HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop


 
トリマーで作る小箱
   
2003/11/07

構想

 私の家内だけではないかもしれませんが、小箱がかなり大好き人間というか家の中をあちこち見
 回してみると色んな箱が小さな物の収納に使われています。 思いつきといえばそれまでですが、
 ひとつ小さくてしかしきらりと光る木の美しさを出した小箱を作ってみようかと考えました。

 但し折角作るのであれば先日購入した電動トリマーで手間を省きながらトリマー無しではとてもじゃ
 ないがやっていられない加工を施した物とサブのテーマを付けた次第です。

 当初は日曜大工入門用のテーマかな?とも考えましたが、かなりデリケートな加工を要する部分
 がありますので、小型作品として紹介することにしました。

ここで作る箱は上板と底板の接合を除き、45度にカットしたものを突き合わせて作ります。  その45度カットをトリマーでやるのですが、箱を大量生産する際使われるVカット手法と同等の手法で作ります。

 Vカット手法の簡単に概念は左図をクリックください。

 材料の板にV溝をカットとし組上げまでが数分で終了しますから見ていて壮観ですが、その為には
 専用の大型工作機械が必要です。 ここではトリマーをVカットの工作機械の替りに使いそれと同じ
 考え方で作るわけです。

 左の原理図を見ても気付くことですが、この方法の鍵は如何に正確にV溝を彫るかに掛かっていま
 す。 V溝を彫った後パタパタと組上げるには、皮1枚材料が残っていないとなりません。 
 量産の場合には表面となる部分に塩ビシートを貼っているケースが多く、Vカットした後は塩ビシートだけがカットされずに残っているのでばらばらになりません。  我々がやる場合塩ビシートなどありませんから工夫が必要になります。


設計

 設計図は左のようなもので、どうということのないものです。

 構造としては箱の横の部分は45度にカットされた4枚がロの字状に接合され底板はその接合時に
 溝に落とし込むことにします。 上板は単純に上から貼り付けただけの構造です。 ここも挟み込む
 構造が考えられるのですが、加工寸法精度が極めて厳しくなるので今回は止めました。

 これを元に描いた加工図がこちらです。 側板だけは複雑且つ精密な加工を要します。 ひとつは
 言うまでもなくVカットで、V溝は正確に側板横方向に対し直角に彫らねばなりません。 
                   また深さは板厚(5mm)丁度です。 深すぎても浅すぎてもまずいのです。

もうひとつ精密な加工を要するのが横方向の溝で、深さ2.5mm、幅3mmとしてあります。 この溝部分に底板が嵌り込みます。 尚加工寸法図中*印の付いた赤字の数値は参考設計値であり、実際には原物合わせで調整することを意味しています。


製作

以下の写真が全てを物語ってくれると思いますのでご覧下さい。

側板加工から開始ですが、私の場合加工しやすさを考え150 x 600mmの板から加工しました。 まず幅3mmのストレートビットで深さ2.5mmの溝を所定の位置に彫ります。 安定たガイドが命ですのでクランプで固定してあります。

溝を彫り終えたところです。 このあと幅51mmで板を縦方向に切断しました。51mmとしたのは蓋の部分の切り離しのために後でもう一度縦方向に切断する為です。)

今回使用するV溝(90度)ビットは右側です。 左は45度面取り用のコロ付きビットです。

別な板で練習1回目。 ビットの先が出すぎて台座まで彫り込んだ跡があります。 勿論切り離されてしまい失敗。

数回ビット位置やトリマーの押し具合を調節しうまくいったのがこの写真の上の方に見える溝で、直線性もまずまず。

その溝を横からクローズアップ。 厚さで0.2-0.3mm位でしょうか、皮1枚切り取られずに残っています。

同じ部分を裏から見ました。 ご覧の通りビットの先は突き抜けておりません。

太陽に透かして裏から見ました。 若干不揃いですが溝の底が皮1枚になっているのが良く判ります。上の溝は深さが浅すぎて不十分です。


 註: このV字ビットによる切断深さの調整が今回の作り方でうまく行くかの鍵を握っています。 深すぎれば切り離れて
    しまいますし、浅くて底の肉厚がありすぎると折り曲げた時の角がピシッと行きません。
    従って、ビット位置調整とテスト切断を数回繰り返して切断状況を確認してから本番に入りましょう。




いよいよ本番。 溝を切断する位置の裏側にマスキングテープを貼ります。 これで板の厚みのばらつきで切り離されてもバラバラになりませんし、箱の組立にも角の押さえとしてうまく働きます。

切断予定位置に線を引き(うっすらと見えます。)、ガイドをビット中心とトリマ-台座端の距離だけ離した位置に固定します。 (ガイドが材料に対し直角に固定されているかどうかは極めて重要。)

一番端が彫り終わりました。 この後ガイドの位置を左に100mmずらして彫り、次に150mm・・・・・・・・・と、ガイドの位置をずらしながら彫り込みます。

5箇所の溝が無事彫り終わりました。 底板の嵌りこむ幅3mmの溝に底板を差し込んでみて確認しておきます。 少しきつめに入ればOKです。 また溝の縁のバリは#150位のペーパーで軽く落としておきます。

接合に入ります。 楊枝を使って木工ボンドを溝に塗りこみます。 余り均等に塗れていませんが、これでも少し多すぎる感じでした。

底板を溝に挿し込みます。 目分量で両端がV溝に均等にはみ出るよう注意します。

次に短辺の板を折り曲げて溝に嵌めこみました。 同様に反対側の短辺そして長辺と順にパタパタと嵌め込んで行きます。

最後の角がぴったりと突き合わせられたら、はみ出たボンドを拭き取ってマスキングテープで仮止めし3時間寝かします。

 マスキングテープを剥がして箱がの完成です。 角の縦方向にマスキングテープの糊が残っていますが、後で落とします。
 使用目的によってはこれで完成ということになりますが、今回はこの後蓋をつけて蓋の取り外しが出来るようにします。 
 ここまでの実作業時間は2時間くらいでした。

最後の突合せ部分の角です。 V字溝が正確にカットされていればいとも簡単にこのような角の接合が完成します。

こちらは連続した部分の角で、木目が繋がっているのでそれと判ります。

箱の底を見た所。 底板を嵌めこむ位置が更に手前にくれば良いのかもしれませんが、今回は2mm引っ込んだ位置としています。

箱の内側です。 隙間を無くす突合せを深く考えずともこのように綺麗に仕上がっています。



2003/11/14

製作の続き

上板を接着し木工ボンドが完全硬化しましたら、切断位置の線引き、蓋の角の丸め加工、蓋部分切断、ヤスリで切り口を成形、内部側板の貼り付けという順序で作業します。  この中で慎重に作業しなければならないのは、蓋の角の丸め加工(電動トリマーによる)蓋部分の切断です。 蓋部分の切断はゼットソー7寸目か胴付ノコギリなら理想ですが、私は8寸目でやりました。 
結果は十分満足できるものでした。 ゼットソー265では目が粗いので余りこのような作業には向きません。  それらの作業の勘所は以下の写真でご覧ください。

少し大きめに切断した上板を貼り付けハタ金で押さえました。 内側は接着剤がはみ出ても拭き取れませんからその量には十分注意します。 

上板上面から10mmの所4面に線を引きます。(上蓋の切断線です。)

電動トリマーにボーズ面ビットを取付け角を丸めました。 上板の僅かな出っ張りはトリマービットが落としてくれます。

ゼットソー8寸目で2面の線を同時に見ながら、ノコギリを20度程度まで寝かし垂直面への切り込み(写真の手前側)10mm強になるまで切り込みます。

次にノコギリの先のほうだけを使い(刃先は写真の手前の面には決して出ない。)、上面だけを切り込んでゆきます。 端まで切り込んだら90度ひっくり返し、引き続き同様に上に向いている面の切断だけに集中して一周します。

切断を一周して2つに分かれた箱です。 文章表現では判りにくいかもしれませんが、太いパイプを直角に切断するにはパイプに切断する線を引いた後、パイプを回しながら切断したほうが良いのと同じ理屈です。

#60-80の粗いペーパーをテーブルに置いて、切り落とした箱と蓋の切断面の凸凹を落とします。 次に#240のペーパーで磨き上げたところです。

内寸を計り内側板を貼り付けます。 そして残る2面の内寸を測り、内側板を貼り付けます。

内側板を貼り終わった後のクローズアップ。 内側板を45度で突き合わせたら最高ですが、難易度が極端に高くなるので今回はこのように突き合せました。

蓋のクローズアップ。 外面はまだ仕上げ研磨をしていませんが、上板貼り合わせ部分はほぼトリマーでカットした境界線になっており目立たなくなっています。

 蓋はきつからず緩からず箱本体に被せることが出来ます。  但し手加工の限界というか僅かな歪や寸法の違いから来
 る、蓋を被せる方向性があります。 でも結構精度の高い箱の製作が可能であることを確認しました。



2003/12/12

塗装

3週間ほったらかしにしたもののスピーカーボックスの塗装にタイミングを合わせることが出来、完成にこぎつけました。

作業工程としては#400で研磨、ステインで着色、ニス塗り。ということですが、当初考えていたニス塗り4-5回はあきらめ、2回塗りとしています。 その大きな理由はフタが閉まらなくなるから?!と洒落にもならないシマラナイ話です。 フタと本体間の隙間はごく僅かでステインで着色しただけできつくなってきます。 ニスを塗れば更にきつくなり重ね塗りしたらまず間違いなくフタは閉まらなくなります。 そこでフタの嵌合部分だけは1回塗りとし乾いたら#400で表面を削る事にしました。 当然ながらこの部分は艶が殆どありません。 箱表面と余りにも差が出きるのはおかしいので本体表面も2回塗りで止めたと言うわけです。

箱を塗装する前は生地のままも素朴でなかなかいいなあ!と考えていましたが、どうしてどうして最終的には見違えるほど素敵な色になりました。 アガチス独特の光が当たる角度によって色が微妙に変わる点が特に美しいと感じましたので、これを生かした度派手な仕上げを間もなくとりかかるピンホールカメラに応用してやろうと決めたくらいです。

以下の写真はカラーバランスにかなり気を使ってそれらの美妙な色の違いがお判り頂けるようかなり苦労して調整してあります。
ちっちゃな箱だからといって決してバカには出来ません。 ちょっと丁寧に作業すればこのようなものが出来るという好例だと思います。



ポアステインのマホガニーブラウンをぼろきれに沁み込ませ間を置いて2階擦り付けました。

フタを見ると光の反射の仕方で見え方が変わるアガチスの特性が若干判ります。

べた塗りしてしまうのも能がないかな?と内部は着色無しで試しています。

2回塗り後の箱。 ステイン着色時の写真と同じ角度で撮影。

別な方向から。 光の当たり方によってはこのように黄色味を帯びた艶が見えてきます。 ステインだけではここまで見えませんでした。

角部分のクローズアップ。 半艶のニスを使いましたが、美しい!の一言です。

箱の内部。 着色無しのため黄色味が強くなっています。

  半艶独特のニブーイ光りかた、本体のマホガニー色、箱内部の黄色味を帯びた色とのコントラストがすばらしい。
  上の方にある未塗装、そしてステイン着色の写真と比べてください。



----- 完 -----


 
  
Copyright (C) 2001-2017, Vic Ohashi All rights reserved.