2005/12/02
なにやら自戒の念をこめての書きだしなのだが正にその通り。
今回取り上げるテーマはmini-Shopで販売開始したミニ電動サン
ダーについてである。
実はこの新製品(S-5000)を持ち込まれたときその販売価格を聞
いて私は「こりゃ駄目だ!!」と決め付けてしまった。 というのは
希望小売価格が\12,000.-。 標準サイズの廉価版電動サンダー
(MS-350)が\11,000.-、その上の集塵サンダー(NS-350M)
が \12,900.-なので、集塵機への接続アダプターが標準で付い
ているとは言え、小さいこれがそれらの間の価格というのは納得で
きなかったことと、どう考えても研磨能力が低い事だった。
営業のかたは、「大橋さん取り敢えず試してみてください!」と
置いて行ったのだが、あまり印象が良くないため約1週間は使わな
いままほったらかしていた。
ところが今週製作詳細を紹介しているクリスマス用テーブルランプ
の球状の台を研磨した時に、この電動サンダーでなくてはならない必然性を発見した。 正に180度評価が変わってしまったのである。
ずばり結論を先に言うと、このミニ電動サンダーは「片手で操作できる唯一の電動サンダー」なのだ。
標準サイズの電動サンダーは、サンドペーパーを3等分して取り付
けるように設計されている。 ペーパーの大きさで言えば93 x
230mmとなるが、ペーパーの端を折り返して固定する為台の大き
さは長手方向が短く、93 x 185mmとなっている。
今回発売されたミニサンダーはこれに対しサンドペーパーを6等分し
て使いペーパーサイズは75 x 140mmと規定している。 台の寸
法で言うと75 x 105mmしかなくその面積は標準の物の約46%し
かない。(左は上が標準サイズのMS-350、下がS-5000.)
研磨圧が同じだとすればモーターの回転数が早いほど或いは振動
のストロークが大きいほどそして研磨面積が大きいほど研磨能力
は高まる。 それら3つの要素のどれを取ってもこのミニサンダーは
劣る。 従って前述の「研磨能力が低くて駄目だ!」との判断は
必ずしも間違っているわけではない。
但しそれは研磨圧が同じ場合のことであって、実際の局面ではそう
でなくなってしまうことがある。 それが片手操作だ。
標準サイズの電動サンダーを使ったときに研磨圧を上げようとした
ら必ずサンダーは両手で握らなければならない。
もしも片手で握って作業したとすると研磨圧を増加させるには手首
をひねるように力を入れないと研磨面に均等な研磨厚は発生しな
い。 そしてこれは手首に非常に苦痛を伴うやり方である。
(左写真参照。)
しかるにS-5000の場合はどうかと言うと手の中にグリップがすっ
ぽりと収まってしまい真上に来るので手首に大きな負担を掛けるこ
となく研磨圧増加でき、標準サイズのサンダーとは比較にならない
くらい手首の疲労が少ない。
従って「片手で操作できる唯一の電動サンダー」という結論を出
したのである。
片手片手と何故そんなに騒ぐのか? と不審に思う方がおられる
かもしれないが、一般に小さなものを研磨しようとした場合は一方
の手で作品を支えないと電動サンダーの振動で作品が動いてしま
うから片手で電動サンダーを操作せざるを得なくなる。
その一例が今回製作したクリスマス用テーブルランプの台で、球状
のものを研磨するのにサンダーを両手で握ったら、凹面の台を作っ
てやらないと絶対に安定して研磨できないし、電動サンダーは動か
さずに研磨する物を動かす(或いは回転させる)やりかたの方が良
いこともあるのだが、凹面の台ではそのような作業も出来ない。
もうひとつ大事な事はサンダーの接触面積が小さい場合には標準
型の大きな研磨面は必要ないことだ。 このようなシチュエーション
は凸面研磨で起きる。(左写真参照)
こういった場合には前述の計算上の研磨能力の差はなくなるし、サ
ンダーの重量が軽い方が長時間の作業に絶対に有利である。
以上で十分ご理解願えると思うが、ミニ電動サンダー(S-5000)だ
からこそ可能になる研磨作業というものが厳然としてある。 そして
価格差を超えた必然性がある。(無論安ければ更に良いが?)
かくてS-5000は私の常用工具の仲間入りをすることになった。
但し、「大は小を兼ねない!」、「小は大を兼ねない!」も事実
であり、これまで使った標準サイズサンダーがこの為にお払箱にな
ることもない。
片手研磨作業、軽さが重要な作業(壁面、天井面の研磨など)
においてはピカイチの道具であり、絶対お奨めの1品である。
註): ここで紹介したミニ電動サンダー(S-5000)はmini-Shopにてこちらからお求めいただけます。
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