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読者の作品 054
 

2010/12/24

2009年7月に学習机をご紹介いただいた奈良県の鈴鹿様から新たな学習机製作の様子が寄せられました。 詳しくは丁寧なコメントが一緒に送られていますのでそちらをお読みください。


学習机2号機

1.構想

昨年チャレンジした学習机1号機に続き、今年1年生になる弟向け
に、学習机2号機を作成しました。
今回は、3つのテーマを設定しました。

・コスト削減
・新しい構造へのチャレンジ
・軽量化


1.1 コスト削減
机本体の引き出し3個分で、木製レールを採用します。1号機に比べて約3000円の節約です。(たかが3000円ですが、全コストの10%程度に相当します。)

1.2 新しい構造へのチャレンジ
1号機は「枠組みの上に天板を乗せる」構造でしたが、今回は「天板に脚を付ける」構造とし、しかも分解可能にします。 これは工芸店の机カタログにあった、「天板の幅を自由に選べる」製品からヒントを得たものです。後にチャレンジする予定のダイニングテーブルの構造に適用するための練習を兼ねます。

1.3 軽量化
ゴム集成材は結構重いものです。本棚部分の背板は耐力の必要性は低いので、桐集成材を用いて軽量化することにしました。桐集成材を選んだのは、ゴム集成材と同程度の白さでであったこと、今回は黄色系に塗装するので、材の違いが目立たないことが理由です。また、同時にコスト削減にもなります。


2.設計

外寸は、1号機と変わらないのですが、脚部の構造的変更を加えたこと、背板に桐集成材を用いたことで、細部の設計はかなり見直しました。特に各所の背板は、1号機では側板で挟み込む(しかもスレッド+スレッド頭のダボ埋め)構造としていましたが、桐集成材では木目方向のスレッドでは弱いと考えられることから、挟み込みではなく背面からの打ち付けとしました。これで製造工程の簡素化も合わせて実現します。


立体図は、脚部を下に、引き出しを右にずらせて表示しています。






背板は背面から打ち付けに変更。側板は20mm厚に変更し棚板用の溝を掘ったうえで、横からスレッド留めとします。 斜めカットは図面上では省略しています。



脇机は基本的に変更なしですが、1号機では3段目のレール車輪が底板にすれる感じがあったので、レース下余裕を3mmから4mmに変更しました。

今回は、あまり好きではないボンドを活用するため、失敗すると戻れないので、下記のような制作手順書を作成しました。予めかなり細かいところまで書き上げておいたのですが、実際の制作では結構見直しながら進めることになりました。


3.制作




まず、脚部を作ります。前後の脚を木ダボ+木工用ボンドで固定します。
VIC様推奨の自作大型クランプで固定しています。

そして脚部に仮天板を付けます。このとき直角を保つために自作治具を使いクランプで固定してからスレッドを打ち込みます。


かくして、右脚のできあがりです。このように右脚を1つの部品としてボンドで固め、左脚も同様に作ります。そして左右それぞれを天板にくっつける算段です。

この段階での製造工程を1号機に比べて簡素化しました。脚部の「ぬき」や幕板との接合は、スレッド留め+スレッド頭のダボ埋めとしていましたが、2号機では木ダボ+木工用ボンドとしたことでかなり手間が省けました。
天板に「鬼目ナット」を埋め込み、脚部をボルト留めします。右の写真は脚部を完成させる前に、仮天板を仮留め(ボルト穴位置確認のため)したところです。



引き出しの仕切り板を天板に固定する場面では、1号機ではかなり苦労しました。押さえつけてネジ留めするのですが、結果的にぐらぐらして。。。今回は教訓を活かして、クランプで仮留めしてネジうちしました。
脚部を天板に付けたところも、この写真で見て頂けると思います。
1号機で課題の残った、本棚の可動仕切り板レールは、レール幅(実際には高さ方向ですが)を広げてぐらつきを抑えました。



これは、今回見つけ出した工夫の1つです。写真は引き出しの箱をVic様推奨どおりの方法で隠し釘を打つ場面ですが、スコヤはかなり厚みがあるので、写真のように左手でスコヤを押さえつけながら保持して(実は左方向に少しだけひっぱりながら)隠し釘を打ち付けると、直角を保持したまま打つことが出来るので、かなりいい感じに箱を作ることができました。
今回スコヤを購入したのですが、数枚上のクランプ留めの写真でもスコヤが活躍しています。自立するので工夫した使い方がいろいろ楽しめます。細かい部分の墨付けにも大いに役に立ちました。(50cm級の曲尺では小回りがきかなくて、、、、)Vic様の必須道具の中に入っていませんが、私からはスコヤは大推奨です!
4.おまけ

子どもを引きつけるための「おまけ」は、1号機ではハート型の仕切り板でした。 1号機では安物の彫刻刀で苦労したので、今回はトリマを使ったのですが、辺の数が多いので、ガイドとなるあて板のセッティングが片面で10回、4枚両面掘って計80回となってしまい、これまた非常に時間のかかる作業でした。



また、1号機ではハート型の引き出しつまみもおお受けでした。2号機では星形のものを探しましたがみつからず、通販ショップに紹介していただいた乗り物型で勝負しました。これまた男の子にはおお受けでした。
スライドレールをやめて木製レールにしたことで、どうやって引き出しのすっぽ抜けを防止するか、随分悩みました。いろんな機構を検討しましたが、結果、こんな簡単なものを採用しました。ちょっと折れ曲がるプラスチックをネジ留めしただけです。 これは昔買った安物の食器棚で採用されていた超ローテクです。同じものを探しましたが「こんなもの」売っていません。とうとう、食器棚から奪いました。。。右の写真は引き出しがすっぽ抜ける前に止まる様子です。


5.完成

かくして、1号機と2号機の揃い踏みです。1号機は女の子向けにハート型と曲線での構成、2号機は男の子向けに星形と直線での構成としました。
弟君も、喜んでくれて、お父さんは満足です。




VICの一言

日曜大工を進めるにあたり、必ず押さえるべきところ(きちんとした設計、作業手順の検討など)を完璧にやられた上で様々な製作の経験をされて始めて滲み出してくる手馴れた感じが伺え大変うれしく思います。 また私も孫のために机を製作する可能性が数年後に濃厚ですので、大変興味をもって見させていただきました。  チャレンジされるテーマはまだまだ沢山あると思いますので、更なる発展、工夫そして大いなる成果をお祈りします。