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12cm こだわりスピーカー
   
 2004/10/15

構想

私の3人の子供はそれぞれ独立し一緒に住んでおりませんが、そのうちの娘に昨年の今ごろスピーカーを作って欲しいと頼まれ12cm 2Wayのタワースピーカーを製作しました。 その結果に刺激されたのか、息子の一人がやはり作って欲しいと言い出したのですが、こちらの場合は大変こだわりが強く最近になってやっと基本仕様が決まりました。 条件は出来るだけスリムで洋室で使うことを前提とし、予算のことはあまり考えないでより質の高い物を!という内容でした。 構成としては奇をてらわずにオーソドックスなもので考えて欲しいとなっています。 また漏洩磁束に対しては完全AV対応でなくても良いが、出来るだけ漏洩磁束は少ない方が良い!とのコメントが付いていました。

 その後色々とユニット構成を考えたのですが、娘用に使ったFW-127は既に製造中止になってし
 まい、12cm以下では防磁構造の要望を満たしそうなウーファーがありません。 あれこれ考える
 うちにこれしかない!と選んだのはFostex12cm全域型F120Aでした。

 このユニットは最近では殆ど使用されていない高価なアルニコマグネットを使ったものですが、アル
 ニコマグネットの磁気回路は漏洩磁束が大変少なく、実用上はAV対応にほぼ近しいと考えてよい
 です。 かなり前になりますが、短時間試聴した時にかなりデリカシーの高いユニットであったのを
 記憶しており、その内に使ってみたいと思いながら、価格のこともあり今まで購入には至っていな
 かったユニットでもあります。  問題は価格で1個\16,500もします。

但し高域はやはり全域型の宿命と言うかいまいちのレベルに留まってしまう可能性が高く、トゥイーターないしスーパートゥイーターを是非とも追加したいところです。 そこで音色的に合いそうなトゥイーターを物色する中でFostexFT7RPという全面駆動式振動系を使ったものを検討することにしました。 このトゥイーターは一般にはリボンタイプと呼ばれるものとほぼ同じ動作をしており共通して言えることは、大変繊細な再生することで知られています。

ここまで考えてネットワークをどうしようか?と進んだのですが、音質を阻害する要素は極力排除したいため、ネットワークに内に常識的に含まれるアッテネーターを取り除きたいと考えました。 しかしF120Aの音圧レベルとFT7RPの音圧レベルの差は4dBありそのままでは高域が出すぎでアッテネーターを追加せざるを得ません。 そこでまた一思案の後に思いついたのは、F120Aを2個にFT7RPを1個使う方法で、これなら1dBの差に縮まります。 実際にチューニング時に確認せねばなりませんが、アッテネーター無しでOKの可能性がありますし、ネットワークのクロスオーバー周波数の調整で済む可能性もあり、この構成で提案することとしました。

問題は費用で、そうでなくとも高価なF120A4本とFT7RP 2本の合計が定価で\80,000を超えてしまいますが、息子曰く「1セット10万円出しても気に入ったスピーカーがないので、そのくらいの予算なら問題ない!」とのコメント。 なんとも頼もしいというかおおらかな考え方なので、骨格はまとまりました。

 箱の構造は、要望もあってオーソドックスなバスレフ型とします。
 というかこのユニットはオーバーダンピング型が多い中で、バスレフ
 タイプに極めて相性の良い動作定数を有していますので、奇抜なこ
 とは考えない方が良いと思います。
 唯一音の好みについては一言も二言もあるので十分にチューニン
 グの許容範囲を広く取る必要があり、バスレフポートは塩ビエルボ
 を使った私のおなじみのものを採用します。

 そしてバスレフミニタワーではエルボの開口部分を上に向けました
 が、中域の輻射を押さえるために下に向ける事にします。
 そしてこうした時にパイプの長さ調整はユニット取り付けの穴から
 では不可能になるので、底の部分を取り外せるようにしてやること
 を考えています。 この方法ですと蓋の締め付けボルトを座板の裏
 に隠すことが出来ますから、外観上でも有利です。

 現在の寸法は仮寸法ですが板厚を20mmとすると約21リットル
 なります。 適正な容積は18-19リットル必要との計算が出ており
 ますが、ユニットの体積、ポートの体積、そして補強材の体積や吸音材で目減りすることを考えると、大まかにはこんな寸法になろうかと思われます。

計算上では50Hzまでほぼフラットの特性が得られるとの結果で、一般的な低域再生能力の表現(10dB落ち)からすれば35Hz近辺まで再生できるはずです。  また2個使いで得られる低音の再生能力アップ、大きなダイナミックレンジも期待できますので、小型とは言えかなりのポテンシャルを持ったシステムになるはずです。



2004/10/22

詳細設計

 その後箱を作る材料を物色する中で、21mm厚のラジアタパイン材を使うことに決定し、効率的な
 板取りを考慮して寸法の微調整を加えました。  ラジアタパインはこのところ急速に出回ってきた
 木材ですが、ニュージーランドを中心に計画植林で栽培されているようで、昨今問題になっている
 無謀な伐採で資源の枯渇が問題になっている木材とはちょっと趣が異なります。

 これまでにラジアタパインを使ったスピーカーボックスの製作経験はありませんが、松系独特の響
 きの良さを期待したいことと、長い棒を貼り合せた作り方をしており小片を繋ぎ合わせたメルクシパ
 インなどのものよりムク材に一歩近いと言う点も気に入っている点です。  それと長い棒の貼り合
 わせにもかかわらず、節が全くないという特徴がありますので、前板角をドリマーで成形するのも楽
 にできるメリットもあります。  そして価格が大変リーズナブルな点も見逃せません。

 今回の設計では奥行きが長いことを考慮し、内部の横3箇所に補強棒を入れて、箱鳴りが過剰に
 ならないよう押さえることにしています。 この補強棒もラジアタパイン集成材の余りを利用します。

 唯一気になるのは木目で大変大柄です。 どうみてもデリカシーを感じさせない点が好みの分かれる点に
 なるかもしれません。 しかしニス仕上げは決まっている物の色調までは決まっておりませんから、組立て
 が終了してから色調で大柄な木目を押さえるかどうかを検討することにします。

 板取りの効率はまあまあの部類に入ると思います。 400 x 1820mm を2枚と、
 250 x 910mm 1枚で作れることが判りました。 台座は18mm合板と12mm
 合板を貼り合わせた木口にシナの木口テープを貼って仕上げます。

 さてバスレフのBOXとしての設計値は前回お伝えしたように約18リットルと求めら
 れています。 微調整後のない容積は20.9リットルですが、スピーカーユニット、
 バスレフポートの占有体積や補強棒追加そして吸音材追加による目減りで、ほぼ
 設計値になると思います。


一方バスレフポートの標準共振周波数は57Hzと求められこの時のポートサイズは、#50塩ビ管の内径56φの時に長さが80mmと求まりましたが、延長パイプ無しのエルボの内径は約60mmあります。 内径60mmでポートの長さを再計算してみます
と長さは94mm必要との結果です。 そしてエルボ中心長は100mmですのでかなり接近します。

これまでの経験ではエルボ内の共振は、中心長よりも若干短めの直管として動作しているような傾向を感じていることと、設計値よりもポートの長さを若干長めにしたほ
うが帯域バランスが良くなることが多いので、ポート長可変構造を踏襲し、57Hzから45Hz辺りまでを調整範囲として考えることにします。 45Hzの場合のポート長は146mmとなりますので、70mmのパイプをエルボに挿し込む事になります。

そして前回触れたようにポートの長さ調整は底板の取り外しでやることにしました。
固定するボルトが見えなく出来、内部のポートの先端が下を向き余計な中域の音漏
れを押さえる点でも有利に働くと思います。

 F120AFT7RPを繋ぐネットワークは出来るだけシンプルな物をということで、クロスオーバー周波数は
 6000Hzとし、F120Aの高域を6dB/オクターブでカットしFT7RPの低域は12dB/オクターブでカットす
 る。 というやや変則的なものを設計しました。

 本当はどちらも6dB/オクターブのスロープにしてやれば最もシンプルになるのですが、その場合FT7RP
 が低域大入力で破壊される心配がありこのような構成としました。 6000Hzという値はF120Aの高域特
 性を見て決めたものです。 また実際に試聴して確認してからにしますが、FT7RPのレベルが高すぎたと
 きのことを考え、減衰器R1R2)の挿入も一応準備しておきます。

以上のような経緯で細部の設計は一通り終わりました。 後は製作を開始するのみですが、DVD収納ケースとの兼ね合いのみが問題です。



2004/10/29

製作開始

DVD/CD収納ケースと平行にスタートする可能性があったのですが、DVD/CD収納ケース用木材は入荷が遅れることになったため、こちらを先に製作開始しました。  購入したラジアタパイン材は殆どをホームセンターで切断してもらいましたが、私が頼んだホームセンターのカットサービスは大変技術があり、私の厳しい要求を快く受け入れてもらえました。 切断費用は\750.-で済んでいますので大変割安感がありますし、切断精度は0.5mm以内に入っていました。  正直言うと私が以前ホームセンターにお世話になっていたとき、パネルソーを始め殆どの木工機械を操作することが出来たので、0.5mm以内の切断精度に収めるコツや大事な点に付いては知っています。  ですからホームセンターにしてみれば私は扱いにくい客となります。

2年程前にあるホームセンターで切断精度を尋ねたところ「2mm以内!」と言われあきれ返ったことがあります。 かなり知られたホームセンターだけにがっかりしました。 実際ホームセンター間でかなりの技術力というか考え方や工作機械のメインテナンスも含め切断精度には差があるようです。

組立て順序としては裏板と天板の固定、次に底板固定枠の固定両側板の固定穴あけエルボの固定内部のニス塗り吸音材の貼り付け前板の固定という順序で箱を完成させますが、今週はエルボの固定までとなっています。

接合には木ダボを使い木工ボンドで接着と言うことになりますが、十分な密着度を確保するため、自作の木製クランプ計5組と300mmハタ金8本を使用しています。 家具の製作などではここまで密着度を上げる配慮は不要でしょうし大げさな感じがしないでもありませんが、木材間を音が伝播する際の悪化要素を押さえるために、木材と木材がぴったりと接触するためには絶対に不可欠と私は考えています。 接着剤の固まりで隙間が埋まっているなんていうのは論外です。

それらの作業の様子は以下の写真でご覧ください。

ホームセンターで切断してもらった21mm厚ラジアタパイン集成材。 手前の小さな板のみ更に手引きノコでで切断しました。

問題の好みが分かれる!と、お話した木目はこんな具合です。 節はないのですがなんとなく大柄、大雑把な感じがします。

上の写真の小さな板から更に手引きノコで天板、底板、補強用の棒を切り出しました。 縦引きですがこの程度でしたら苦もなく横引きのノコギリで切断できます。

裏板と天板の接合開始。 の木ダボで接合するための穴あけを済ませたところです。

自作の中型クランプで裏板と天板を挟み締め上げて密着度を高めています。 L型部分の直角出しは十分な調整が必要です。

L型に接合している部分のクローズアップ。 クランプの位置を上下に移動すると、直角度の微調整が出来ます。

端材の18mmラワン合板から切り出した底板固定枠。 内部をジグソーで切断してます。 棒で組んだ枠よりも精度が高く強度も取れます。

その底板固定枠を裏板の反対側に木ダボ併用で木工ボンドにて接着。 この場合にはハタ金で密着度と直角度の調整をしています。

側板を木ダボ併用で固定するため、ダボ穴を10箇所あけました。 コの字側は深さ20mm強、側板側は10mm強としています。 無論位置決めにはマーキングポンチを使っています。

左は片方の側板貼り付けが終わった物で右は接着剤硬化までの圧着中。 自作中型クランプ3組と300mmハタ金7本を一度に使うため、4面全てを貼り終わるにはゆうに1日掛かります。

反対側の側板を接着するためダボ穴をあけます。 現在マーキングポンチでダボ穴位置を決めているところ。

再び自作中型クランプとハタ金は全員集合。 なんともはや気の抜く暇のない緊張が連続の作業です。

箱の形に無事なりました。 側板のトップ部分は僅か0.3-0.5mm)突出していますが、予定どおり。(後でペーパーで突出部分は削ります。)

こちらは底の部分。 台座に固定された底板が嵌まり込み、後で枠に取り付けられる鬼目ナットにボルトで固定します。

裏板にバスレフポートとスピーカー端子板の固定穴をあけました。

#50エルボをエポキシパテで固定。 これも実績の十分ある固定方法になりましたが、次の作業に支障のない程度に硬化するには1週間かかります。

これに前板が付いて座板が固定されれば箱の組立ては終了ですが、補強や板割れ防止処理がその前に必要です。
ところで重量は座板なしで既に8kgあります。 スピーカーユニットは4.5kgありますから、座板、ネットワークを含むと15kg近くなってしまうでしょう。 口径12cmのシステムとしてはかなりの重量級です。



2004/11/5

製作その2

スピーカー製作講習会に参加されている皆さんの参考に是非とも聴いていただきたいと思いトィーターの追加は間に合いませんが、F120Aの並列接続で聴いてもらうべく作業を急ぎました。

実は設計段階では箱鳴りを制御する補強棒を3本入れることを考えていたのですが、1年前にロッジーポールパイン集成材で作ったときに板の接着部分の剥がれや割れが数箇所出来てその補修と追加補強をしたことを思い出し、箱鳴り対策の前に割れ、剥がれ防止をしないといけないことに気が付きました。  そこでもっと効果的な補強で固めることにしました。 この補強に関しては設計図には反映されておりませんので、ご注意ください。 どのような補強を施したかは写真をご覧頂きたいと思います。

前板にスピーカーユニット取り付け穴をあけその周りも補強した上で接着部分はマスキングテープで覆い油性ウレタン透明ニスを2回塗りしていますが、この目的は湿気を集成材が吸って膨張・収縮を少しでもすることが無いようにとの目的ですから、20%薄め液を加え充分に沁み込むようにしています。

スピーカーユニットと底板の固定は六角ボルトと鬼目ナットを組み合わせたもので、取り外し回数が増えてもネジが馬鹿になるようなことはありませんし、充分に締め付け力を上げられます。

ウレタンニスが完全に乾燥後前板を木ダボ併用で接着して箱が完成しました。 吸音材についてはFMミクロンウールを対向面の片側だけという私の標準的な貼り方で取り敢えず試すことにしました。

ポートの調整も追加のパイプなしでもそれ程バランスが崩れるとは考えられませんので、エルボのみの状態で取り敢えず聴いて見ることにしました。

ここまでの作業の様子を以下の写真でご覧ください。

前板に3個のスピーカーユニットの穴をあけました。 板厚が21mmあり少々厳しいかなと思いましたが、小型のCJ-250を使って切り抜いています。 

前板のF120AとFT7RPの間は18mmしかなくこの部分が割れやすいはずなので、18mm合板を切断した棒を貼って補強しています。

箱の上部の隅にラワンの角材を貼り補強しました。 他の補強もそうですが、木目と直角方向に補強棒を貼り付けるのが基本です。

箱の中間から下の方に2箇所コの字型となる補強を18mm合板を切断して貼り付けています。 これらは最終的にはコの字ではなくロの字の補強になります。

中段と下段の補強枠は前側を加えてロの字型になりました。

上から見下ろすとこんな按配です。 上の枠のみトウィーターが当るのでコの字の枠のままです。

補強だけでたっぷりと1日掛かりましたが、ここまでやれば割れや剥がれは発生しないでしょうが、更に湿気を吸わないよう内部前面をニス塗りします。  大袈裟かもしれませんが、拘りの積み重ねのひとつとお考えください。

組み上げた箱の内部と前板裏側は接着部分をマスキングテープで覆い油性ウレタンニスを2回塗りして集成材の吸湿を抑えます。

1昼夜寝かした後いよいよ前板を接合。 の木ダボ14本を使って木工ボンドで接着します。

中型クランプで中央と両端を締め上げ、それらの間を8本のハタ金で密着度を上げています。 大型クランプが出るまでもありませんでした。

スピーカーは付属の木ネジではなく、ステンレスのM4六角ボルトと鬼目ナットの組み合わせで固定しました。 頻繁なネジ締めでも馬鹿になることはありません。

吸音材(FMミクロンウール)を仮に内部対向面に貼り付け、スピーカーユニットとスピーカー端子板を固定し結線して全域型として音が出る状態(トウィーターは未結線)となりました。  これで講習会に持ち込めます。



2004/11/19

ネットワークとフロントグリル

 ネットワークを組み上げる基板を設計しました。
 今回ネットワークを構成するコイルやコンデンサーは1個\1,500-\2,000.-もする高額で拘りのあ
 る部品ですので、それらに見合った作り方をしないと意味がありません。
 また調整段階でコンデンサー、コイル、抵抗の入れ替えが頻繁に発生するのでいきなり半田付け
 にはしたくなく、それらの部材はネジ止めにて調整し、チューニング終了後はネジごと半田付けす
 ることにします。

 左の図がネットワーク基板の実物大のもので、抵抗、コンデンサーは2.7φ 30mmのニッケルメッキ
 真鍮ビスをポストにして固定します。 また入出力端子はのネジを使い、ワイヤーは半田付けで
 はなくてナットで固定するように考えています。
 基板はガラスエポキシの1.5-2.0mm厚とし、プリントパターン幅は最低でも8-9mm幅となるよう
 に考えます。
50Wの信号が入ってくると2.5Aの電流が流れる。 パターン1mm幅で1アンペアの電流を流せるといわれているので8-9Aまで電流を流せ十分なゆとりがあるが、直流抵抗の増大による音質劣化を押さえるために幅を広く取っている。)

以上の設計に従い部材を秋葉原に調達に行かねばなりません。 次週にはその製作の様子をお伝えできると思います。


フロントグリルのデザイン

 外観上の仕様はボックス本体を着色無しのツヤ無しニス仕上げ、台座はライトオーク色に着色後
 艶あり透明ニス仕上げ、フロントグリルはこげ茶色と希望を聞いています。 残るはフロントグリル
 のフォルムが未定です。

 私には一番苦手な領域ですが何とか7種類のグリルデザインを描き上げて送付し希望のフォルム
 或いはそれらからの変更や組み合わせについて打診しています。

 左の図をクリックするとそれら7種類のフォルムをご覧いただけますが、外観のリアリティーを出す
 ためにラジアタパインの木目写真をとりそれからパターンファイルを作りそれで描画しています。

 以上が今週の進行状況ですが、肝心なスピーカーのほうはどうかというと、エージングを継続して
 おり中音のまろやかさがぐっと増してきています。 次週にはチューニングに入っても良さそうなので、ネットワークを組み次第音決めの最終コーナーに入ります。



2004/11/26

ネットワークを作る部材の調達

やっと秋葉原に行く時間が取れ、ネットワークを構成するパーツをかき集めてきました。  本来は既に設計したレイアウトに従い、ネットワークを組立ててしまっているはずなのですが、色々物色しているうちにまたまた拘りの虫が目覚め、パーツを固定するポストを特殊な物に変更することにしました。 このポストは4個で\1,600.-以上もする大変高価なもので、銅で出来た10mm四方のさいころのような端子に4mmのネジが切ってあり全て金メッキしてあります。 聞き忘れましたが恐らくここで使われている銅も無酸素銅(OFC)でしょうから高くても仕方ないのですが、それにしても拘りだしたらキリがありません。 またネットワーク基板は分厚いガラスエポキシを探したのですが、どうしても見つからないため3mm厚のベークライト板としました。

当然プリント基板ではありませんので、1mm厚銅板を幅10mm程度に切断して、ポストで基板に共締めしようと考えています。 そうすると直線配線の組み合わせとしないと銅板の切断がややこしくなったり、銅板の無駄が出るのでレイアウトの変更となり、製作には進めなかったというわけです。

調達した部品は以下の写真をご覧ください。

購入したネットワークを作る部材。 拘りだしたらキリがありません。 これらの合計は?万円にもなります。

部品固定やワイヤー接続の端子ともなるポスト(4個で\1,890.-)。 OFCに金メッキを施した物。 バックは3mm厚のベークライト板。(\500.-)

こちらはOFCを巻いて作られたコイルでエポキシ樹脂で固めてあり1個\1,228.-。

上のコンデンサーはドイツ製で何と1個\2,835.-。 下は抵抗でこれだけは安く1個\50.-から\100.-でした。

ボックス内部の配線に使うドイツ製のワイヤーで、1m辺り470.-。 もっと高いものもあります。



2004/12/03

ネットワークの製作

先々週掲載したネットワークのパターン図には致命的な間違いがあり、その修正から始めたお陰で基板加工が一応終わったところまでしか進んでいません。 その間違ったレイアウトで作ってしまうと間違いなくトゥィーターを壊してしまいますので、掲載したパターンは正しい物に変更しました。  そしてそれから今回購入したサイコロ状のポスト(端子)と銅板による配線を前提に大幅な変更を加えました。

 銅板による配線は当然銅板を切断しなければなりませんが、銅板自身が直線でないと切断しにく
 いですし無駄も沢山出てきます。  そこでにらめっこしながら5通りほどレイアウトを考えたのです
 が、どうしても1箇所だけ配線がL字型になってしまうところがあります。  しかたなくそれにかかわ
 る抵抗を斜めに配置することにより直線配線で済むようにしました。  そしてまとめたのが左の図
 のようなものです。

 先々週のものとは同じ回路に基づく物とは思えないほど変ってしまいました。 そして入力端子や
 出力端子の位置もロジカルではないレイアウトで斜めに配置された抵抗もなにか間違っているか
 のような見栄えの上では面白くないのですが、配線そのものは極めて単純化されています。
 3個のスピーカー共通で信号が流れる部分は15mm幅、それ以外は10mm幅の銅板としましたが
 十分な電流容量が取れ、低い回路抵抗になっています。

 それら銅板の切断にはやってはいけないことですが、強引にペーパー裁断機を使ったたので切断
 は簡単でした。 そして銅板を予め穴あけの終わったベークライト板にエポキシ接着剤で接着し硬
 化後、穴あけをしてサイコロポストを固定し、部品をネジで仮止めし、コイルだけは銅板に直接半田付けということで、一応組みあがっています。

銅板を接着するのにエポキシ接着剤を使いましたが、他の接着材は全て熱に弱いので使用不能です。

以上の経過は以下の写真をご覧ください。

ベークライト板に全ての穴をあけ銅板を張る位置の周りにマスキングテープを貼りました。 また銅板をペーパー裁断機で強引に切断しました。(これは真似ないでください!)

エポキシ接着剤で銅板を貼り付け一晩寝かしました。 まだ完全硬化にはなっていませんが、ベークライト板の穴から銅板に貫通穴をあけて基板はできあがりました。

サイコロ状のポストをネジ止めし配線をしネットワーク基板として完成しました。 コイルだけは半田付けとしています。

コイルの固定には付属の金属ネジではなくM4のポリカーボネートネジを使用しました。 コイルの中に全ての金属を入れたくなかったためです。

コンデンサーと抵抗は定数の微調整があるためポストにネジ止めとし交換し易いようにしてあります。

これでやっと最終試聴に入ることが出来ます。 それを済まして全体のペーパー掛けをしDVD/CD収納家具といっしょに塗装に間もなく入れると思います。



2005/04/01

仕上げ研磨と塗装

DVD/CD収納家具と一緒に塗装作業をと考えていたのに結局このスピーカーは3ヶ月も取り残されました。 と言うのは寒風吹きさらしの屋外での下地作り作業が嫌になり、DVD/CD収納家具は手研磨で作業を終えて塗装し完成させてしまったからです。

このスピーカーの方は接合部の段差落しを#60ペーパーで電動サンダーによってやる必要があるため、屋外作業から逃げられません。 そこで暖かくなる春まで延期とばかりたまたま依頼主が息子であることをいいことに、さぼらさせてもらいました。

とは言えその間何にもしていなかったわけではなく、チューニングを続け調整していました。 結果として既にお伝えしている吸音材から他に変更しその量や貼り付け位置も変わってしまい、ネットワーク定数も大幅変更しています。  更にプラスアルファーのチューニングテクニックも駆使していますが、それらはかなり深く突っ込んだ独自ノウハウであるのと、所詮それらチューニングは主観判断ですることであるので、ここでは詳細をお伝えいたしません。  何れにせよ金を掛けたなりに評価に値する念入りな調整をしました。

それでは日曜大工の切り口からのその後の様子をお伝えしましょう。  先ず問題の屋外での下地作りですが、#60#120#240 と3段階にペーパーの粒度を変更してやる継ぎ目の段差落しは正味2日間を要しましたが、それこそ段差は全くなくなりつるつるに仕上がっています。 実際これを真冬にやるのはしんど過ぎる作業です。  台座のほうも木口テープを貼って仕上げました。

塗装は依頼主の希望で本体は生地のまま、台座は淡いチーク色とされていましたが、集成材が湿気を吸い込まないようにするためと、更なる音質改善のために十分ニスを沁み込ませたいので、今までのニス塗装以上に薄くしたもの(薄め液を20%加えた。)で作業しています。 こうするとニスの粘り気はかなりなくなり水のようにさらさらですから、塗り斑や刷毛斑の発生する可能性は大変低くなりますが一回で出来る塗膜はかなり薄いですから、重ね塗り回数が多くなるというデメリットがあります。  しかし仕上がり優先ということで長時間占領する作業場所の問題もありながら実施しています。

結局本体は艶ありニス4回、艶消しニス2回の6回塗り、台座はチーク色着色ニス3回、艶あり透明1回、そして艶消し2回の6回塗りということで、一回塗るごとに1晩乾燥時間を置きましたから大変乾燥時間が掛かっています。(その間塗装に使った部屋は閉鎖です。) 尚艶消しとは言っても実際には艶ありクリヤーを30%程加えていますので、半艶といえる感じに仕上がります。

結果はOKでスプレー塗装したかのような滑らかさとなり、本体表面は十分ニスが沁み込み、透明感が出てきてしかも箱を叩いたときの音はより甲高くなり、期待していた更なる音質改善に繋がりそうです。 
(甲高いと言うことは箱の響きがより高い周波数に移動したことを意味し、内部の吸音材で不要な響きを吸収し易くなります。 また甲高い響きの方が中音の分解能が良くなる傾向にあります。)

ということで塗装作業に2週間以上掛かりましたが、以下がその様子です。



 ここから4枚は#60#120#240 とサンドペーパーの粒度を替えて研磨した箱本体のクローズアップ写真です。
 継ぎ目の段差がなくなっている様子や、場所によっては継ぎ目そのものが認識できない位になっていることが判ると思い
 ます。 カンナによる仕上げ削りは所詮集成材なので不可能なのですが、サンドペーパーと電動サンダーの組み合わせ
 で、カンナによる仕上げ削りにも劣らない処理が可能だという例です。




背面右上部分。

その部分の更なるクローズアップ。 継ぎ目に見える白いのは取りきれなかった研磨屑。

前面左上角。 ちょっと離れると継ぎ目は判らなくなる。

全面右角を上から。 隙間が殆どない接合とその段差が見事になくなっているのが判る。


 ここからの4枚は上の4枚の写真と同じ部分を6回塗りのニス塗装が終わった後の写真です。 残念ながら撮影した日は
 雨模様だったため発色が良くありませんが、それでもニスが沁みこんで透明感が増加した表面の感じや、着色無しで塗
 装したため、ニスを塗ると黄色っぽくなったり赤みが増加したりする色の変化も良く判ります。




背面右上部分。 結構黄色味が増加している。

研磨屑の詰まっていた部分は、許容範囲内の隙間。

前板と左側板との継ぎ目がどこだか判りますか?

ニスが沁み込み透明感が増した状態は木口でよく判る。 

外は雨が降っているので外光も弱いのですが、半艶によるニブーイ反射の様子がわかると思います。

前面を真上から撮影。 下に敷いた新聞紙の文字が反射して見えます。 艶消しニスのみではここまでの反射はありません。

やっと塗装が終わった本体と台座。 台座はチーク色の着色ニスで色付けしましたが、電話台のときと同様、クリヤーを加えて色を薄くしてあります。



2005/04/08

残った作業と最終チューニング

スピーカー剥き出しはインテリアになじまない上、スピーカーユニットを傷つける可能性が高いため私は必ずフロントグリルを付ける事にしていますが、そのフロントグリルの製作も音を害さないようこだわりのある作り方をしました。 素材は12mm厚のシナ合板ですが、箱の面からスピーカー固定ネジの先端までは9mmもあり、今回使ったフロンとグリルキャッチはメス側の受けににオス側をッ挿入したとき3mm浮きます。 ということは6mmの下駄を履かせないとなりません。 ここでは5.5mmの合板を三角に切って12mmの板の四隅に貼ってやることにしました。

またグリルの開口は大きい方がよいのですが、それにも限度があるので空洞共振を押さえるためトリマーで開口の角を45度の傾斜で削ってあります。  またグリルの左右の角はボーズ面ビットで丸く成形しました。 デザイン上の変化と同時にジャージーネットを貼りやすくなります。 これにグリルキャッチのオス側を埋め込み、箱にはメス側を埋め込んでやり、グリル表面側は艶消しブラックで塗装しジャージーネットを貼って完成となっていますが、丸1日を費やしました。

これで加工・組み立て作業の全てがやっと終了したわけです。  引き続き最終的なチューニングを施しましたが、吸音材の量の調整、ネットワークの定数調整など10箇所近いエレメントを実際に聴いて違いを確認するのは大変時間が掛かります。 正味3日間ほど費やしてこれでよいだろうという結論を出し、製作を完了としました。

音の感じを文字で表現するのは極めて難しいですが、どんな音楽を聴いても確認できたことはリアル感溢れる音像定位をするということです。 具体的には楽器がスピーカーの間にきちんと定位しあたかもスピーカーの間にその楽器があるかのように聴こえます。  たまたま我が家を訪問した方にピアノ曲を聴かせたところ、スピーカーを置いてある壁面前にグランドピアノがあってそこから聴こえるような感じがする!とのこでした。 他のスピーカーに切り替えると、音のバランスとか質の問題ではなく、音源そのものが遠く引っ込んでしまいます。

よってジャズのコンボなどは眼前でそれぞれのパートがすぐそこにいるかのような錯覚を起こすくらいの迫力で楽しめます。 無論一番大事な中域は、ボーカルも含め余計な雑味のない大変分解能が高く、一緒に聴いた他のスピーカーを遥かにしのぐ質を伴って楽しめました。
低域に付いては所謂中低音にふくらみを持たせてそれらしいこけおどし再生をするタイプと異なり、真の重低音領域まで楽に再生でき、これはツインドライブとした構成からくるゆとりであろうと考えています。 またツインドライブにしたため耐入力も大変あり、音量を上げていっても崩れがないのでダイナミックレンジ豊かな再生が出来るのも魅力でしょう。

このスピーカーは楽しめる音楽を選びにくい点も特色のひとつかもしれません。 100枚近くのCDをとっかえひっかえ、クラシック、ジャズ、ロック、レゲエ、演歌、民謡、コーラスとそれこそごちゃ混ぜに色々聴きましたが、破綻をきたすような或いはバランスが崩れてしまうようなものはありませんでした。 言い換えると帯域のとこかにピーキングやディップがあってカラーレーションがはなはだしく発生することがかなり少なく、大変素直な性格を持ったユニットなのでしょうし、頑丈で不要共振を押さえた箱の構造と充分沁み込ませたニスもこれらの部分に寄与していると思われます。

ということで褒めちぎりすぎのようですが、考えてみれば\150,000.-近く投資したのですから当たり前といえば当たり前との醒めた見方を出来るのかもしれません。  しかし私の主観判断では、音質、外観などトータルで充分な投資効果のある物に仕上がったと自負しています。 なにしろ実働で20日以上の時間を費やし拘りに拘った労作です。

現在この文章を書きながら考えていることは、後1週間も経たない内に息子が引き取りにくることで、それこそ娘をお嫁さんに出すような思いです。 従って残る数日間の間にこの音を記憶の中に留めるべく、存分に聴いておきたいと思っています。

そんな最終作業の様子は以下の写真でご覧下さい。



加工が終わったフロントグリル。 上が裏側で下が表側です。

表側の開口部分は空洞共振を抑えるため、トリマーで角を45度に落としてあります。



グリルにオス側のキャッチを埋め込んだ後ですが、実はその前にグリルを箱の所定位置に載せて、1.5mmのドリルで貫通穴をあけてグリルと本体につくキャッチのオスメスの位置が合うようにしました。
1.5mmの貫通穴の位置に8φ 8mmの座繰り穴をあけて、オスのキャッチをはめ込んだ所です。



本体に1.5mmのドリルで印が付いた位置には、10φ 10mmの座繰り穴をあけメスのキャッチを埋め込みました。 こうすればキャッチのオスメスの位置がずれることはありません。

表側を艶消し黒で塗装したグリルをはめ込み最終確認をしている所です。



ジャージーをボンドG17クリヤーで貼ってフロントグリルが完成しました。

グリルの角は17.5mm、縁中央部は12mmの厚さですので、ジャージーを巻くとこんな感じに中央部に隙間が出来、これもデザイン上のアクセントになっています。

最終チューニングの真っ最中で、テーブルの上は半田ごて、ドライバー、ニッパー、ペンチ、吸音材、延長パイプ、抵抗、コンデンサーなどが散乱し、しっちゃくめっちゃかの状態。 作ったばかりのCDラックが試聴用に大活躍!!

戦い済んでほっと一息の最終試聴をしている私です。 それにしてもこのスピーカーは朗々と綺麗に歌い上げてくれます。 長期間掛かった疲れも吹っ飛んでしまう想いです。
----- 完 -----


 
  
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