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日曜大工での特殊計算
2006/10/13
日曜大工において計算をするような場合大半は加減乗除の四則計算で済んでしまいますが、時には特殊な計算をすることにより作業精度の向上が図れることがあります。 それら特殊な計算とは平方根と三角関数です。
これらの計算は大昔では計算尺で略式計算、10数年前までですと関数電卓を購入しないとなりませんでしたが、パソコン使用が当たり前になった今ではソフトの持っている関数計算機能を使えば何も余計な出費をする必要性もありませんし、関数電卓のフリーソフトもありますから、気軽に日曜大工に取り込みたいものです。
これらの計算を日曜大工で何に使うかというと最も使用頻度の高いのは角度の測定と角度の割り付けでしょう。 角度の測定というと誰でも小・中学校時代に使った分度器を思い起こすかもしれませんが、小さな工作であればいざ知らず大きな作品の日曜大工用には測定精度が低くて使いものになりません。 またプロトラクターと呼ばれる角度の線引きや角度の測定に使うプロの道具がありますが、大変高価なことと刻まれている目盛りがせいぜい
0.5
度刻みであるため、読み取り精度は
0.25
度程度までしか期待できません。
こんな場合に平方根と三角関数の計算を取り込めれば、長さを測ることにより正確な角度の測定や割付が可能になります。
例えば大半の作業での角度測定は直角であることが多いわけで、それであればJIS規格に合致した曲尺で測れば
500mm
離れた位置で角度のずれは
0.5mm
以内で測定できますから測定誤差は約
0.1
度となり通常は充分な精度です。
しかし
45
度、
60
度など
90
度以外の測定になると途端にお手上げになるはずで、そこで登場するのが2種類の角度測定方法です。
1.ピタゴラスの定理
「直角三角の斜辺の二乗は残りの2辺それぞれの二乗の
和になる。」
という良く知られた定理で、日曜大工で最も使用す
ることが多いと思われます。
この定理を使って計算する場合には平方根が計算できる電卓
が必要になりますが、辺の比が
3
、
4
、
5
、となったときには、
3
と
4
がなす角度は直角になる!などは電卓不要です。
また直角三角定規に使われる
1:1:√2
や
1:2:√3
の場合には
直角以外の角度が
45°
、
30°
、
60°
になりますので、これら
の角度の割り出しにも使えますし、
√2
(1.41421356
ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ
と覚える)
、
√3
(1.7320508
ヒトナミニオゴレヤ
と覚える)
と平方根値も覚えやすいですから併せて使えば角度のチェッ
ク、割り出し作業が、電卓がなくてもかなりの所まで出来ます。
ピタゴラスの定理を使って
30
度、
45
度、
60
度、
90
度を長さを測ることにより間接的に測定したり角度の割付が出来ますが、それ以外の角度を測定する場合には次に述べる三角関数を使った計算で可能です。
2.三角関数
角度の測定のために分度器を使う方法がありますが、測定精度を上げるのはかな
り困難です。 プロトラクターと呼ばれる角度を読んだりある角度の線を引いたり出
来る道具がありますが、
0.5
度の目盛りが付いた高精度の物は1万円以上します
ので日曜大工にはちと敷居の高い道具になってしまいますしそれより高い精度で
というとお手上げになってしまいます。
その代わりに三角関数を使えば長さを測定して間接的に角度を割り出す事が可能
で、この場合にはコンベックス、曲尺、ノギスを使えますので我々にとって大変現
実的です。 しかもかなりの高精度で実現できます。
三角関数の定義は左の図のようになっており、
サイン
(sin)
、
コサイン
(cos)
、
タンジェント
(tan)
、そしてそれらの逆関数である
アークサイン
(asin)
、
アークコサイン
(acos)
、
アークタンジェント
(atan)
があります。
と解説すると頭が痛くなってしまうかもしれませんが実際の計算はExcelを使ったり
電卓を使えば簡単で、後ほどその方法を説明します。
三角関数を使わないとならないシチュエーションが日曜大工でもあります。
例えばある材料の角が何度になっているのか? またはある角度の線を引きたい
のだがどうすればよいのか?などです。
三角関数を使って様々な計算をすることが可能ですが日曜大工にすぐに応用でき
る方法を以下に解説します。 尚登場する計算式は数学の講義をしているわけで
はありませんので、そうなるまでの経過は解説せず結果だけをお知らせします。
角度を測定する方法
ある材料の角度(
A
)を知りたいと仮定します。 右の図で知りたい角度の角から離れた位置2点
B
、
C
を決め、各点の距離(
X
、
Y
、
Z
)を測ります。
これらの点は離れていればいるほど正確に測定できます。
そうしましたら図中の数式の
X
、
Y
、
Z
にそれらの数値を代入して計算すれば角度
A
の値は求まります。
以上の計算は関数電卓を使ったことのある方なら簡単にできる
と思いますが、Excelの関数機能を使って表の中で計算することが出来ます。
右の図はExcelを使って自動計算をさせた例です。 上に掲げた図を利用して
X
、
Y
、
Z
の値を代入するセルをそれぞれ
K35
、
T35
、
O41
とし空色で塗りつぶしてあります。
そして計算結果を表示するセルを
Z31
にしてこのセルには数式、
=ACOS((K35^2+T35^2-O41^2)/(2*K35*T35))*180/PI()
を入れました。
K35
、
T35
、
O41
に仮に
800
、
900
、
1124
と入れた結果答えが
82.6
(度)と出ています。
K35
、
T35
、
O41
に別な値を入れれば当然それに応じて
Z31
の答えも替わります。
こんなファイルを作っておけば面倒な計算無しに
A
、
B
、
C
3点間の長ささえ測れば角度計算はお手のものです。
角度を正確に割り付ける
次が逆の作業例で任意の角度を割り付ける
(線引きする)
方法を説明します。
この場合は割り付ける角度
A
、線分の長さ(
X
と
Y
)を予め決めておきます。 ここでは角度
A
を仮に
80
度、
X
を
850mm
、
Y
を
1100mm
、としておきます。 右がそのために作った表で計算する式をセル
X46
に、
=SQRT(K50^2+T50^2-2*K50*T50*COS(Q47*PI()/180))
と入れました。
答えは
1268mm
。 つまり
B
と
C
の距離が
1268mm
になるようにすれば、角度
A
は
80
度になるわけです。
註) セルに入力する式の中で、
180/PI()
や
PI()/180
という式はExcelで使われる角度の単位が我々の馴染み親しい「
度
」ではなく「
ラジアン
」という単位になっており、
2πラジアン
が
360度
になります。 その変換のためにこれらが追加されています。
数学的には本序の口ですが、以上の計算式を使うことにより作業の幅や製作テーマが拡大できます。 無駄な出費を極力抑えながら内容の濃い一歩上の日曜大工を目指すときに恰好のテクニックとなるでしょう。
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