HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


測定用の道具 1(コンベックス)
2004/05/07

測定用の道具 1(コンベックス)

日曜大工に測定用の道具がないと困ったことになる。 然るべき寸法を決めたり或いは測ったり出来ないからだ。 従って絶対に必要なのだが測定用とはいってもそれこそその種類はピンからキリまである。 ちょっと思い出しただけでも、

定規、三角定規、曲尺(指し金)、コンベックス(メジャー)、分度器、ノギス、水準器、下げ振り、スコヤ、プロトラクター、ピッチゲージ、マイクロメーター、シクネスゲージ、型取りゲージ ・・・・・・

と、きりがないほど上げられるが、私としてはこれらの中で、コンベックス、曲尺、ノギスの3点だけは絶対に持っておくべき道具として考えている。 というかこれら3点で100%近くの状況で精度の高い作業が可能である。

この精度の高い作業というのが極めて大事であることは改めて言うまでもないのだが、意外にもその辺りを正しく理解しそれらの道具を使っている方が少ないように見受けるので詳しく説明して行きたい。


コンベックス(メジャー)
これをお持ちでないかたはないと思うが、実は3種の神器の中で最も玉石混交、実に様々なコンベックスが販売されている。 これまでに私が購入したコンベックスは10個以上はゆうにあると思うが、7年程前までどうもスッキリしないまま使ってきた。 何がすっきりしなかったかというとコンベックスでの測定精度に疑問があったからだ。 そこで色々調べた結果次のような面白いことが判った。

   1.目盛が当てにならないもの(正確さが低い。 これは最低の品物だ)
   2.当てて測った時の精度と引っ掛けて測った時の精度が違う物。(これもどうしようもない品物)
   3.水平保持力、垂直保持力の性能の悪い物。(作業性の良し悪しに影響する。)
   4.内測が出来ないか出来ても直読できない物。(作業性と読取り精度に影響する。)

そしてその結果手持ちの悪かった物は捨ててしまい、比較的信頼性が高いと判断したものを購入した。

これだけでは納得行かないと思うので、7年前にやったテストと同様のことを手持ちのコンベックスで行った結果を次にご覧に入れよう。 ここではmini-Shopで販売しているTL25-5TL19-5TL16-3の3種類と更に手許にあった小型の物3種類を試験した。 TL25-5は7年間私が使いつづけたものだ。(長い大型の物もテストできると良かったのだが、TLシリーズ以外手持ちにはない。)

テストの方法は、目盛の正確さのチェック(とは言っても長さの原器があるわけではないので、相対比較だが)、曲尺の外側に引っ掛けて測る(500mmを指すはず)のと、内側に当てて測る(曲尺の幅分狭くなるので485mmを指す筈)のとの比較の二つだ。

公正さをを期すため全体の写真を撮り読みの部分は強拡大するとか色々工夫をしてはいるつもりだが、絶対計測ではないことをお断りしたい。 また当たり前のことだが一切の誤魔化しやトリックはない。  念の為。

長さチェック。 厚さ4mm 1820mmの合板に6種類のコンベックスを引っ掛けた。 浮上り防止に板でそっと押さえた。
ほぼ中間位置の1000mmの所に曲尺を当ててチェック。 その詳細は後ほどの写真で。
長さチェックの全景。 長さの原器がないから相対チェックだが、合板の全長を測ってみた。 マルテーのTLシリーズが3種類(左側の3個)と手持ちの小型の物3個(右側)

合板の端部分。 この写真では判らないが、後掲の拡大写真をご覧頂きたい。 上からB、フランス製、A、マルテーのTL16-3TL19-5TL25-5(私が使用しているお気に入り)である。



以下は上記の部分拡大写真で、左からコンベックス先端、1000mmの位置、合板の端の部分である。

テープの先を合板に引っ掛け、浮上り防止に板で軽く押さえた。 6個のうち4個は1000mmを指しているが、上から2番目は999mm弱を、3番目は999.5mmを指している。 一番上は1824.5mm1825.0mmの間を、2番目は1823.5mmを指し、他は1824.5mmを指している。



次の一連の写真はコンベックスのテープ端を引っ掛けて測った時と当てて測った時の違いをチェックしたもので被測定物として曲尺の目盛を使った。 外側で引っ掛けた時には500mmを、内側に当てて測った時には485mmを指すことになるはずである。(曲尺の目盛が正しいと仮定して)

マルテーのTL25-5。 25mmテープ幅 5.5mのプロ用。

当てて測定した左の写真の強拡大。 誤差なし!

TL25-5で引っ掛け式の測定。テープ端浮きを押さえた。

若干視差の影響があると思うが、誤差は-0.1mm

マルテーのTL19-5.19mm5.5mの手頃な物。

当てて測定した左の写真の部分強拡大。 誤差0だ。

TL19-5の引っ掛け式の測定。 テープ端浮きを押さえた。

その部分強拡大。 誤差ほぼ0といってよいだろう。

マルテーのTL16-3。 16mm3.5mの物。

当てて測定した左の写真の部分強拡大。 誤差0

TL16-3を引っ掛け式で測定。 テープ端を押さえた。

その部分強拡大。 誤差は-0.1mm位出た。

\700.-で買った某メーカーの幅12mm、長さ3mA

当てて測定した左写真の部分強拡大。 これは誤差なし。

引っ掛け式で測定中のA

-0.5mm位の測定誤差が出た。

これはテープ幅13mm2m\400.-の超安物でBだ。

当てての測定で約0.5mm長く表示している。

引っ掛け式ではどうか? ロックがないのでクリップで押さえている。

これも0.5mm長く表示。 この場合引っ掛け金具の取り付け位置がずれていると思われる。

これはフランスに出張中必要になって買ったテープ幅13mm3mのものだが、日本円で\600.-位だった。

当てての測定で+0.5mmの誤差がある。

引っ掛け式ではどうかな?フランス製。

何と-0.5mmの表示。 引っ掛け金具の移動量が大きすぎるのだ。




コンベックスでうちのり(内寸)をどうやって測るか? これも測定精度を考慮した内測直読型が望ましい。 それと大型の工作をするのに使い勝手で重要なのは水平保持力垂直保持力だ。 この能力が低いと2人掛りで測らなければならなくなるので作業性が悪い。 以下の写真をご覧になればお判り願えるだろう。

内測目盛(上の小さな目盛)で直読。 542mmと読める。

引出しの内法を通常の方法で測定。 この写真では視差があるが542mmだ。 こんなシチュエーションなら問題はないが。

収納棚の内側測定。 プロでも良くやるテープを曲げてのスタイルだが、これでは精度もへったくれもない。

内測直読型であれば一発で正確に読み取れる。 この差は極めて大きい。

マルテーTL25-5の水平保持力テスト。 2300mmまで折れない。

同じくTL19-5の水平保持力。 1900mmまで折れない。

テープ幅が一番細いTL16-3では1200mm迄。

こちらは垂直保持力のテストで、テープ幅が25mmと広いTL25-5はテープが撓むこともなく床と天井の間の測定(約2400mm)が可能で作業性が良い。 テープ幅が19mmTL19-5は何とか一人で測定可能だが、撓みがでるから読取り誤差には注意が必要だ。 尚これ以下のテープ幅のものでは折れてしまい一人で天井高は測れなかった。



まとめ

測定誤差について
測定誤差で最も問題なのはテープに印刷された目盛の精度だ。 上の簡単なテストの結果でも判るとおり、長くなればなるほど誤差が大きくなるという単純なものではない。 相対比較ではあったものの、マルテーの3種類が同じ読み取りを1000mm1820mm付近で示したのに対し、A1000mm付近で-0.5mm1820mm付近では丁度を指した。 Bについては1000mm付近ではマルテーと同じ読みだったが、1820mm付近では+0.3mm位の読みとなった。 フランス製のものは論外で1000mm付近で-1.3mm1820mm付近で-1.0mmの読み。

最も安定していたのはマルテーのTLシリーズであった。

引っ掛け式と押し当て式での測定誤差
マルテーのTLシリーズ3種類は何れの方法で測定しても読み取りのずれが0.1mm程度であり、非常に精度が高いと評価できる。 これに対しAは押し当て式ではOKだったが、引っ掛け式で-0.5mmの狂いがあり、Bは引っ掛け押し当て何れの場合にも0.5mm長く測定された。 この場合には引っ掛けるL字型金具の取り付け位置の精度が悪いと予測される。 フランス製のものはここでも一番悪く、当てたときには+0.5mm、引っ掛けた時には-0.5mmの誤差を確認した。

補足: JIS規格における許容誤差 (2006/01/27)

コンベックスに 「JIS1級」の表示がされていおるものは、細かな条件設定を省いて言うとその測定精度が±0.5mm以下になっている筈である。 となると上記でテストした殆どがJIS1級を満足していることになるのだが、どっこい実態はそうではない。

信頼できるメーカーは量産時のばらつきを考慮して生産管理上の誤差目標をJIS規格よりも厳しく設定し、どんなことがあっても0.5mmを超えないよう細心の注意を払っている。 その結果上記のテスト結果のように高品質のマルテー製コンベックスは
JIS規格に対し十分なマージンを持っているのである。

また実使用上での注意として、フックを引っ掛けて測定する場合にはフックの部分が浮き上がらないようにしないと測定値が大きめ(0.5mm位)にでしまうので、例えば両手を広げた程度の長さを測る場合にはフックがを片手で押さえてやれば正確に測れることを覚えておいた方が良い。 



内法直読について
市販されているコンベックスで内測が直読出来るものは意外に少ない。 マルテーのTLシリーズの場合総てが直読出来る目盛を有しておりこれは非常に親切である。 上記の写真のようにテープを曲げて測定したのでは、そのコンベックスの目盛精度が高くても内法測定では殆ど意味をなさなくなるし、だいたいテープというデリケートな部分を折り曲げること自身がナンセンスである。

店頭で見かけるコンベックスの中でストラップのついたものは内法測定が出来ない物と思って差し支えないが、出来ると表示した物でも直読目盛がなくコンベックスボディーの幅を読取り値から差し引かねばならないものがあるので要注意。

水平保持力と垂直保持力
マルテーのTLシリーズは公表している水平保持力は正確である事を確認した。 垂直保持力は我々の製作において遭遇する最も高い測定(天井高)で確認したのだが、テープ幅25mmTL25-5は実に快適な測定が可能だった。 19mm幅のTL19-5は撓みによる測定誤差に注意が必要だが、一人で天井高を測定可能である。 それ以外は天井高の測定を一人でやるのは無理がある。

どのようなコンベックスを選べば安心か?
我々の日曜大工における製作誤差については0.5mm以内というのが目標になると私は考えている。 この0.5mmはすごく厳しい値であるように思われるかもしれないが、場合によってはこれでも不十分なことがあり得るのだ。 例えば丸棒を穴に挿すとしよう。 穴の直径が丸棒より0.5mm大きかったら間違いなくぶかぶかだ。 経験上は丸棒の直径-0.2mm 〜 -0.1mm位がきつめに差し込める丁度良い穴の直径である。 またスライドレールで3段式やスチールボール型の物を使おうとすると、引出しと取り付け本体の隙間の精度は、0 〜 0.5mmという厳しさを要求される。 スピーカーボックスの製作においても内部のしきり板の幅精度が0.5mmより大きいと物にならない。

従って0.5mm以内の誤差で作ろうとしたら、測定する道具(コンベックス)の精度はもっと高くなくてはならない。 0.2 〜 0.3mmの誤差というのが私が考える許容値である。 

また読取り精度が高くても内法測定が正確に出来ない物は失格である。 水平保持力、垂直保持力が高いことも作業性に大きく影響する。 このように見てゆくとホームセンターの陳列棚にずらりと並んでいるコンベックスの中で使えるものは極僅かになってしまう。

こんな考察を加えた上で、私が7年前に総合的に比較して合格点を付けたものが、マルテーTLシリーズであり、自信を持ってお奨めできるピカイチの商品だ。 他のメーカーより若干高いが信頼して日曜大工作業に掛かれること請け合いであり精神衛生上も非常によい。

mini-Shopで販売しているTL-シリーズはこちらからお求めになれます。




Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.