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ゲルマニウムラジオ
   
2005/08/26

 構想

このテーマは今年の日曜大工プランに入っている物です。 日曜大工プランでは鉱石ラジオとしていますが、実際にはその名前の由来となった鉱石検波器は入手不可能ですので、半導体のゲルマニュームダイオードに置き換えたゲルマニュームラジオとして製作します。

このラジオは最も原始的とも言えるもので、電源が全くなくても動作します。 その昔私が小学校5-6年生だった頃初めて製作しましたが、イヤーフォーンで聴くしかなかったとは言え大変感激したことを覚えています。 その当時の住まいは栃木県宇都宮市でNHKの川口送信所から直線距離で80km以上ありました。 送信出力は50kWと現在よりも低かったのですが、関東平野で間をさえぎる高い物が少なかったせいか結構良く聴こえました。

今回作ってみる気になったのは災害時の情報入手方法としてAMラジオが極めて有効であることを昨年の新潟における水害、地震災害の際に感じたからです。 電話(固定電話、携帯電話)は回線がパンクしたり、通信線そのものが被害を受ければ使い物にならなくなります。 インターネットも電話回線、光ケーブル、(CATVは同軸ケーブル)を使いますから、同じく回線がパンクや被害を受ければ使えません。 所謂双方向通信が出来なくなるわけですが、それでもラジオ放送が受信できれば状況がどうなっているのかが判り、何をすればよいかの判断が出来ますから、大変有効です。

特に電源無しで動作するのは最大の長所ですので、取り敢えず比較的感度が良くなるものを試作した後にスピーカーも鳴らせるようなものまでの改良を第2段階では考えたいと思います。 また今年の日曜大工プランに入れてあるもうひとつのテーマである、非常時用太陽光充電器などと組み合わせれば、無電源で(この場合は乾電池や電灯線無しでの意味)充分スピーカーを鳴らせる低消費電力の物が出来ます。

ゲルマニュームラジオの回路について

 最も原始的なだけに僅かな部品で構成されています。 左の図が実用になる回路ですが、部品としては
 「コイル」「バリコン」「ゲルマニュームダイオード」「クリスタルイヤーフォーン」の4点しかありま
 せん。(回路図の色と部品名の色を同じにしてあります。)  

 その他回路に描かれているアンテナについては、長いワイヤーか電灯線アンテナ(後で説明します。)
 代用します。



ゲルマニュームラジオの動作原理

決して専門的な知識を押し付けるわけではりませんが、より高感度なものに改造チャレンジなんていう場合に知っておいた方がよいので、簡単に説明しておきます。

 「コイル」は絶縁物の筒に導線を巻いた物で、交流電流の流れを抑
 える働きがあり、周波数が高くなるとこの働きが強くなります。

 「コンデンサー」は2つの極板を向かい合わせにしたもので、コイルと
 は反対に周波数が高くなるとより電流が流れやすくなります。
 これら2つの部品を並列に結線すると、ある周波数の信号のみ通しや
 すくなる性質が得られこれを同調回路と言います。

 コイルかコンデンサーの何れかの値を変えると通しやすくする周波数
 が可変できます。  ここではコンデンサーを可変するようになってお
 り、バリアブルコンデンサー(略して「バリコン」と呼ばれます。)  

 コイルとバリコンで選んだ放送局の信号は「ゲルマニュームダイオ
 ード」
で検波と呼ばれる処理がされます。 放送局の信号はそのま
 までは耳に聞こえない信号ですので、耳に聞こえるようにしてやる処
 理です。 この電気信号は「クリスタルイヤーフォーン」で音声とし
 て聞こえる!という仕組みです。

   バリコンとコイルは私の未使用死蔵品で現在では入手不可能。     以上が動作原理で大変簡単だと思いますが、感度の良いラジオを
   ダイオードとクリスタルイヤーフォーンは最近購入した物。       作るには色々工夫が必要であるので、4つの部品について大事な所
                                     に触れておきます。
 「コイル」
 コイルを作る場合には直径は出来るだけ大きくしたほうが感度が良くなります。 但しコイルの巻線間には浮
 遊容量というコンデンサーの働きが生じ、これが大きくなると受信可能な周波数の範囲が狭くなります。

 今回は大変古い技術ですがスパイダーコイルがこの問題を解決してくれるので、直径が数10cmのかなり大
 きな物を自作する予定でいます。 スパイダーとは蜘蛛のことを指しますが、コイルの形が蜘蛛の巣に似てい
 る所からその名前があります。

 大変高性能なコイルで感度も高くなりますのでもしかするとアンテナなしでも受信可能になるかもしれません。

 「バリコン」
 バリコンは2枚の極板の重なり具合を変化させることにより、その値を可変できる構造になっています。
 自作することも可能なのですが、人体が近づくと容量が変化してしまうボディーエフェクトを避けるにはかなり
 複雑な構造となり製作が厄介になるので、実用性を高める為に現在でも入手可能な左の写真のような小型の
 ポリバリコンを使用する予定です。


「ゲルマニュームダイオード」
実際には選択の余地は殆どなく市販品で、IN-34IN-60SD-46などの品番の物を使います。 ダイオードでポピュラーに出回っているのはシリコーンダイオードですが、そのままではラジオの検波の目的には使えません。

「クリスタルイヤーフォーン」
圧電素子で出来た電気信号を音声信号に変換する部品で、音質は余りよくないものの微弱な信号でも動作OKという特色があります。 一般に使われているイヤーフォーン(マグネチックタイプ)やスピーカーでは感度が低く(音が小さくなる)実用性がかなり低くなります。

4つの部品を組み合わせて作れてしまい日曜大工とは縁がなさそうですが、スパイダーコイルを始めとして極力木工作品の香りがある物にまとめたいと考えています。



2005/09/02

最終構想と製作開始

ゲルマニュームで実用性を高めるということは兎にも角にも受信感度を上げてやらねばなりません。 先週それらの方法について簡単に触れた中で使用部品中のコイルがひとつの鍵であると申し上げました。 実はコイル以外にもアンテナとアースをしっかりしたものにするのも大事なことなのですが、それらは最後の手として考えます。  というのはアンテナが大げさなものでなくても或いはアースをきちんと取らなくても受信可能であればそれに越したことはないからです。

 コイルを自作するのはその感度を目いっぱい取りたい為ですが、難しい理屈の話は止めて感度を高めるには
 コイルの直径は大きければ大きいほど良くなります。 但しただ単に大きくするだけではなく、使用する導線
 を太くしたり線と線の間に発生する線間容量というものを極力抑える必要があります。
 それらの点で大変優秀とされているスパイダーコイルを採用することも先週お伝えしました。

 スパイダーコイルの実物の写真は左のようなもので、昭和の初期頃のラジオに実際に使われていたようで
 す。 面白いのは脚の本数が奇数本であることと独特な巻き方にあります。

右の図は足の先端の方から見たスパイダーコイルの巻き方で、脚2本ごとに上へ下
へと移動しながら巻きつけますが、一周してくると脚の本数が奇数のために導線の
通る位置がひとつずつずれてきます。 このずれと上へ下への移動の両方が隣同士
の導線の間隔が大きくなるように働き線間容量が大幅に減少します。

この辺りは極めて古い技術ながら現在でも通用する先人の素晴らしい知恵です。 今回はこのスパイダーコイルの構造そのままを使い直径が600-750mmとなるであろう大型のスパイダーコイルを考えました。  巻枠にはコイルの性能に影響を及ぼさない物(例えばスチロールの板)を使えれば理想ですが、無駄が多くコストが高いので、4mm、12mm、18mmの合板を貼りあわせて巻枠を作ることにしました。

 完成後のイメージ図が左のようなもので、大きなドーナッツ状の部分がスパイダーコイルでその下
 の空色の円盤は受信調整のダイヤル、そして台座となっており見てお判りのようにスパイダーコイ
 ルが大半を占めます。 スパイダーコイルの脚は21本としましたが、巻枠側板(クリーム色の部分)
 を一枚板から切り出すのは無駄が多いので、工作はちょっと厄介ですが巻き枠を7等分してそれぞ
 れに脚を3本ずつ固定し連結板で繋ぐことにしました。

 真中の円形の部分は淡いピンクに染めていますが、これはもしかしてのアイデアで、スピーカーを
 鳴らせる可能性が出てきた場合に振動板をここに貼り付けようという魂胆でいます。
 もしもスピーカーを鳴らせなくなった場合には単なる中空となります。

 尚台座は取り外し可能としてこのラジオを(スパイダーコイルをと言ったほうが良いかな?)壁に掛
 けられるように考えたいと思います。


製作で厄介な部分はひとえにスパイダーコイル作りでしょう。 材料の無駄を少なくする為7分割してやりますが、1ユニットのかなり正確な寸法図を実物大で描き上げたのが右の図です。  

黄色の部分が巻枠の側板で4mm厚のシナ合板を使う予定です。 ベージュの部分が脚で12mm
合板で作りますが、21個のうち20個はこれで、残り1個(長いもの)はスパイダーコイルを支える部分となり18mm合板を使います。 ユニットの連結には薄緑色の18mm合板を使います。  これで大きな枠が出来上がりますが、殆ど中空のために重量は大きくならないでしょう。

 さて巻枠側板ユニットの円弧の部分は型紙を作って印刷し板に貼り付けて
 切るしかありません。 検討してみた所A4サイズで3枚の板が描き込める
 ことが判りましたので、左図のようなテンプレートを起こしました。

 これを5枚印刷してやれば良いわけで、板の大きさで言えば900 x 400mmあれば充分です。
 ユニット化しない場合には600 x 1200mmの板が必要ですから大分節減できます。

以上により今週は巻枠の製作まで終了しました。 以下の写真はそれらの様子です。

印刷したテンプレートを4mmの合板に貼り付けました。 これはその一部です。

電動ジグソーCJ-250で側板ピースを切り抜き替刃式ヤスリで切断精度を上げ、連結板を18mm合板から切り出しました。(側板ピースは片側分です。)

原寸大の型紙の上に側板ピースを並べてサイズの微調整をしている所です。

2つの側板ピースを連結板に貼り付けました。

そしてそれらを残りの連結板で繋ぎます。 真円に対して約0.5%の狂いが出ましたが、今回の目的では全く問題ありません。

ボンドが硬化後、反対側の側板ピースを1つおきに接着しました。

間に入る側板ピースを現物合せで寸法調整した後貼り付けました。

次は21本の脚を12mm18mmの合板から切り出しました。 この切り出しに結構時間がかかります。

枠が反らないよう2本おきに7本の脚を挟んで接着次にそのとなりの7本と3段階で接着します。

脚を挟んで接着した部分を斜めから見た詳細です。

なんか大きなお日様マークみたいですが、21本脚のスパイダーコイル用巻き枠が組みあがりました。 この後型紙を総て剥がしてから成形し透明ニスで塗装して枠は完成です。 重量は約900gで側板に4mm3mm、脚に9mm厚の物を使えば更に軽量化できるでしょうが、強度と撓みでは不利になってきます。




2005/09/09

コイル作りとバラック状態による受信実験

巻き枠をニスで塗装してからいよいよコイル巻きに入りました。 コイルを巻く材料はエナメル線を使うのが普通ですが、長い線の入手性が良くないのと線間容量を抑えるため被覆が厚い方が良いはずなのでここでは電話線を使いました。 電話線といってもモジュラージャックがついた電話機と壁コンセントを使うあれではなく、屋内の壁裏に這わせる平行線で導線の太さが0.8mm、被覆を含んだ1本辺りの外径は1.8mmあります。  これであれば切り売りでホームセンターで売っていると思います。 私の購入したものは1m辺り\19.-でした。

測定器がないのと購入したバリコンの容量がわからずコイルの定数を決める事が出来ないため、今回は多めに巻いてその途中にもタップを出し実際に実験した上で決める事にしました。 4回巻くたびにタップを出し合計で24回巻きましたのでタップの数は5つになっています。  巻き方は先週お話したように脚2本毎に反対側に持ってゆく巻き方で後ほどの写真と先週の図を参考に巻いてやりますが、慌ててやると脚2本ごとではなく1本毎に反対側に巻いてしまうことが多いので十分注意が必要です。

巻きつけるワイヤーが単線ですから巻き始めや巻き終わりはまだ引っ掛ける程度で済ましていますが、調整が済んだらエポキシ接着剤で固定してしまいます。

そしていよいよ受信テストに入りました。 バリコン、ゲルマニュームダイオード、そしてクリスタルイヤーフォーンは固定もせず空中配線で仮にやっています。 そしてコイルとの接続も半田付けすることなくミノムシクリップ付ワイヤーで接続しただけです。 外部アンテナやアースも使用していませんから普通のゲルマニュームラジオでしたら、受信不能のはずです。

最初にやった私の書斎内でのテストではどこの放送局か判りませんが、かすかに受信できました。  なんだそんなものか?とお思いかもしれませんがこれはかなりすごい事なのです。 というのは、私の家は軽量鉄骨の構造で外壁は薄い鉄板の中に不燃の発泡プラスチックを充填したものになっており、電気的にはシールド効果といって外来の電波を遮蔽してしまうからです。  従ってそのような中でかすかとは言えこんな原始的なラジオで受信するのはかなり難しい事なのです。

次にベランダに持ち出して物干し竿の上に載せて実験しました。 大きなスパイダーコイルは指向性のあるアンテナの役目もするので、回転させながらバリコンを回してゆくと書斎ではかすかにしか聞こえなかったのが、明瞭に聴こえるようになりました。 コイルのタップを切り替えながらテストしたところ、巻数がかなり多めであることが確認できたのでカットアンドトライで14巻と大幅に減らし、受信予定局の中で周波数の一番低いNHK第一放送の受信位置はこんなもんだろう?と調整しました。

中間的な結果としてNHK第一放送NHK第二放送AFN(以前FENと言われた米軍の放送局)の3局は充分に実用になる音量(静かな所なら何を話しているかが明瞭に判る。)で受信できましたが、その上はバリコンを回し切る直前でかすかにTBS (954kHz)が受かった程度で、それより高い周波数の放送局は受信不能(周波数が高すぎてチューニングできない)でした。  ゲルマニュームラジオに良くある選択度の悪さから来る混信は認められず、上記4局は完璧に分離できています。

ということで、高い周波数の放送局が受信できていない問題が残っています。 私の期待としては文化放送日本放送ラジオ日本までは受信したいと考えていたのですが、どうやら予測以上に線間容量が大きいようで、巻き線の間隔を更に空ける工夫、バンド切り替え機構など大幅な構造変更を必要としています。 よって問題解決は結構手間取りそうで暫く色々な実験をした上でなんとか解決策を見つけたいと考えていますが、非常用のラジオとして使うのであれば実用になります。(NHK第一とNHK第二が受信できれば非常用として充分という意味。)

以下は取り敢えずの受信テストの結果と期待していた放送局の一覧です。

   取り敢えずの受信結果  ◎: 実用性充分 ○: 実用可能 △: 受信可能だが非実用 X: 受信不可能
放送局名 送信周波数 送信電力 送信場所 私の家からの 受信状態
方角 直線距離
NHK 第一放送 594kHz 300kW 埼玉県菖蒲町 北北東 約65km
NHK第二放送 693kHz 500kW 埼玉県菖蒲町 北北東 約65km +
AFN (以前のFEN) 810kHz 50kW 埼玉県和光市 北北東 約33km +
TBS(東京放送) 954kHz 100kW 埼玉県戸田市 北北東 約40km -
文化放送 1,134kHz 100kW 埼玉県川口市 北北東 約40km X
ニッポン放送 1,242kHz 100kW 千葉県木更津市 東南東 約40km X
ラジオ日本 1,422kHz 50kW 神奈川県川崎市 東北東 約20km X

ここまでの様子は以下の写真をご覧下さい。

コイルの巻き線に使った電話線。 銅の単線で導線径は0.8mm、被覆外径は1.8mmあります。

電話線を2本に裂いて端材に巻きつけて巻き上げの準備開始。 ゆとりを見て50m用意しました。

巻き始めの部分。 18mm合板の太く長い脚の部分から巻きます。 端は折り曲げて巻きつけただけ。

いきなり反対側に持ってゆき、2本の脚を越えてから上の面に持ってきています。

2本の脚を飛び越えたら反対側に持って行きを繰り返して1回巻上げが終了。 巻き線は巻き始め(赤矢印)に対し2回目(黄色矢印)は脚1本分左にずれています。

3回目の巻上げに入る所(空色の矢印)。 巻き線の位置が更に脚ひとつ左にずれている事に注目してください。

4回目の巻上げが終った所で線を切ってタップを出します。 次の巻き線の端とよじって立てておきます。 そして続けて巻きますが4回毎にタップを5本立てました。 巻き数合計は32回ということになります。

枠に32回巻いた後は斜め上からではこんな感じになります。

こちらは正面から見たところ。 この複雑な巻き方が線間容量の低減に効果があるはずなのですが?

右に垂れ下がっているのが巻き始め、中央に5つのタップ、巻き終わりは下にからげてあります。 調整終了後に半田付け、絶縁そしてエポキシで固定します。

スパイダーコイルを巻き終わった状態。 余り美しいとは言えませんが、高性能コイルの完成です。

取り敢えずの受信実験と言う事で、仮の台座にコイルを固定し、バリコン(ミノムシクリップの間に見える)、ゲルマニュームダイオード、クリスタルイヤーフォーンを空中配線しました。 コイルとの間の接続はミノムシクリップ付コードにしています。

バリコン周りの空中配線の様子。 こんなもんで受信できるのは不思議なくらいです。

コイルへの接続部分。 緑色のクリップは巻き始めで、黄色はタップのひとつを選択して接続します。

ベランダに持ち出して受信実験。 スパイダーコイルは指向性があり、矢印方向が電波到来方向(北北東)になる。 巻数が多すぎたため14ターンまで減らして低い周波数(NHK第一 594kHz)は丁度良くなったが、高いほうはやっとTBS (954kHz)が受かる程度で線間容量の影響がまだまだ多いようで更なる改善が必要。

おことわり: このゲルマニュームラジオは既に実用になるレベルになってはいますが、更なる受信改良を施した上で最終的な回
        路・配線を紹介する予定です。 その際により製作が容易な簡易型も併せてお知らせしたいと考えています。



2005/09/23

受信改良実験

スパイダーコイルの線間容量が多すぎる為に高い周波数が受信できない事が判りましたので、コイルの巻き方を抜本的に変える事にしました。 最初のコイルは巻き線間が密接していましたが、これを極力離すことにします。 具体的には巻き枠の脚の長さが70mmありますので、16回巻いたと仮定すると4mm間隔とする事で丁度よくなります。 最初に作ったコイルでは14回巻いた状態で最も周波数の低いNHK第一放送が丁度良い位置で受信できましたが、線間容量が減ると若干コイルの巻き数を増やさなければならないので、16回巻きまでは可能なようにしておいた方が安全と考えこの間隔を採用する事にしました。

そして4mm間隔に導線の位置を固定する為に21本の脚に溝を電動トリマーで彫りますが、極力位置が正確になるようにジグを考案しています。 巻き線が一周すると導線の位置は外側に4mmずれねばなりません。 正確には、4mm ÷21 = 0.19mmずつ脚の溝の位置は外側にずらす必要があります。 しかしそこまで拘るのは殆ど意味がないので、5本毎に1mmずつ溝の位置を外側でずらして行き、4回目の1mmずらしの後6本目の脚が最初の脚に到達するように(つまりずらす回数は4回ですから、1mm x 4 = 4mmというわけです。)しました。

また脚の両側に16箇所ずつの溝を彫るつもりで始めたのですが、16個所 x 21 x 2 = 672個所も彫らなければならないことと、巻き線が表側を通るのか裏側を通るのかに付いて規則性がありますので、それに従って必要な溝だけを彫ることにして作業時間を短縮しました。 それでも半分の336本を彫らないとなりませんのでこれはかなり時間が掛ります。 慌てるととんでもない勘違いをするので落ち着いてやったこともあり、丸一日の作業となってしまいました。

今回の巻き線位置の指定により直径が大きくなる為に13回しか巻けませんでしたが、取り敢えず受信範囲の変化だけを確認するテスト受信に入りました。 結果としてはNHK第一はバリコンを左に回しきった位置で受信できてしまい当然ながら巻き線が足らない事を示唆しています。 NHK第二AFNTBSと受信でき、TBSはバリコンの位置で1/2程で大幅に改善できましたが、その上の放送局は受信不可能でした。 そこで巻き線を減らして10ターンとしてテストしてみたところかすかにニッポン放送ラジオジャパンが受信できました。 この場合一番高い周波数のラジオジャパンはバリコンを2/3抜いた位置で若干巻き数が少なすぎた感じです。

約1時間の簡単な受信テストでしたので、13回巻きで本当にラジオジャパンが受信できなかったのかどうか怪しい所はありますが、最終的には巻き数を15回または16回に増やさないとならないことははっきりしているため、多分ラジオジャパンまでカバーするのは難しいと思います。  そのためには更に線間容量を減らさねばならず、今回の巻き枠は作り直しとなってしまいます。

これは大変悔しいので巻き数を減らしたコイルにスイッチで切り替えることで受信周波数を完全カバーすることとしました。
ラジオジャパンの受信位置は10回巻きでは減らしすぎであったように思いますので12回巻きの所にタップを出して切り替えればよいと考えています。

残念ながら文化放送だけは未だ受信確認していませんが、更なる感度アップを図ることと電波状態によっては(例えば夜間など)受信可能だろうとみています。 予定局総てを受信するにはもう一息と言った所ですが、実用性があるのは相変わらずNHK第一と第二、AFNの三局だけであることには変わりありません。

ところで私は受信周波数の調整に測定器もなしにやっています。 どうしてそれが可能かというと、小型の3Vの電池で動作するポータブルラジオを使っています。 実はこのラジオは数千円程度の安い物で感度もあまりよくありませんが、これを今回作ったスパイダーコイルの上に載せて受信状態にしておき、ゲルマニュームラジオで受信周波数を調整してやると同じ周波数となった位置で受信感度が飛躍的に上がります。 これで間接的にゲルマニュームラジオの受信周波数がどうなっているのかの見当がつきます。

実際に高周波の測定器にはこの原理を使ったものがありますし、受信周波数のみを増幅するアポータブル型のアンテナとして同様の物がありますから、ゲルマニュームラジオとしてだけでなく、ハイゲインアンテナとしても充分な実用性があります。  それとそのようにラジオとゲルマニュームラジオの受信周波数を一致させた状態では、クリスタルイヤーフォーンが拾った音声がラジオから聞こえます。 これがどうして起きるのか私には判りませんし実用性は殆どありませんが、実験中に気が付いた面白い現象です。

巻き枠の脚に電動トリマーで溝を彫るためのジグ。 これが無かったら正確な位置に彫ることは難しかったでしょう。

そのジグに取り付けた目盛り。 長い目盛りは巻き線回数の数字を付けてあり、間隔は4mmです。 赤い目盛りは脚5本ごとに溝位置を外側に1mmずつずらす為の目盛りです。

巻き枠にはこのようにクランプを使って固定します。 赤い目盛りのついた板に電動トリマーの台座を当ててガイドします。

切削の為電動トリマーをジグの中に落としこみました。

そのクローズアップ。 暗くてはっきりしませんが使用しているトリマービットは2.4mmの超硬ストレートビットで、深さは2.5mmにセットしています。

この写真の下に見える脚は16本の溝を彫りましたが、時間が掛って大変なので必要な溝のみ彫ることにしました。(左の脚) 但し彫る溝位置の一覧表を作らないと訳がわからなくなります。

336本の溝を彫るのに結局丸一日を潰しました。 損得勘定だけに拘ったらこれほど馬鹿馬鹿しい作業はないでしょう。 但し巻き枠の組み立て前だったらもっと簡単な方法がある筈です。

切削の終った脚を見ました。 片面の隙間部分に反対側の溝が並ぶ事が判ります。 また隣の脚とは溝の位置がずれてきます。

巻き線の間隔が広がってスパイダーコイルらしく?なりました。 前回の巻き線をほどいて巻きなおしたため13回しか巻けませんでしたが、NHK第一第二AFNTBSが受信できました。 更に10ターンの接続部分に繋いだ所、ニッポン放送、ラジオジャパンもかすかに受信できました。

受信周波数の確認に使用している小型のラジオ。 コイルのこの位置にこの角度で載せると同一周波数となった場合、小型ラジオの感度が飛躍的に上がるので確認できます。 巻き線の間隔は大変大きくなりましたが、これでも線間容量が大きくて受信範囲はAM帯をすべてカバーできないようです。 (赤矢印は電波の到来方向です。)


   コイル改良後の受信結果  ◎: 実用性充分 ○: 実用可能 △: 受信可能だが非実用 X: 受信不可能
放送局名 送信周波数 送信電力 送信場所 私の家からの 受信状態
方角 直線距離
NHK 第一放送 594kHz 300kW 埼玉県菖蒲町 北北東 約65km
NHK第二放送 693kHz 500kW 埼玉県菖蒲町 北北東 約65km +
AFN (以前のFEN) 810kHz 50kW 埼玉県和光市 北北東 約33km -
TBS(東京放送) 954kHz 100kW 埼玉県戸田市 北北東 約40km +
文化放送 1,134kHz 100kW 埼玉県川口市 北北東 約40km X
ニッポン放送 1,242kHz 100kW 千葉県木更津市 東南東 約40km -
ラジオ日本 1,422kHz 50kW 神奈川県川崎市 東北東 約20km +



2008/07/11

見られるように仕上げ

前回お伝えしてから3年近く経っていますが、その間に時々思いつくまま色々な実験をしてみましたが、コイルの作り方を基本的に変更しない限り受信感度を高めるのは無理だろうと結論付け、室内に飾って置けるようコイルを最終仕様にしてからレトロ風?の細工を施しました。  それらは詳細な図面や製作過程をお伝えするほどのものではありませんので、簡単にご紹介しておきます。

 コイルの最終仕様については10ターンのコイルと6ターンのコイルを直列に繋いだり切ったりするこ
 とで2バンドとし、高い周波数の受信が出来るようにしました。 巻き方としては6ターンで一旦導線
 を切断し配線用に引き出しておき、同じ位置から再び10ターン巻きます。 巻き方は全く変わりあり
 ません。 ここで2バンド切替の方法ですが、普通使われる切替方法ではなく、6ターン分はその両
 端を完全に切り離すようにしました。 その理由は片方だけ切り離したのでは、浮遊容量が増加す
 る方向にコイルとして動作しない6ターンが働いてしまうからです。

 言い換えると浮遊容量増加を抑えてその分インダクタンスが上がるようにしたと言えます。 理論
 的にはこの方が同調回路としての性能は若干良くなる筈です。  このために2回路6接点のトグルスイッチが必要になりますが、特殊なスイッチではないので入手に困るようなことは無いでしょう。

インテリア的に見られるようにするお化粧としてはコイルの支柱を18mm合板2枚重ねに穴をあけてエポキシ接着剤でがっちりと固めそれを大きな9mm合板に接着しました。 そしてそれらの板の周囲をヒョータン面ビットやボーズ面ビットで削っています。 これらの合板は手持ちのラワン合板の端材で色味はばらばらでラワン合板特有の深くて目立つ木目も綺麗ではないので、濃い目のウォールナットのステインで塗りつぶしに近い状態まで着色し、水性ウレタンニス透明クリヤー3回塗りとして艶を出しチープ感を無くそうとしています。  またバリコン、ダイオード、クリスタルイヤーフォーンとコイルの結線は小さな箱を4mm厚合板を切って作った箱の中に収めています。 そして使わない時には裏蓋を外してクリスタルイヤーフォーンは箱の中にしまっておけるようにしています。 ダイヤルは4mm合板を丸く切り抜いてバリコンに固定しそこにパソコンで書いて作った目盛り盤を印刷して貼り付け、中央にはネジの頭を隠す円盤を木口テープを切り抜いて貼り付け木工作品らしくしています。

今回はこれで完成ですが、更に高性能な物を目指すのであれば、コイルの直径を大きくして導線と導線の間隔が更に広がる配慮をすること、また導線を巻きつける脚の部分だけは電気特性の更に良い材料に変更、巻く導線としてリッツ線(絶縁された極細の細い銅線を数十本束ねた物)を使うなどで更に高性能で浮遊容量の少ないコイルの製作が鍵になると思います。  これらについては材料が入手できたらお伝えしたいと思います。

内側から6回巻いてタップを出し、そこから再び10回巻いた最終仕様のコイル。 化粧加工した台座にエポキシ接着剤でがっちりと固定しました。

2つのコイルの端は4本ありますが、ばらけないよう糸で支柱に縛り付け瞬間接着剤で固めました。 そして4本の導線はこのように出しておきます。

配線部分を隠す箱を作りコイルの4本と接続する導線を引き出す予備配線をしました。

化粧箱を本体に挿入固定しコイルの導線との結線を済ませました。

そして裏ブタを取り付ければ配線が見えなくなりすっきりとします。 使わない時には裏ブタを外しクリスタルイヤーフォーンを箱の中にしまえます。

表側からはこんな感じです。 この後ダイヤル目盛り盤を作ります。

ダイヤルは4mmシナ合板を丸く切り抜き、その上に局名を自作名刺の用紙に印刷してスプレー塗料でコーティングして貼り付けバリコンにネジ止め。 そのネジ頭を木口テープを丸く切り着色してニス塗りしたものを貼り隠しました。 その両側の丸は指標でステンレス丸釘を切断して埋め込みました。 下の赤いのはトグルスイッチで左側がロー、右がハイです。

飾っておく場所はちょっとした趣味の作品コーナーになっているピアノの上に。 2つ右側は私の友人が置いていった学研大人の科学の真空管ラジオです。 これもループアンテナを使っていますが、大きさは随分違います。 これでいつでも使える状態になりましたが、使わずに済むほうが良いという非常時の機材です。 インテリアとしてなんとか合格かな?!

屋外に持ち出して自動車の屋根の上に載せて受信しています。 小型ではないですがポータブル(可搬型)ラジオの範疇に入りますから、こんな風に運んで放送局の近くでの受信実験をしようと考えていますし、ピクニックやキャンプの時に使用するのも楽しいでしょう。


----- 完 -----


 
  
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