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エネループ充・放電器
   
2013/01/11

構想

現在ヘッドフォーンアンプ3の製作に取り掛かるべく構想を練っていますが、その中にエネループを使う構想があります。 ということは充電器の製作も考えねばならないのでそれの検討も進めているのですが、本格的というか私としては大それたテーマの充・放電器を作ってはどうかな? とヘッドフォーンアンプの充電器から脱線したテーマの検討も始めました。 そして正月ののんびりとした中であーたら、こーたらとだいぶ寄り道をしながら思考実験の中ではうまく動作しそうなものが1次案の回路としてまとまりました。 但し更なる検討を加えればこれが最終回路となる可能性はまずなく、ひとつの叩き台として見なければなりませんし、極端な場合結局ボツとなる可能性もあります。

さて作ってみようかと考え出した理由ですが、ヘッドフォーンアンプ3で触れているように、私は単三型約20本と単四型10本のエネループを持っています。 そして常に充電済みの単三が6本以上、単四が4本以上何時でも使えるよう保管しています。 こんな使い方はエネループ以前のニッケル水素電池では自己放電が多いので X な使い方ですが、エネループは自己放電が少ないとのことで可能になった使い方です。

このときのメリットは充電時間が短くなくても不便を感じないということです。 特に私の場合は充電前に必ずリフレッシュ(放電)を致しますが単三電池の場合充・放電の合計処理時間は11時間近く掛かり、電池が空っぽになったから即充・放電して再び機器に入れて使う! という使い方は待ち時間が長すぎて容認できません。 充電時間が短くなくてもよければ技術的な難易度が低く電池にも優しい低い定電流で12時間前後の充電方法が使え、放電も0.1C定電流放電であれば例えば残量が20%あっても2時間で終了します。 これが自作してみるか?の第一の理由です。

第二の理由は現状の手間の掛かる充電作業です。 現在充電器を2台使い単三電池は最大8本充電できますが、単四電池は最大4本しか充電できません。 となると単四を4本以上充電するには一度で完了せず2段階になります。 ということはトータルの放・充電時間は10時間以上掛かる事を意味しており、しかもその間に電池交換をしないとなりませんから夜寝ている間に充・放電というわけには行きません。

これがものぐさな私には結構面倒なのでもう一個充電器を買い増してやれば良いのですが、1個の充電器の消費電力は12VA(殆ど12Wと考えて差し支えない。)もあります。 3個使うと36Wということで、随分と大飯食いで余り面白くありません。 それに対して詳しくは後述しますが、今回構想を練った最大8本を一度に処理できる充・放電器は10W以下の消費電力と見積もっています。 消費電力が少ないことも然ることながら電源はDC12Vで考えており、将来作りかもしれない太陽光発電による小規模の非常時用電源に直結できるとも考えています。(それまでの間はスイッチングタイプのACアダプターを使う。)

これらが自作の興味を持ち始めた理由です。

現在使っている充電器。 リフレッシュ機構も入っておりトータルでは満足度は高いほうだが、単四は中の2本のスロットしか使えないのとリフレッシュに大変時間が掛かる。 また意外にも消費電力が12VAと高い(右の写真)



現時点での主な仕様

  1.安全/安定性の高い定電流放電・充電で、完全自動により放電・充電の処理が終了する。

  2.一度に最大8本までの単三または単四電池を処理可能。

  3.消費電力が少ない(省エネ)であること。 目標は10W以下。

  4.製作コストは\5,000以下。


 以上を踏まえてできた1セットの回路図が左で、実際には2組必要になります。
 マイコンやデジタル技術は全く使わない純然たるアナログ回路ですが、一定のシー
 ケンスで動作するはずです。 その動作について簡単に説明します。

 先ず回路全体の形は逆さになったL型になっていますが、左に飛び出た部分が電源
 と充電回路です。 そして右側の太く縦に伸びた部分は放電回路になっています。
 この放電回路は同じものが4組ありますが、4本の電池それぞれに1組の放電回路
 が対応します。 これは電池の残量が電池を外したタイミングで異なってしまい、放
 電時間も異なってしまうことによります。

電源は12Vを9Vのレギュレーターに通しますが、ダイオードを追加することにより出力電圧を0.65〜0.7V上げた9.7Vとしています。(理由は後述) さて右端の方にある放電スタートのスイッチをONにすると一番右のトランジスタにベース電流が流れるのでトランジスタはONとなりリレーが閉じます。 すると電池両端に繋がれたスイッチはその左のトランジスタに接続され電池からトランジスタを通過して電流が流れます。

この電流はオペアンプがトランジスタのエミッターに入った1Ωの抵抗の両端電圧をリファレンス電圧と比較してトランジスタに流れるベース電流をオペアンプでコントロールし一定の値(定電流)にします。 放電中は放電中表示のLEDの右側のトランジスタはONとなっていますからコレクタ電位はGNDとなります。 そしてこれは充電回路電源の2SJ377(左側)をONとし充電開始の準備が出来た状態になります。(但しその右側の2SJ377がONではないので充電は始まらない。)

さて放電中電池電圧を右側のオペアンプで監視しており電圧が1V(放電終了電圧)に到達するとリレーを遮断します。 そうすると電池両端のリレー接点は右側に倒れ挿入された電池は直列につながります。 この電池両端の電圧(1.0〜4.0V)は充電開始タイミングの回線を通じて右側の2SJ377の下のトランジスタのベースに定電流化されて注入されトランジスタはONとなり次に2SJ377もONとなります。 これで充電回路の電源がONとなり、KD01Pは電源ONでトリガーされ一定時間(12時間)6ピンがHighとなります。 KD01Pの右側のトランジスタはこの間ONとなりリレーが閉じLM317Tを使った定電流回路が設定した電流を電池に送り込みます。(充電動作)

この定電流回路の入力には電池を4本装填した時に電池電圧は5.8V、逆流防止のダイオードで0.7V、LM317Tのリファレンス電圧が1.25V、ドロップオフ電圧が1.75V、発生しそれらの合計の9.5V以上が入力電圧として必要です。 これがあまり高いとLM317Tでの損失が増えるので電源電圧としては9.5Vよりちょい高めが欲しいところで、9V出力のレギュレーターにダイオードの下駄(0.7V)を履かせた9.7Vとした訳です。 充電が12時間経過するとKD01Pの6番ピンはLowになりトランジスタはOFF、リレーは開きます。 このため充電電源回路はOFFとなり放電・充電が終了となります。

この回路で消費電流がどうなるかを大雑把に計算してみました。 最も消費電流が高くなるのは充電時で220mAを超えます。 参入されなかった消費電流が30mA程あるとして250mAが最終値としたら2組使った時には500mAの消費電流です。 電源電圧は12Vですから6Wの消費電力ですが、交流100Vからの変換効率が70%だったとすれば8.6W。 更に参入していない損失を含み10Wと考えることにします。 これが省エネだ!という根拠です。

何か話がうますぎる感じがしますので、頭を一旦冷やしてからもう一度各部をチェックしたいと思いますし、可能であれば全自動を維持しながらもっと簡略化した回路に出来ればと考えています。 従って製作するか否かの判断はもう少し先になります。


----- つづく -----

 
  
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