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電動ドライバーの選択
2004/04/09

私は事あるごとに「これからの日曜大工にはネジの使用であり釘は時代遅れ!」といっているが、そのネジを使うときに電動ドバイバーは不可欠な道具になる。  ネジを締める!というと手回しのドライバーが当たり前であったが、釘に替わるネジ(コーススレッドやスレンダースレッドネジ)を手回しで締めるのはちと切ないからだ。

その大きな理由はネジが長いのと粗いピッチにある。 12mmの板を固定するのであれば、25-30mmのネジ、18mm辺りの板だと35-50mmのネジを使うことになり随分長い。 それより問題なのはピッチだ。 先週ご紹介したように従来の木ネジやタッピングネジに対してコーススレッド、スレンダースレッドネジのピッチはかなり粗い。 そしてこれは捻じ込む力をかなり要求しとても手回しでは追いつかない。 というか数本締めただけで嫌になってしまうだろう。

そこでモーターの力を借りた電動ドライバーが必需品ということになる。 その電動ドライバーも実に数多くの商品が売られており私自身も所有する電動ドライバー以外にこれまで10数機種を使った経験があるが、結論として使用目的をはっきりさせて中途半端な物は買わないほうが良い!との結論に達している。 電動ドライバーを使用目的別にグルーピングすると次のようになる。

 建築用:
 VIC's D.I.Y.では掲載していない本格的な建築用に使われるもので、太くて長いコ
 ーススレッドネジの使用が中心になるので締め付け能力の高いインパクトドライバ
 ーや電気ドライバーと呼ばれるもので無論プロ用である。

 販売価格は4万円以上といったところ。 充電式では12Vで充電器に放電機構を
 加えニッカド電池のメモリー効果による電池寿命低下が起きにくいものとか、充電
 をより確実にするため電池の冷却機構まで入ったものまである。
 重負荷の連続使用に耐えられことを前提に設計されているから価格も高くなるが
 信頼性は高い。

 数百万の材料費をかけて家を建てようというのであれば簡単に元は取れるといえ
 る。 (左は私が持っている日立のWH12DMで偶然安く買えたので所有。)

 大型工作用:
 コーススレッドネジを使うが連続に多量に使わないのであれば、手頃な価格のイン
 パクトドライバーや強力型の電動ドライバーでも対応可能でこのレンジのものは非
 常に多い。

 充電式のものが大半だが充電池のメモリー効果に対応するような充電器がついた
 ものは殆ど見かけないのでお奨めする気になれないものが多い。 充電池がおし
 ゃかになるとその費用負担はバカにならないので、AC100V式の方が後で損した
 気分にならないと思う。

 それと電動ドリルドライバータイプではキーレスチャック式が多いが、締め付け不十
 分になりやすくお奨めしたくない。 そんなことからこのレンジの電動ドライバーは
 中途半端と感ずるのだ。 (左はこのレンジの一例でリョービのBD-120)

 小型工作用:
 スレンダースレッドネジを使うことが主力になる。 便利さを売り物にしている充電
 式はお奨めでしない。 コード式でできるだけコンパクト軽量な方が良い。 狭い内
 側にネジを打つ場合には小さくないと作業が出来ないことも良くあるからだ。

 ここでもチャックレス式は締め付け不十分になりや
 すく女性の力では確実に締めつけるのは難しいの
 でお勧めではない。
 回転数が可変できれば便利といえるが、信頼性の
 高い締め付けトルク調整機構が付いているかどうか
 の方がきわめて重要。
 (左はリョービのFDD-1000)
     (右はチャックタイプとチャックハンドルの例)


独断と偏見による最初に選ぶ電動ドライバーは何かというと、無条件でリョービのFDD-1000だ。 廉価なためよく初心者用という言い方をする方がいる。 無論初心者にもってこいだが、ベテランでも主力の機材となれる実力は備えている。 但し実用性と損得勘定を重んじる私の考え方ではピカイチだが、スゲー機材を持ってるぞ!と自慢する見栄とかっこよさが重要な日曜大工には不向きだ。

一言で言えばFDD-1000は軽作業用に特化した電動ドライバーであってパワーを要しない作業には十分快適に使用できる。 その実力はどの程度かというと、サイト内で紹介している総ての大型収納家具は最長50mmのスレンダースレッドネジで組み立てられているのだが、FDD-1000だけで製作出来ているということでお判り願えると思う。 残念ながら私が持っている本格的なプロ用インパクトドライバーの出番はない。 結論として妥協し我慢して使っているのではなくいろいろ試した結果、最もバランスの取れたものがたまたま格安のFDD-1000だった!!ということなのである。

そのバランスとは、狭い所での作業もコンパクトなため可能であり、軽いから長時間の作業でも疲れにくい、50mmまでのスレンダースレッドネジは十分締め付けられる、20段のトルクリミッターで締め過ぎ無し、AC式だから電池の充電のことを考える必要なし、安いから簡単に元を取れる!などといったところであり、女性にもおおいにお奨めしたい。

そういった優れもののFDD-1000にも弱みがひとつだけある。 L字型のチャックハンドルがどうかするとうまくチャックとうまく噛み合わなくなることがあるのだ。 この点はT字型ハンドルに替えると解決できるが、価格を考えるとやむをえない所だろうか?
(註: 読者からのご指摘で確認できたのだが2007年/1月現在販売されているFDD-1000付属のチャックハンドルはT字型になっておりこの問題は解決している。)

FDD-1000ではどうしようもない場面が生じるようであれば、強力型の電動ドリルドライバーよりもインパクトドライバーを追加購入することを検討されたい。(出来ればAC式のほうがよい。) 例えばツーバーフォー材で屋外の大型工作を考えているのであれば、太いコーススレッドの使用が主になり、FDD-1000ではさすがに役不足になる。 インパクトドライバーとしたのは締め付け能力が格段に良いからで、ドリルと兼用できるからといって強力型電動ドリルドライバーを選ぶのはどっちつかずの中途半端だと思う。 本格的な穴あけはやはり穴あけ専用の電動ドリルに分があると私は考える。


電動ドライバーの使い方

電動ドライバーを正しく使う上で必ず守るべきことが3つある。 これら3つが守られないとねじの頭の溝が削れてしまったり、うまく締められずに作品に傷を付けることになるので十分注意したい。

 1.ネジの溝に合ったドライバービットを使うこと
  ネジの溝(プラスの形をしている)にドライバービットの先の十字がぴったりと
  収まらねばならない。 磨り減っていないドライバービットはネジの頭にピチッと
  嵌りネジを支えられる筈なのだ。(右写真参照)
  ドライバービットには先の太さで(軸の太さではない点に注意!)1号、2号、3号
  とあるが、我々日曜大工で使う範疇では1号と2号があれば十分で必ずこの2本
  は持っておきたい。 (左写真参照)
1号は小さな3.0φ以下のタッピングネジや木ねじ用である。 2号はその上3.3φのスレンダースレッドから4.5φのコーススレッドネジまでかなり広い範囲をカバーでき使用頻度も高い。 3号などは日曜大工ではほとんど使われないであろうかなり溝が大きいネジ用である。

ドライバービットは様々な物が販売されているが似たり寄ったりで、これが一番良い!という自信を持ってお奨めできるもにはお目にかかったことがまだない。 何れもビットの焼きが甘くて減りやすいのだ。(ビットが磨耗してくるとネジの頭から外れやすくなりネジの溝を痛めてしまう。) (右写真参照)

  経験上お奨めしたいのはビットの先が細くなっているもので、ネジの頭部分が
  良く見え作業性がよい。 このビットの軸が細いということはネジを埋め込んで
  しまおうという場合にも都合がよいのだ。 (左写真参照)

  ビットの先にネジを嵌め込んでぐらつくようであればうまくないし、大は小を兼ねず小は大を兼ねないと
  いうことを心しておくべきである。


 2.捻じ込む時にはネジとビットが1直線になるよう保つこと
  簡単なようでこれが出来ていないケースが初心者に多く日曜大工教室では約
  80%の方がネジの軸とドライバービットの軸が直線でないまま捻じ込もうとし、空
  回りさせていたことを目撃している。  熟練者がやっても両軸が1直線にならな
  いとドライバービットはネジの頭から外れる。 そしてネジの溝が異常に磨り減っ
  て捻じ込めなくなるしビットも痛みやすい。 (左の写真はまずい例で極端に曲
  がっているのだが、本人は意外にそうとは感じていないことが多い。)


  これを防止するにはネジが入り込み出したら電動ドライバーのお尻の部分を左
  手の平で包むように添えてやると1直線を保ちやすいし、次に述べる問題解決
  を図ることも出来る。 (右の写真参照。)


3.捻じ込む方向に力を加える。
  スレンダースレッドネジのネジピッチは2mm位である。(1回転で2mm捻じ込むことを意味する。)  例えばFDD-1000を使っ
  たときには1分間で400回転(無負荷では540回転だが)で回るとすると、40mmのネジを締めこむのには20回転で終わり計
  算上の所要時間は3秒ということになる。
  これは始めて電動ドライバーを使った人には、あらららら?!という間のほんの僅かな時間だ。
  この時捻じ込む方向に押す力がないとあっという間にネジの頭からドライバービットが外れ空回りしてネジの溝やビットを傷つ
  けてしまう。  捻じ込む方向に力を入れないといけないのは手回しの時でも同じであるが、初心者の場合電動工具を操作す
  るとどうしても恐怖感が付きまとうのか押すどころか引いてしまう方さえ見受けられる。(女性にそのような方が多いようだ。)
  中途半端に押しているとネジからビットが外れその勢いで材料面に当たりビットの先で傷をつけてしまうことも多い。

  これをなくそうとドライバーを握った右腕で押す力を入れようとすると、2.の問題が出てしまう。 ベストの解決策は右上の写
  真のように左手の手のひらを電動ドライバーのお尻のところに載せてやればよい。 直線性も出しやすく自然に押す力を与えら
  れるので一挙両得の方法である。

以上の3点は必ず守らなければならないことだが、もうひとつネジ打ちに慣れるまでのテクニックがある。 

コーススレッドやスレンダースレッドネジは構造上下穴無しでも捻じ込みやすくなっており、ネジの首の部分を左手の親指と人差し指で摘んでネジが刺さり出すまで支えればよいのだが、初心者にはなかなかうまく行かないかもしれない。 また女性にとっては指先の皮がこすられたりするのが嫌かもしれない。

そんな場合には下穴をあけてからネジ締めする方法をお奨めしたい。 穴の直径はスレンダースレッドネジの場合直径3-3.5mmで良いだろう。 こうすることによりその下穴にネジを挿してからドライバービットを当てられぐらつきがぐっと少なくなるから、右上の写真のスタイルでいきなり捻じ込める。


 よくある誤操作、勘違いについて

 電動ドリルドライバーの場合ドリル機能も有していて便利だが私が良く見かけた
 誤操作や勘違いがある。 それらによる実害はないのだが、機械が壊れたと思
 われた方もいたので触れておく。
 第一は逆回転のままドリルで穴があかない!!と慌てている方を見かけた。
 (左の矢印がFDD-1000の方向切替スイッチで飛び出ていれば正方向回転)

また穴あけの際にクラッチを数値の小さい方に設定したまま使うと電動ドリルが空回りしてしまう。 穴あけをする場合にはクラッチをOFFにするか数値の大きい方にセットしておかねばならない。

右はFDD-1000のクラッチ設定ダイヤルだが上はにセットしてありネジ締め用の状態。 下はダイヤルを20を超えて回しきった所にあるドリル用の目盛にセットした状態。 この時クラッチはOFFとなり作動しなくなる。



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