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電動トリマーの選択
2004/09/10

日曜大工を始めて暫くすると手に入れたくなる工具のナンバーワンは電動トリマーだと言われている。 しかし電動トリマーといってもその販売価格はピンキリでありどのように選択したらよいのか迷うことが多いと思われる。 そこで今回は電動トリマーの選択に参考になる解説をしたい。 更に基本的な使い方については次週お伝えしたいと考えている。

電動トリマーの構造

電動トリマーはモーターの軸に切削するトリマービットを固定するチャックを取り付けただけの大変簡単な構造をしている。 その基本構造は、逆転装置やブレーキ装置、速度可変装置などを有する最近の電動ドリルに較べて遥かに簡単であり、このことはかなり安く作ることも可能であることを示唆しているのである。 実際無名ブランドで売られているものの中には6-7千円で購入できてしまうものもあるくらいだ。
一方高いものとなると2万円以上もするのでその差はかなりあり、何が違うんだ?と面食らうのは当然と思える。

私が調べたところ安いものと高いものの間には次のような違いが存在することが判つた。

1.加工・組立て精度に起因する違い
  高速で回転する工具なので、回転するモーターの回転子(ローター)などのダイナミックバランスがきちんと取られていないと、
  振動が大きく発生し正確な作業をしにくくなる。 このため想像以上に高い加工・組立て精度を要求し、それに応じた品質管理
  が必要になり、この差は当然コストに影響してくる。

2.使っているベアリングの質の違い
  高速回転する部分と静止している部分の間にはボールベアリングが軸受けとして使われているが、このベアリングの質もピン
  からキリまである。 最悪なのは新しいうちから転がり摩擦が大きく振動増大の原因になる安物だが、それよりマシでも磨耗
  の進行が早くてガタによる回転の不正、振動の増大が大きくなるものもある。

  電動トリマーに限らずプロ用の電動工具は優れた高価なベアリングを使用していると言われるが、電動トリマーの場合ベアリ
  ングで発生したガタや振動が、加工精度に直接影響するだけに大事なファクターである。 これも製造価格に影響する。

3.より加工精度や安全性を高める工夫による違い
  高い切削精度を得るためにはトリマービットの高さ微調整が如何に簡単にできるかが重要である。
  その為にラップピニオン機構で調整できるようにしたものは、そうでないものに較べて作業効率が格段
  に違う。  私自身トリマービットの上下調整で0.5mm以下の調整を必要とすることが頻繁にあるが、
  ラックピニオン機構のお陰でいらいらすることなく調整できるが、これがないと結構苦労する。
  もちろんこれはコストアップに繋がる。  (右写真クリック)

 またモーターの一般的特性として大きな負荷が掛かると回転数が下がってしま
 うが、固い部分と柔らかい部分が混在する木材をトリマーで加工すると、この回転数の変化は切削能力
 の変化となり切削ムラに繋がる。  従って負荷が増大しても回転数が低下しないようなフィードバック機
 構が入っているのが望ましく、プロ用では不可欠な機能だと聞いている。
 これには回転数の変化を検出する複雑な電子回路が必要なので、大幅にコストは上がるようだ。
 (左はTRE-55に付いているフィードバック回路内蔵の表示)

 安全性の面ではトリマーの電源スイッチを入れた時にいきなり最高回転数に到達したのでは、モーターの
 反動で大きなショックが握っている手に伝わってくる。 そのショックは油断しているとトリマーを落としてし
 まうほど大きなもので、落ちたところが床でビットが下を向いていたら高価なビットを壊すだけでなく大きな
 傷が床に付くし、それが脚の上であったらぞっとするような大怪我をすることは間違いなしだ。

 この対策としてソフトスタート機構によりスタート時の反動を無くしたものがあり、安全性を考えると私は絶
 対に必要な機構と考えているが、これもコストに影響する。
  (左はTRE-40のソフトスタート シンボルマーク)

実はそのソフトスタート機構がなかった時の反動がどの位あるのかについて実験を動画で記録した。 
(ご覧になるにはQuick Timeが必要になるので必要な方は右のアイコンをクリックしてインストール
されたい。)


実験はトリマーの電源スイッチをONの状態で床において撮影開始し、電源コードをコンセントに挿すと
いう単純なものだ。  比較実験に使用したのは、MTR-40KTTRE-40だが、両者とも同じ1.3kg
重量であるので慣性力(この場合転がし易さと考えてよい。)はほぼ同等と考えてよいだろう。  

 左の写真をクリックするとMTR-40KTが、右をクリックすればTRE-40
 電源ON時にような挙動を示すかご覧になれる。

 いずれの場合でも同時に記録された音声で電源ONとなった瞬間が判る。
 尚動画がスタート後暫くの間カタカタという音が出るが、自動焦点機構の動
 作音をマイクが拾っているためのようだ。 


結論から言うとMTR-40KTの場合、油断していると手から落としてしまうような反動が発生する!と私が前の方で書いた意味を十分ご理解願えると思う。 TRE-40の場合反動で転がりだすことは全くない! この起動時に発生する反動を決して軽々しく考えてはいけないと思う次第だ。

但し誤解なきよう願いたいのは、この動画を見るとMTR-40KTは使い物にならないとのイメージを持ってしまう危険性があることだが、この価格帯でソフトスタート機構をもたせるのはいささか無理であり、基本性能はしっかり押さえられている商品だけに取り扱いに十分注意しさえすれば信頼できる加工が出来るということである。

以上が電動トリマーはなぜコスト幅が大きいのかの理由だが、mini-Shopで販売している電動トリマーを例に取り実例をご紹介してみよう。


モデル名 回転数
/分
消費
電力
ラックピニオン
調整
ソフト
スタート
フィード
バック
回路
6mm
ストレート
ビット
ストレート
ガイド
専用
スパナ゙
キャリング
ケース
ダブテール
ガイド
販売価格

MTR-40KT 30,000 470W - - - - - - - - - - - - \10,800.-
TRE-40 30,000 370W - - - - - - - - - \13,100.-
TRE-55 24,000 500W - - - \21,800.-

上記の比較一覧を見て先ず気が付くのは、モーターの回転数と消費電力の違いだろう。
上の表から言えることは、MTR-40KTは+αの電子回路が無いにもかかわらず、消費電力が最も高い。 これはモーターのパワーも大きいということを意味している。

これに対しソフトスタート付きのより安全性の高いTRE-40が同じ回転数なのにも拘わらず、消費電力が低いが、ソフトスタート回路が電力を制御している関係からくる現象である。

そして最上級機のTRE-55は消費電力が最も大きいにも拘わらず回転数は低い。 その理由は負荷が掛かっても回転数が下がらないよう無負荷でも24,000回転に押さえているからである。 言い換えるとTRE-40を使っていて回転数が20%も下がるような負荷の場合でもTRE-55ならほぼ同じ回転数に保てる24,000回転)ということだ。

実はリョービ(株)に尋ねたところ、上の3機種に使っている基本パーツは同じ物だそうだ。

最上級機のTRE-55はプロも愛用するレベルであるので、基本部分が同じであればMTR-40KTの選択も安かろう=悪かろう!ではなく、長年信頼して使えると思うが、ソフトスタートラックピニオン調整機構がない点は十分考えた方が良い。

よってアマチュア用として長年の信頼性以外により安全に作業効率よく使えるバランスの良いものとしてはTRE-40が一番の推奨品になる。 特に女性にはこのモデルを絶対的にお奨めしたい。



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