するが以下の写真もごらん頂きたい。

リョービ CJ-250用直線切断ジグの材料。 たった4枚だ。 (上の方に現在塗装中の別テーマが見えるがご容赦!) 

小さな板をこのように木工ボンドで接着し、ネジで更に補強する。 ここでは3.5φ16mmタッピングネジを使った。 同様に長い板の反対側の端にも小さな板を固定する。

もう1本の長い板を接着するが、クランプで軽く締め上げておく。

そして替刃を取り付けていないCJ-250を間に挟みきつからず!緩からずの状態に調整し、クランプを少し強く締め上げる。

反対側も同様にクランプで仮締めし、CJ-250を長い板2枚の間全体を移動させがたがなくスムーズに動くことを確認・調整しクランプを強く締め上げて全く板同士がずれないようにする。

そうしたらひっくり返してタッピングネジで補強固定して出来上がりだ。

完成した直線切断ジグ。 実際の使い方は次の写真をごらん頂きたい。 所要時間はゆっくりやっても2時間掛からなかった。

直線切断ジグの使い方。 切断する材料とジグは最低でも2つのクランプで挟み、このように工作台2台の間に置く。(工作台の間を刃が通ることになる。)  左上方のジグの下には、切断する材料と同じ厚さのものをスペーサーとして入れる。

切断前。 手前から見たところで、暗め茶色の板が切断する材料。 (クランプ無しではまともに切断できないぞ!!)

切断開始直前。 切り欠きの穴の中にジグソーブレードを入れる。

ジグの間にジグソー台座を落としこみ電源スイッチを入れて切断開始。 切断スピードは摩擦熱で焦げてこない程度でゆっくりの方が良い。 (台座が浮き上がらないよう注意!)

切断が終わって手前から見たところ。 見事に一直線に切れている。 (板厚は12mm合板で、切断長は150mm。)

切り進むにつれて曲がってくる場合には、ジグソー取り付けの角度が斜めになっている。 傾きを極端に表現しているが、NGと書いた矢印のように傾いていると右や左に曲がるので、固定ネジを緩めて(黄色矢印)ブレードの傾きを調整すると良い。CJ-250の場合若干の調整が出来るようだ。)

過剰な期待をされないための注意!!

さてここまでお読みになると、なんだこれで直線切りは電動ジグソーで簡単に出来るじゃないか! と思われないように、注意点をまとめて申し上げておく。

上の写真でも説明しているように、ジグソーのブレードが台座の前後方向と完全に平行になっていないと必ず曲がりだす。 従ってブレードの取り付けを調整して平行になるようにすれば良いのだが、この調整機構を持っているジグソーは
ないと思う。 (このことはメーカーの怠慢とは言い難いので誤解されないように!)

たまたまCJ-250の場合にはブレード固定部分の多少のがたを利用して僅かな角度調整ができるのであって、他のものでそれが出来る保証はない。  また正しく平行になっていたとしても、実際に切断しているときには、上下運動機構のガタのために左右にぶれる現象が発生する可能性が大きい。 切断速度を極力ゆっくり!と指定しているのは、それを抑える目的なのだ。  何れにせよこの平行が取れないと、次に述べる直線切りが可能な板厚と長さは極端に減少する。

板厚が大きくなると急速に直線切りを維持するのが難しくなる。 このジグは最長60cmまで切断可能として作ってはいるが、私の実験結果では、それが実現できる板厚はせいぜい5-9mm辺りで、12mm厚になると10-20cm程度が限度のようだ。

よって以上のような制限事項付きのジグだということを決して忘れないで欲しい。
所詮真っ直ぐ切るのが不得手な電動ジグソーで何とかしようとしてもその限界があるわけだ。


とは言え、今週日曜大工入門テーマで解説しているような切断のシチュエーションでは、その威力を遺憾なく発揮できる。 (板厚が9mm、長さが55mm程度という条件のため。)

 また言い忘れたが、切断位置をどのように決定するかを
 最後に説明しておこう。

 方法としては左の写真のように、テスト切断後に切断
 した線とジグの左端の距離を測りこの値をそのジグでの調
 整用固定の値として覚えておく。
 (因みに私の作った物では91mmだった。 忘れないよう
 ジグにボールペンで書いておくと良いだろう。)


 実際に使うときは、切りたい位置から左へその距離だ
 け離れたところに線を引いて、その線にジグ左端を合
 わせる!
 という手順を取る。

 文章で書くとややこしそうだが、実際に試してみれば容易
 にお判りになると思う。

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