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流し台LED手元ライト
   
2012/01/20

構想

突然ですが家内の要望で台所の流し台の上にあった蛍光灯手元ライトを外してしまいました。(右)
外した理由は蛍光灯手元灯が壊れて点灯しなくなったからで、新しい物に交換するか或いはLEDライトを自作するかするしかないと考えたからです。  後述しますが家内によれば、それ以外にも問題があったようです。

簡単に損得勘定を計算してみた所、やっぱりLEDライトを製作した方が良いとの結論に達しましたが、損得勘定をどう計算したかご紹介しておきます。

  1.器具購入価格(仮試算)
    台所の流し台の上部の吊り戸棚の下に固定されている飛沫防止というか蛍光管むき出しで
    はなく、簡単なカバーがついている物です。 市販価格は\5,000.-程度で寿命は15年と見ておけば良いでしょう。 ということ
    は、1年で\333.-の減価償却になります。

  2.20W蛍光灯のランニングコスト
    この照明器具の使用時間は1日6時間程度と考えられます。 それを元に年間の電気代を計算すると\922.-でした。
    また蛍光管の寿命を6,000時間とすると2.7年と算出され、蛍光管の購入価格を\350.-とすると年間\130.−になります。

    そうすると1年辺りのランニングコストは\1052.-と言う事になります。 これに1.の減価償却を加算すると年間\1,385.-
    総費用負担となります。

  3.LED 120本を使ったランプの場合の費用計算
    これまでの経験では15W蛍光灯に匹敵する明るさは約80本のLEDを使って得られました。 効率的な駆動を考えると37-40
    本の倍数が都合良いので仮に120本のLEDを使って駆動したとすると、22.5W蛍光灯相当(そんな蛍光灯はありませんが)
    になります。 そして40本辺りの消費電力は2.5Wですので120本では7.5Wとなります。 この時年間の電気代は\346.-で
    す。

    製作費用で最も大きいのはLEDのコストですが、以前よりかなり手ごろになり昨年使った屋外LEDランプの修理に使ったもの
    は、数がまとまれば単価\35.-で購入できますので、120本で\4,200.-、その他の部材は\1,500程度ですむと思いますか
    ら、合計\5,700.-が製作費ですが、LEDの寿命は40,000時間と言われこれが器具としての寿命になると考えられます。
    計算すると18.3年になりますので、減価償却としては\312.-となり、前述の年間の電気代を加算すると年間の総費用負担
    は\658.-です。

以上の計算によりLEDライトとした方が経済性が高いのは明らかで、イニシャルコストは\1,000程度LEDの方が掛かりますが、ランニングコストの差が\700程ありますから2年経てば元を取れる計算になります。 これが20W蛍光灯相当の明るさがあるLEDライトを作る方が良いと判断した経緯です。

ところで自作LED手元灯の筐体は壊れた蛍光灯のケースをそのまま流用しようと考えているので、家内が言っていた問題点を解決しないとなりません。 それらを列記しておきます。

  1.蛍光灯が取り付け不良でぐらぐらしていて不安である。
  2.乳白色のカバーが突然外れてしまうことがある。


の2点です。

指摘の1番目は、この照明器具を外した後に調べた所、これを吊り戸棚の下に固定した業者の作業が丁寧でなかったことが判りました。 構造的に改善は容易だと思われるので、製作後の取り付けの際新たな方法で実施しようと思います。

2番めの問題はメーカーの設計不良のように思われます。 蛍光管を交換するためには乳白色のカバーは取り外し出来るようにしないとなりませんが、LED化するとそのような必要性は無くなります。 従って外れないよう接着剤で固定してしまう手がありますが、その場合には本体の固定方法(吊り戸棚へ)をどうするのか? 修理の対応をどうするのか? を考えておかねばなりません。
これらはこのテーマにおける頭のひねりどころのひとつだと考えていますが、以下に外した蛍光灯ランプなどをお見せしておきます。

既に20W蛍光灯は外してしまった後ですが、赤線を引いた辺りに照明器具が取り付けてありました。 蛍光灯のON/OFFは写真中央左手にあるスイッチ(下側)でやります。

外した蛍光灯を床の上に置きました。 実際の取り付けとは天地が逆さになっています。 白く見える部分が乳白色カバーですが、何かの拍子で外れてしまいます。

そのカバーを外した所で、直管の20W蛍光管が見えます。

蛍光管を外した所で蛍光管が入っていた窪みは幅50mm、長さ560mmあります。

ひっくり返すとこんな具合で、右手にL型になっている薄い鉄板の下に駆動回路が入っていると思いますが、このスペースで3系統の駆動回路は十分組めるでしょう。



2012/01/27

構想の続き

これまで使ってきた照明器具の筐体を流用するとなると、一度完全に分解してどのような構造、組立にするのかを考えないとなりません。 また勝手に3系統で各系統は40本のLEDとし合計で120本なんて言っていますが、本当に120本が収まるのかも正直言ってまだ判りません。 その辺りの検討の様子は以下の写真をご覧ください。

基本的に現在付いている電子・電気部品と配線は再利用しませんから、すでに配線は切り取ってあります。 本体裏側で目に付くのは矢印先の大きな窪みで、ここに何か仕掛けを組み込むことが可能です。

左側のL型の薄い鉄板で出来たカバーは2本のネジを緩めれば外れます。 

外してひっくり返した所で、薄い鉄板を曲げて作ったシールドカバーみたいなものが1本のネジで固定されています。(黄色矢印) また赤矢印の先はプルスイッチですが、これも多分使わないでしょう。

固定ネジを緩めるとポリエチレン成形の台座に嵌め込まれた基板アセンブリーが出てきました。

基板を爪で引っ掛けてという簡単な構造で、それを外すとこんな具合になります。 簡単ながらうまく出来たシールド構造で感心しました。 この鉄板ケースとポリエチレン台座はそのまま流用する事にします。

基板サイズはこれと同じにして固定穴の位置も正確に割り出さないとなりません。 また両端に見えるケーブル接続コネクターも同じ物はありませんが、サイズが同一で使えそうな物が手持ちにあります。

大雑把な計測ですがLEDを装填できる表側の大きな窪みは(蛍光管が入っていた。)長さが580mm、幅51.5mm、深さ37mmあります。 但し幅は底の方に向かって若干狭くなります。  そこでLEDを固定する基板の大きさは579mm x 47.5mmとすることにしました。

こんなに長い基板は実際にはありませんので3等分して193mm x 47.5mmを3枚切り出し、細く切った基板で補強しながら繋ぐ事にします。 接合部分の強度はそれほど上がりませんが、最終的に全体を固定することで、接合部の弱いのをカバー出来、問題ないでしょう。

LEDの固定は最も単純な並べ方ですが、1系列が1直線(58cm)となるようにし、それを3列
並べます。 こうした時のメリットはシンプルで配線ミスを防ぎやすい事と列同士の間での接
触事故(ショート)が起きても隣どおしであれば電位差は無いかあっても3V前後しかないの
で、大きなトラブル(LEDや駆動回路の破壊)が起き難いことにあります。

但し1列のLEDの端と端の間はDC 110〜130Vという高電圧になりますので、要注意です。

この基板を底から15mmの高さに固定すると半値角のラインが乳白色カバー辺りで交差する
ため照明斑を抑えることが出来るかと思います。(右の図を参照ください。)

さて悩みぬいたのが1系列のLEDを何本にするかです。 私が使うAC100V直接整流駆動回路では、突入電流でダイオードが破壊に繋がらないよう電流を規制する抵抗をAC100Vの入力に入れますが最低値で10Ωとしています。(これで突入電流は10Aに抑えられます。) そして1系列の駆動で20mA流れますのでこの抵抗で0.2V電圧が低下し、標準的な調整をしたときにLED駆動電圧は125.5Vになります。 この値をLEDのVfで割れば駆動本数が出るわけで、125.5÷3.1 = 40.5 となりますが、これまで1列40本と言って来た根拠です。

基板の両端裏側には配線引き出しのためのコネクターを取り付けるため合計で30mm程の隙間が必要ですから550mmが両端のLEDの感覚となりますが、12.7mm(5穴間隔)、15.2mm(6穴間隔)の何れかが候補です。  そうすると前者の場合は、550÷12.7 = 43.3 (43穴間隔でLEDは44本、後者は、550÷15.2 = 36.2 (36穴間隔でLEDは37本と出てきます。

最終的に決定したLED固定基板。 3枚のプリント基板を貼り合わせ、1系列37本で3系列の合計111本を使う。

前者の44本は十分に駆動できない本数になります。 現状は最もVfが低い物でも3.0Vですから、125.5÷3.0 = 41.8で、41本が上限です。 とすると37本とするしかないのですが、10V程駆動電圧を下げる調整をしないとなりません。 しかしこれは無駄な電力消費になるので、大半は取り付け穴間隔を6間隔としながら一部を5間隔として強引に40本に納めようかとも考えました。  しかしこれは明るさの斑となって現れ完成度を低くしますから無効消費電力には目をつぶり、駆動電圧で調整することとしました。

これでようやく駆動回路の設計に入れます。 使うLEDの平均Vfは3.1Vですから1系統37本
の駆動電圧は114.7ボルトになります。 過去の経験では電流制限抵抗10Ωで1系列駆動
(20mA)の場合の整流直後の直流電圧は132.5V取れていますが、今回は3系列で60mAの
消費電流のため数ボルト下がるでしょう。 その後の定電流回路で7Vの電圧降下を見込みますが、予測としてはかなり電圧を下げる調整をしないといけないのではないかと思います。

この調整を1ヶ所でしても良いのですが若干とは言え発熱を伴うので、電流制限抵抗の値を
増すのと、各系列に直列に抵抗を入れて定電流回路の入出力電圧が7V近辺になるよう調
整して発熱を伴う場所を分散したほうが良いと思います。 この辺の調整要領は実際に回路
を組んで駆動実験をする際に説明しましょう。

今回の回路のAC100V入力の部分は2回路のスイッチを使っておりその後に100kΩの抵抗を繋いだネオン管が入っています。 これは何のためかというと、このLED照明器具を取り外しする際の安全性を少しでも確保しようとするアイデアの結果です。
ここで使うスイッチはトグルスイッチでAC125V 2A程度の物を考えていますが、その頭(操作部)は前掲の断面図に描かれたようにLED基板の上に出てきます。 そしてスイッチ本体は今週トップの大きな写真に見える大きな窪みの部分に取り付けられます。 またネオンランプもこの窪みの中に固定されますが、頭をLED基板の裏側に出るように接着固定させておきます。

このスイッチは普段照明器具を使用時にはON状態にしておきますが、その時はネオンランプは点灯しておりません。 故障したとか調整が必要になった時にはLED基板を外して結線を外し、それから本体の固定のネジを緩めるのですが、その前にトグルスイッチとネオンランプの頭が見えますので、トグルスイッチをネオンランプが点灯するように倒すと、トグルスイッチの端子以外で高電圧が掛かる所が無くなります。 点灯したネオンランプはそのような意味とAC100Vが入力に来ていますよ!という意味を持っていますので、これに関する簡単な説明書を中に置いておきます。  考えすぎかもしれませんが、おっちょこちょいの私が何をしでかすか判りませんから少しでも安全を考えたアイデアです。

その他の部分は従来の回路と同じです。 尚使用するレギュレーターはLM317Tとしてありますが、電流を20mAしか取り出しませんから、一段と小さなLM317L(Max 100mA)で十分使えます。



2012/02/03

製作開始

本テーマはのんびりと製作している暇はありません。 家内には一応1ヶ月以内を目途と言ってありますが、それは万が一の話であり早ければ早いほどよいわけです。 使う回路もこれまでに5件も作っており勘所は掴んでいますから早速製作とばかりに、プリント基板の切り出しからスタートしました。 LED固定基板は同じサイズの3枚を繋ぎ合わせますが、幅5mmから7.5mm前後に切断したプリント基板の端材で繋ぎ合わせるのと同時に補強をします。

駆動回路基板は外した旧プリント基板と同じサイズ、同じ固定穴になるよう加工してやります。 駆動回路は部品点数も少ないので実装に苦労することは全くありませんし組立も数時間で終了します。 但し一部の抵抗(AC100Vの入力部に入る突入電流制限抵抗と各系列のLEDと直列に入る抵抗)は調整の必要がありますので、組み上げていきなりLED駆動というわけには行きません。

37本という若干少なめの駆動電圧(40本駆動に比べて3本分で9.3Vほど駆動電圧は少なくなる。)ですからその半分程度を突入電流制限抵抗でと考え、これを仮に39ΩとしLEDに直列に繋ぐ抵抗は無し(0Ω)として基板を組み立ました。 更にLEDの替わりに5.73〜5.74KΩの抵抗(3.1V x 37本÷0.02A = 5735Ωによる。)を各列にダミーとしてLEDの替わりに繋いで実験を開始しました。

切り出した基板。 大きな3枚は右に見える小さく切ったもので補強しながら1枚にします。 一番下は駆動回路基板です。

駆動回路基板はポリエチレンで成型された台座にこのようにスナップインで固定されます。 またブルーの3個のブロックは2極の接続端子です。

鉄板製シールドカバーを被せるとこんな具合で全体が隠れますが?

接続端子はこんな感じに見えて、確実な接続がカバーをした状態でも可能です。

一部の部品(LEDと直列に入れる抵抗)を除き全ての部材を基板に固定しました。 またAC100Vの入力突入電流制限抵抗は仮に39Ω 2Wを半田付けしました。

LEDの替わりのダミー抵抗で動作テストを開始しました。 左にあるスライダックで動作を確認しながらAC100Vを0Vから徐々に上げて行安全策を取っています。

 結果は左の図の通りです。 回路中の電圧は入力の電圧がAC100Vになってか
 ら30分ほど経って十分に安定した後の電圧です。

 先ずダミー抵抗の駆動電流ですが3系統の合計で60.7mAと誤差範疇の高精度に
 なっています。(計算上は1.25V÷62Ω X 3 = 60.5mA)  LEDの替わりに入れた
 ダミー抵抗は計算上の5735Ωに対し、5.73KΩまたは5.74KΩとかなり高い精度
 で作っていますが、この時の定電流回路の入出力電圧差は8.9〜9.0Vとなってお
 り、7Vの設計値に対し約2V高めになっています。 LEDの平均Vfが3.1Vであれば
100Ωの抵抗を駆動電圧調整として追加すればよいのですが、その決定は後ほどLEDを結線しての最終駆動テストまでおあづけと
なります。
またこのことを逆に考えると最終的なLEDの平均Vfが3.2Vであれば駆動電圧調整抵抗の追加は無用ということになります。

ところでAC100V入力部に入れた39Ωでの電圧降下は4.1Vありました。 このでの消費電力は0.43Wと算出され抵抗はほんのりと暖かくなる程度です。 上で触れたように駆動電圧は約2Vの調整不足という僅かなずれの状況になっており、突入電流調整抵抗としては39Ωは妥当な値と考えられますので、最終テストまでに余程のことが起きない限りこの値で決定して良いと思います。

LED基板の繋ぎ合わせはエポキシ接着剤でやります。 先ず半田面を上にして接合する2枚を付き合わせセロファンテープ(実はPETテープ)で繋ぎ合わせます。 これは2枚を連結するのと同時にエポキシ接着剤が半田面ににじみ出てくるのを防止する意味があります。  それをひっくり返して板の上に乗せてクランプで動かないよう固定します。

次にエポキシ接着剤を塗った細いプリント基板を接合部分に乗せてクランプで圧着保持します。 一度に貼れるのは4枚が慌てなくて済むので、2回に分けて合計8枚を貼り付けます。 その後24時間放置し接着剤が完全硬化してからLED挿入面だけを白のスプレー塗料で塗装して基板の準備は完了でLEDのハンダ付けに進めます。

半田面でセロファンテープを使い接合した基板をひっくり返して板の上に乗せ、4枚の細く切った基板をエポキシ接着剤で貼り付けました。

その接合部分のクローズアップですが、LEDが差し込まれる列に細い基板は干渉しません。

8枚の細く切った基板を貼り終わりました。(左側) このまま24時間放置します。 また半田面もセロファンテープを剥がしてあります。(右側)

LED基板を照明器具本体に固定するネジは10本ですが、それらのネジが通る穴(直径3mm)をあけました。 そしてLEDを挿し込む面全体を白のスプレー塗料で塗装しました。 LEDの背面方向への光は殆ど無いので、反射により光量を増やすのは期待できませんが、何となしに見栄えを気にしての処理です。 これでLED配線を開始できます。



2012/02/10

製作の続き 1

LED基板に111本のLEDを半田付けしました。 使用するLEDは脚にストッパーが無いタイプですので一定の高さに浮かせねばなりませんが、私がよく買い物をするショップでLED用スペーサーを販売している事が判り今回は高さ3mmの物を使用しました。 LEDの半田付けで最も注意すべき事は極性を逆にしないようにする事ですが、これも慣れてしまうと中の電極の形を見ただけでどちらがプラスでどちらがマイナスかが判るようになります。 この電極の形と極性に関しては例外もありますが、同じ品種であれば形からプラスマイナスを判別できます。(後ほどの写真を参照ください。)

LED基板でもコネクターを使って結線する事にしますが、コネクターは基板の裏側に取り付けます。 この場合片面基板では配線をLED取り付け面に一度引き出さないと配線できません。 またその配線は触って電気ショックを受ける可能性があるので、後ほどエポキシ接着剤でカバーしてしまいます。

駆動回路基板の方もLEDと直列に入れる電圧調整抵抗を挿入・交換しやすいように空中配線とした上でテスト点灯をします。  そこまでの様子は以下の写真をご覧ください。

3列のうち中央の列のLED半田付けを始めました。 慌てて進めると挿入位置を間違えたり極性を反対にしてしまうので要注意!

半田付けしたLEDのクローズアップ。 LEDの内側に電極が透けて見えますが、このLEDの場合このパターンですと左側が+です。 また高さ3mmのスペーサーもお解かりになると思います。

LED配線が完了した状態です。 上がLED挿入側で下が半田付け面です。 半田付け面の両端には青いコネクターが取り付けられました。 このコネクターの端子の先端はLED取り付け面に突出しますが、感電防止のために後でエポキシ接着剤で覆います。

駆動回路基板の完成状態で、3系統の電圧調整抵抗はそれぞれの最適値を入れてあります。

テスト点灯中です。 極めて明るいので写真レンズが起すハレーションも手伝い、LED基板が真っ白に見えています。

 左の回路図は駆動電圧調整終了後の状態を表しています。 先ず各系列のLEDの
 実Vf トータルは、116.4V、117.3V、116.8Vでした。 平均Vfはそれぞれ、3.15V、
 3.17V、3.16Vでこれまで3.1Vとしていたためそれよりも高めの値が出ましたが、販
 売店の表示は3.0〜3.2Vですから一応スペック以内に収まっています。

 余談ですが白色LEDと青色LEDのVfは結構ばらつくとの認識でいましたが、それは
 変わらないようです。 整流直後の電圧は126Vですので、定電流回路の入出力電
 圧差は、9.6V、8.7V、9.2Vあります。 これが7V程度になるよう直列に入れる駆動
電圧調整抵抗を計算しますと、(9.6-7)÷0.02 = 130Ω、(8.7-7)÷0.02 = 85Ω、(9.2-7)÷0.02 = 110Ωとなります。
これらに近くて低い値として、120Ω、82Ω、100Ω(±5%の誤差)を駆動電圧調整抵抗として挿入後測定したVdropが回路図には記載されており、7.1〜7.2Vとなっています。

久しぶりなのでこのVdropの値について触れておきます。 電灯線電圧が変動した時や温度変化によりVfが変化した時に、LED駆動電流が変化しないよう定電流回路はその変化を吸収してしまいます。 具体的には電灯線電圧が上がれば上昇分を内部消化しLED駆動電圧が変わらないようにします。 また温度が上がるとLEDのVfは下がる傾向になりますので、ほおっておくと駆動電流は増加しますが、定電流回路がVf低下分を吸収し、駆動電流が変わらないように動作します。

一方定電流回路の入出力間の電圧には上限があります。 ここで使っているLM317Tの入出力間電圧差の上限は40Vです。 これを超えるとICは破壊に繋がるため異常な環境になっても絶対にこの値を超えないようにしないとなりません。 7V近辺になるよう調整というのを私は絶対条件にしていますが、この値は過剰気味のマージンになっています。 そしてその理由は回路の安全性が欲しいからに他なりません。



2012/02/17

製作の続き 2

出来上がったLED基板をケース内部に固定してやればもう完成ですが、基板を固定する前に点灯試験をしようとLED基板が約15mm浮くようにして点灯した所明るい丸が丁度葡萄のように並んで光っているのが見え大変無様な状態で愕然としました。  実はLEDを使った様々な照明器具を作ってきておりますが、透過損失を避けるため全てLEDからの生の光を利用しているタイプで、今回のように乳白色のカバーを通しての明かりの利用は初めてです。  LEDの照射角度がこれにはかなり絡んでくるのですが、使うLEDを決める時に漠然と『半値角60度だから広角タイプだから大丈夫!』と余り真剣に考えていませんでした。

葡萄のようにLEDそれぞれの光が見えてしまうのは、『照射角が狭い。』 『乳白色カバーとLEDの距離が近すぎる』の両方の問題があります。 LEDの照射角が狭いのは改善できませんから別なもっと広角なLEDを買うしか手がありませんが、既に配線を終えた111本を捨てるわけには行きませんので、2番めの乳白色カバーとLEDの距離を長くする事を検討しました。

もともとはLED基板はこの照明器具ケースの底から15mm浮かして固定することを考えていました。 それを出来るだけ沈めてやるわけですが、基板の裏側には半田付け配線をやっているため最大で2mm程出っ張っています。 そこでLED基板を底から3mm浮かした時とこれまで考えていた15mm浮かした場合とを比較する実験をしました。 但し既に出来上がっているLED基板はコネクターを裏側に取り付ける構造だったのを表側に取り付ける構造に変更しないと、コネクターの高さが10mmありますから3mm浮かせて!という状態にはなりません。 もうひとつ考えておかないとならないのは、ネオンランプと切替スイッチを取り付けられるスペースがなくなります。

照明器具の固定、取り外しのやりかたを根本的に変えないとならなくなりましたのが暫し頭をひねった上で、これまでのように乳白色カバーを外して蛍光管を外した底の部分に器具の固定ネジがあるのではなく、吊り戸棚の下に固定したブラケットに照明器具を差込み横からネジ止めする!というスタイルに変更する事にしました。 こうすれば乳白色カバーを外すことはLED基板に問題が起きない限りありませんから、半ば接着の状態に出来ます。  少々乱暴かもしれませんが、カバーが外れてしまう!という問題の解決にもなります。

3mm浮かしと15mm浮かしの差は大変大きいのですが、光かたの斑はまだ残っています。 但しこの照明器具は目の高さより低い位置でしかも下向きで取り付けられることもあり、乳白色カバーの光り方が均等ではない!なんていうのはわざわざ覗き込まない限り判りませんから今回はこれで良し!としますが、LEDライト8の製作では重要なポイントになります。

照明器具固定のブラケットは断面がL型のアルミ押し出し材を切って作ります。 厚みが2mmありますので、照明器具本体に挿し込む面にはM3のネジを切ってやります。 またもう片方の面にはこのL金具を吊り戸棚に固定するネジが通る穴をあけてやります。

以上で全ての加工が終了しました。 電灯線の引き込みと照明器具の接続には屋内電気工事用の接続金具を使いました。

それらの様子は以下の写真をご覧ください。

LED基板の浮かせ量が15mmと3mmでどの位の違いが出るかの確認実験をしましたが、その前に裏側に取り付けていたコネクターを表側に変更する必要があります。 これはその変更後で、15mm浮かせの状態です。

違いは歴然としており15mm浮かせたのではLEDが乳白色カバーに近すぎて、LEDそれぞれの光は隣の光と交わる事が無く、葡萄の玉が並んだようになります。 しかし浮かせ量を3mmした時には隣どおしのLEDの光がかなりオーバーラップするようになり、丸い個々のLEDの存在はまだ見えるとは言えかなり拡散されます。 今回はこの面が直接見えるわけでは無いのでこれで良しとします。

実際に基板を固定するのにはM3 長さ10mmのネジを表側から通し、裏側はスプリングワッシャー(厚み1mm)を通しナット(厚み2mm)で締め上げます。(厚みが合計で3mmになり、所定の隙間が出来る。) これをケース底の穴に通し反対側を再びナットで固定!という構造です。

写真下のベージュ色が照明器具ケースで、M3のネジをナットで締め上げました。 ネジの先端はケースの縁よりも低いのでケースを固定する際にネジが当る事はありません。

そして再度拡散状態の確認のために点灯しました。 これで電気関係の配線組立は終わりました。

照明器具本体を吊り戸棚下に固定するL型ブラケットをアルミ押し出し材で作りました。 赤矢印は3.5φの穴、また黄色矢印はM3の雌ネジにしてあります。

取り付け法の説明ですが、本当は赤矢印の部分を先に吊り戸棚へ固定します。 そして下部を照明器具の内側に差込み、

2箇所ネジ止めすればOKというわけです。 600mm近く離れた反対側も同様に固定しますが、以前は中央の100mm間隔位で固定していたのに較べれば確実に固定できてぐらつきもありません。

太い単線の屋内配線とはこんな接続部材で結線します。 これは2本を結線する部材ですが、右の写真のように穴にワイヤーを挿し込むだけで結線が終わります。 外すには捻って回転させれば良い。

駆動回路から出ているAC入力ケーブル2本を接続部材に挿し込みました。(右上の拡大写真) これで本体の取り付け作業に入れます。

これは左側ですが、L型ブラケットを所定の位置にネジ止めします。 屋内配線ケーブルの先が見えていますが、この先端を接続部材に挿し込みます。

2個の接続部材に挿し込んだ所です。 接続部材はこの角度では重なって見えますが、上の写真でお解かりのように2個使っています。

これは右側ですが、L型ブラケットへのネジ止めに通常のM3ボルトではなく、ツマミ状のサムスクリューを使い見栄えを良くしました。

取り付け位置は以前よりも右に寄せてシンクの真上に移動してあります。 このため手元位置の明るさがかなり改善されています。

点灯状態です。 このLEDの色味は電灯色と言われていますが、間違いと思うくらい白色に近い電灯色です。(色温度は5000度位?) 所謂白色の蛍光灯に近い発色であるので選んだ物ですが、ブランド不明の中国製です。

速やかな製作が肝要なので製作は2週間強で終了しましたが、その割にはまともな物が出来たと思います。 使ったLEDは安定して入手できる代物ではなさそうですので(型番も無)、今後再度使う可能性もないと思い光度分布の測定もせずに終わりましたが、簡単な測定はしておきましたので紹介します。

光度測定は照明器具の中央から真下370mmの位置で測定した明るさが700ルクスでした。 この位置は家内の言う手元位置ですが十分な光量であり以前よりも明るくなったようだとのコメントがありました。 また消費電力は7.6Wで1系統(20mAの駆動電流)辺り2.5Wの消費電力というこれまでの経験通りの値です。 これまでの蛍光灯は20W強の消費電力であったと思われるので、消費電力は以前の37%程度に収まっていることになります。

製作コストは一番出費の大きいLEDがノンブランド中国製とあって単価\33.-で入手でき、111本使いましたので\3,663.-、その他の部材全てを含み丁度\5,000.-の材料費で済んでいます。 ということは新しい蛍光灯を買うのと同じくらいの出費です。 よって製作前の検討時の計算よりも更に良くなり、いきなり元が取れて使った分だけ光熱費が安くなる(1年で\570.-位の節減)、という結果です。
----- 完 -----


 
  
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