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ドライバービットの選択
2005/10/21

釘に変わってネジで締結する事が当たり前になった今、電動ドライバーで快適に効率よく作業したいものです。  しかしながらネジを締めて行く時にドライバービット先端がネジから外れて空回りということはよく経験します。  そうなってしまう原因は、
ネジにしっかりと押し付ける力を入れていない(しかも力を入れる方向はネジと完全に平行でなければならない!)事によります。

以前日曜大工教室の講師をさせていただいた時に、初心者にっとてこの問題が極めて大きい事だと気が付きました。 特に女性の場合電動ドライバーをこわごわと操作する為、尚更ネジに押し込む力を入れにくくなります。

散々経験している私自身もネジ締めの際に空回りさせてしまう事がたまにあります。 そしてそのような空回りをさせるとネジの頭の溝は次の写真のように溝の角が欠けてしまい、こうなってしまってはただひたすら滑りつづけます。

3.3φ 40mmのスレンダースレッドネジの頭の比較。 左は正常な物だが、右は矢印の先のところがドライバービットで削ぎ落とされたようになり、こうなったら空回りするだけとなる。


更に問題なのはこうやって空回りさせるようなことが、ドライバービットのネジの溝に当たる面も削ぎ落とされてしまい(ナメルと言います。)、滑りやすさを促進してしまう事です。

この問題の根本解決は冒頭でも申し上げたように、「ネジと平行に押す力を加える!」ことなのですが、少しでもドライバービット自身が滑りにくい構造であれば大きな救世主となります。  そのような観点で私は過去15年間に数多くのドライバービットを試してきましたが、どれもメーカーが言うような効果を確認できませんでした。

しかしこの8月始めに三条市を訪問した際、「このドライバービットは喰いつきが良い!」と紹介された物をこれまで試してきましたが、かなり効果的であるという印象を持っています。 現在私の手元にあるドライバービットは次のようなものです。

色々試して手元に残ったドライバービット。 左から2番目の使用が過去には一番多かったが、現在では左端のものが滑りにくいと考えています。 後述しますが、先端が細い方が細身のネジには使いやすいです。


なかなか良いと感じたドライバービットはANEX製のもので、メーカーは「喰いつき(AAC)ビット」と称しています。 AACANEX Anti Come out の頭の文字を取っていると言う事です。  どこがこれまでのドライバービットと違うかは次の写真をご覧下さい。

手持ちのドライバービットの先端部分の拡大写真。 中央と右の物はネジの十字溝に嵌るよう削り落としてあるだけですが、左のANEX製喰いつきビットには、円弧状の突起が左右2筋ずつ見えます。


これで滑ったり外れにくくなる原理については、メーカーの説明に従って私が描いた次の図をご覧下さい。

左の図は上のほうでお見せした角が削げて滑るようになってしまったネジの頭ですが、ドライバービットがネジの溝に当たる面に線上の突起を設けると、右ののようにネジに喰い込む効果が発生し滑りにくくなり削げ落ちる可能性が大幅に減ります。 実際にはこの線上の突起は2本ずつありその効果を高めてあります。 (特許申請中)


正直言ってこのようなもっともらしい説明を読んでもにわかには信じ難い感じがしましたので、ある時それまで最も愛用していた某社の先が細く金色になっているドライバービットと共に、それぞれ100本ずつの3.3φ 40mmスレンダースレッドネジをインパクトドライバーで打ち込んで見ました。  結果は金色の某社の物を使った時に7本頭を滑らせて駄目にしてしまいましたが、ANEXの喰い込みビットの場合滑らせてしまったのは1本でした。

この結果に付いては滑りにくいという点で効果がありそうだ!という程度に理解して頂きたいと思います。 というのは、一定の力で押し込んだり押し付ける方向を完全に平行に保つのは不可能だからで、滑る可能性が7:1と断定するのは乱暴です。

今後更に色々なドライバービットを試してみて更に良いものを発見できた時には話は別ですが、それまではこのドライバービットが私のネジ締めの主役になると考えています。

最後にスレンダースレッドネジ、スリムネジ、Fネジ、軸細コーススレッドネジ等の名称で呼ばれる細身のネジ締めの場合、ドライバービットの先端は細身の方が作業しやすいと考えています。

左の先端が太いタイプのドライバービットでは細身のスレンダースレッドネジの頭は見にくくなりますが、右のような先端が細くなったドライバービットはネジの頭が見やすいというメリットがあります。 但し建築用のコーススレッドネジになると頭も大きいし締め付けトルクが大きいですから、ビットの直径も大きくしないとビットが捩れ破断しやすくなります。

註): ここで紹介したANEX製ドライバービットは近日中にmini-Shopで販売開始します。 是非ともお試しください。


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