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廊下窪みの収納
2002/10/17 Up
発想と留意点
この作品は大型リフォームをした際にこぼれ落ちて出来たスペースに作った収納ですが、
私の収納部分に関する主張である、
「奥行きの浅い収納のほうが使い易い。」
を実例
として具現化した奥行き450mmのもので、2階の収納部分では納戸に続き家族の共有スペ
ースとして大変重要な場所となっています。
少々脱線しますがこのスペースがこぼれ落ちてきた背景についてまず触れます。
大型リフォームを実行する前、ああだこうだと間取りについてかなり検討しましたが、その中で2階にも風
呂場を設けたらと初期の段階では図のような所謂バスルームとして4畳のスペースにトイレ、洗面に0.75
坪のユニットバス(1612型)を考えていました。
(左の図をクリックすると拡大します。)
ところが家内は、1612サイズは1階に設ける1616型に対し足をゆったり伸ばせないので結局使われなく
なってしまうのでは?という意見でした。 1616型を入れると洗面スペースが大変狭くなってしまうのでこれも駄目。 そして家内は、洗面所に化粧台のファンクションを持たせた方が良い。 との意見で、これを受け入れると風呂場のスペースは事実上なくなってしまいます。
さらに色々な意見を家族に聞いた所、風呂場でなくシャワールームにしたら? との意見があり1208型(0.75畳)のシャワーユニットを元にスペースをぎりぎりまで詰めた3畳の物(
図の2.
)を検討しました。 洗面スペースが45cm程幅が広くなる為化粧スペースとしても有効です。 しかしこの場合扉を開けると洗面器を使っている人に間違いなく扉が当たります。 扉を外開きにするのは、廊下を通行する人に当たる為やりたくありません。 そこで更に
図の3.
のように変形しました。 便器の前のスペースには脱衣籠を置けばよい!というアイデアになっています。
以上の経過をたどり廊下に面した奥行き約
45cm
、内寸幅約
170cm
の窪みが出来たわけです。 無論天井まで空いているわけで、容積としては
1800リットル
を超えます。 ほぼ半間の押入れと同一ですが、私が主張する
「奥行きの深い押入れは使い勝手が悪い。!」
からして、まことに都合の良い空間であることには違いありません。 そこでフルにこのスペースを収納として活用することになったという次第です。
以上のような経過で家の間取りの変更に伴って出来たものですから、これをそのまま皆さんに真似てもらうにはリフォーム、立替が前提となってしまいますので、収納部分をひねくりだす考え方として参考にしていただけたらと思います。
設計上のポイント
寸法図は
こちら
です。
収納部分と言っても大型の棚をぴったりと嵌め込んだようなものですから、構造上の複雑さは全くなく製
作は簡単です。 それどころか内部の塗装は木口を除き全くしておらず、リフォーム終了後可及的速やか
に製作終了し使えるようにする事を最優先し、本体完成後も扉は取り付けず半年もほったらかしにしてい
ました。
扉に関しては本来であれば引き戸か折り戸(右の図の
2.
か
3.
)とする
ことができれば、扉を開けても廊下の通行の邪魔にならず使い勝手がよ
いのですが、その時点で廉価で適当な引き戸金具が発見できなかった
ので8枚の観音開きの扉としています。
(現在では
アトムリビンテック
にあります。)
設計というよりも施行上の問題ですが、これを製作しようとした時サブロクの18厚ラワン合板が手元に2枚ありました。 これを使わない手はないので、縦方向に半分に切断し3枚の側板と考えました。 ところが天井高は2400mmありますから上に継ぎ足さねばなりません。 継ぎ足す部分は600mm弱が3枚となりますから残り1枚をこれに充てると、大きな端材が出ずに側板が完成します。
但しこの場合両側は壁に側板を固定できますが中間の側板は自立となり心もとないのでシハチの合板を使いました。
当然1200mm幅のシハチを使うと大きな端材が出てしまいますが、その後に作る収納家具に引き当てることにしてあまり板取りを良くすることは考えずに製作しています。
側板の組立には工夫が必要です。
寸法図
の上で青線で表したのは可動棚ですので組立時には関係
ありませんが、固定棚3枚をうまく嵌め込まなくてはなりません。 まず左側の側板を壁に固定し左側の
棚板を嵌め込み、中間の側板を固定します。 固定法は
木工ボンド、木ダボの併用
で、木工ボンド固着
後はかなりの強度が取れます。
次に右側の固定棚3枚両端に木ダボを埋め込み木工ボンドを塗って中間の側板の木ダボ穴に固定棚の
木ダボを当て棚の反対側は上に向け傾斜させます。 右端の側板(高さ1800mmの)を右壁の上から下に徐々に滑らせ、固定棚の木ダボと側板の木ダボ穴の同期を取り木ダボを穴に入れます。
(この作業だけは1人では不可能。)
少しでも木ダボ全てが穴に入ればしめたもので側板の上部を叩いてやれば固定棚はぴったりと収まるという寸法です。
この辺りの手法は
アマチュア的手法の設計編
に詳しく説明していますのでそちらをご覧下さい。
扉は18mmシナ合板を使った8枚です。 ラワン合板を使えば安上がりですが、ラワン独特の深い木目が
気に入らないのでシナ合板としており私にとっては標準仕様です。
ヒンジには
スライド蝶番
を使いました。 左右の側板に取り付けられるものは
全かぶせ
を、真中の側板に
取り付けられるものは
半かぶせ
を使っています。
側板の手前の木口は壁面と同じですので、全かぶせ蝶番を使うことにより扉を閉じたときに側板の木口
は見えなくなります。 というか扉の厚み(18mm)だけ廊下のほうに出っ張っていることになります。
最上部と最下部には扉の収まりが良くなるよう幅の狭い幕板を貼りましたが、ほぼ全面的に空間を使っているといえます。
可変棚は左右それぞれ3枚ずつで固定棚2枚ずつと共に6段の棚を構成しますが、可変棚の高さ変更の
ニッケルダボ
のメスが沢山埋め込まれているので、収納するものが変化した際でも最適な高さとなるよう
になっています。
最初の方でも申し上げたようにこの収納部の実容積は半間の押し入れとほぼ同じですが、使いやすさと
収納量はその2倍位のような感じさえします。 その理由は改めていうまでもなく奥行きが450mmしかな
いことに起因しています。
奥のものに手が届かない!ということが全くありませんから、2階の住民の変化(この5年で同居していた
娘や息子が独立したり、別な息子が卒業して戻ってきたりと変化がありました。)、季節の変化に応じて
収納物の入れ替えを家内はしているようです。
そう言えば私がかき集めたカメラ、レンズ等合計50点ほどは仮にこの収納スペースに入れてありますが、現在製作中の防湿庫が完成するとそちらに移動し2段分の棚が空いてきます。
(完)
参考資料:
外観図
寸法図
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