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収納家具と床への荷重
2004/12/31

最近mini-Shopでお買い上げいただく商品から収納家具を作られている方が随分増えてきたように感じ、それを推奨している私としてはたいへん嬉しい限りである。  しかし折角作った収納家具が床の強度不十分で安定して立たなかった場合には、地震で倒れやすいなどの問題があり事前に検討しておく必要がある。

大きさにもよるが収納した物品も含む収納家具の重さは軽い物でも200kg前後から重い物では1000kgを越すことも珍しくない。
仮に壁や天井に製作した家具を固定した場合でもその目的は地震の際の倒壊防止であり、重量を支えるのは床が殆どである。 そして無論のことだが床は充分にそれに耐えられるような強度を持たねばならない。

 床の構造は一般的に左の図のようになっており、土台や大引きと呼ばれる大きな荷重を支えら
 れる構造体の上にほぼ等間隔に並べて固定された根太と呼ばれる角材の上に床材(フローリン
 グ)
が貼られている。  大引きの間隔は91cmから182cmあるのが普通であるから、根太はこ
 の間を補完して床の荷重を受ける役目をしており、30cm - 45cmの間隔で固定されている。

 その上に床材として12mm厚のフローリングボードが貼られたり、カーペットの場合には構造合板
 やOSBなどが打ち付けられてその上にカーペットが敷かれる。

12mm厚の3 x 6合板を両端で支えてその上に乗ってみると判ることだが、大きな撓みが生じて大変心もとない。  しかしそれを受ける根太や大引きが存在するため撓みは大幅に減少する。  これが床の構造と重量を支える基本的な考え方である。

 ところでそれらの床に大きな家具を置いたときにはどのようになるかが大変重要である。
 左の図の左側は家具の長手方向と根太の方向が直角になっている場合で、床板そのものでは
 支えきれない荷重を3本の根太に家具の重量が分散して掛かるから安定性は高そうに見える。

それに対し中央は根太の上に家具が置かれた場合で、床の撓みが発生しやすく左の場合に比べると安定性を欠く可能性がある。 この場合でも右側のごとく家具の長手方向が根太の上にまたがって乗る場合には安定度は上がるであろう。

 但し家具は床と底面全体で接触しているわけではないので、実際にはそれ程単純ではない。
 こちらの左の図は私が作った大半の収納家具の構造で、家具の側板が床に接触している。
 こういった場合には、左の場合よりもむしろ右のように2本の根太に側板がまたがるように載るの
 であれば、その方が安定性は高くなる。

 私が常に根太と平行に家具が置かれるように考えている理由はこんなところにあるし、家具の奥行きが45cm-60cmであれば間違いなく2本の根太にまたがって載せられるわけだ。

 もしも根太が家具の長手方向と直角になる場合の時にはどうすればよいかというと、家具の側板
 だけでなく前後に重量を分散して支えられるような板材を追加し台座とした構造にすればよい。
 左がそのタイプである。  この場合であれば、根太が家具に対して平行になろうが、直角であろ
 うが床と根太に対してうまく荷重を分散できる。

 理想論を言えば作り付け収納家具を設置する床は根太の量を2倍にしてやれるとよいし、大引きや梁の本数を増やせればもっと良い。(大型の本棚の場合には総重量がとんでもない大きさになるので、真剣に床補強を考えなくてはならない。)

ところで根太がどのように入っているか判らない?と言う方の為にその判断の仕方を説明しておこう。

 フローリングの床の場合、フローリング材の長手方向と直角に根太は入っている。 またカーペッ
 トを敷き詰めている場合には、カーペットを剥がしてみよう。(殆どの場合カーペットを接着していな
 いから簡単にはがせると思う。)
 そして下地の板(大抵はコンパネ)を打ち付けている釘やネジを
 見て根太の方向が判断できる。 それ程難しいことではないので家具を設計する前に設置場所
 の床を十分調べてから取り掛かりたいものだ。

 以上の解説は単に家具の総重量が大きいから問題だということだけではなく、比較的軽量であっ
 ても家具と床との接触面積が小さかったり、根太に対してうまく荷重が掛からなければ不安定な
 据付となることを示唆している。


以下はそれらに対する象徴的なお話だ。
大工さんや建築家がピアノの設置を気にするのはそれらの絶対重量ではない。 勿論アップライトピアノでも200kg前後、グランドピアノとなると300kgを超える物もあるから軽くはないのだが、3点ないし4点の点接触に近い構造で床が支えなければならない点が問題なのだ。 極端な場合床を踏み抜くことすらある。

最近では音楽レコードはCDにほぼ置き換わってしまったが、その昔LPレコードを再生する針のことで面白い例え話を覚えている。  レコード針のレコードに接触する針圧は1-3g程度の微量だが、レコードの溝との接触面積が小さいため接触面積あたりの荷重は極めて大きいく、1cm四方の台の上に象が乗った荷重に相当する! と言われた。 接触面積あたり荷重とはそのようなことで針の先が尖っていると挿し易いのも同じ理屈。 それにしてもビニール製のLPレコードの溝はよく耐えられるものだ。



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