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収納部の奥行きと板取り
2004/10/29

実益が非常に高い日曜大工のテーマとして収納部分の自作(作りつけ収納家具)は非常に意味があり、最も推奨したいテーマだが、大型となるだけにその設計で悩む方がかなりおられる。 そこで今回は奥行きの決め方について解説してみたいと思う。

1.収納家具における使いやすい奥行き
  収納した物を取り出すときに奥行きが深すぎると大変取り出しにくくなる。 あまり窮屈にならない深さの限度としては、手を握
  りこぶし状態にしたときの腕の長さと考えてよいと思うが、因みに私の場合50cm強しかない。
  従ってこれよりも深くなると中に潜り込むような姿勢をとらない限り、奥のものに手が届かないという可能性が出てくる。
  若干深めを良しとしても60cmといったところが限度だと思う。

  しかるに収納部分としてどこの家にもある押入れはこの面で最悪の奥行き寸法であり、実寸は80cm前後もある。 こういった
  奥行きの場合前後に収納物が重なる事が多いから、奥に入れてしまったものは潜り込むような姿勢をとらないと出し入れ出来
  なくなるばかりか、長い間には奥に入れたものが何であったかを忘れてしまったり死蔵品としてしまう可能性が高く、トータル
  的な使い勝手は非常に良くない。

  よって使いやすい奥行きの限度は60cmと考えた方がよいが、この寸法は後述する効率的な材料の使い方で大きな意味を持
  つ。

 2.奥行き60cmはマジックナンバー
  実は深さの上限60cmは洋服ダンスとした時に実にうまい寸法で、扉の裏側にネクタイハンガーを取り
  付けて丁度良く深すぎず浅すぎずなのだ。 ウォークインクローゼットスタイルもよし、奥行き60cmの整
  理ダンスと組みあわせて一体化しても良い。 

  机として使う場合でも奥行き60cmは使い勝手の良いうまい寸法になる。
  こう書くと、机はもうちょっと深いほうが良い! パソコンを使う場合には
  尚更!
と言われる方がいるかも知れないが、パソコンを使う机であれば、キーボードは引き出し式と
  して机の面より若干低くした方が人間工学的にもよく、キーボードが机の上を占領しないので机の上
  をフルに使えるというメリットがある。 従って60cmの奥行きは机にも適用できる。

  もうひとつ60cmがもたらす優位点は板取りである。 4 x 8の合板を使うと60cm幅を丁度2枚切り出せる。 長さは2430mm
  程あるから普通の家の天井高である2400mmに対し端を少し切断すると収納ダンスの側板が出来上がってしまうのだ。
  私の作例では寝室と個室1の収納家具の製作でこれを応用し作業効率が上がり、無駄が少ない効果に繋がっている。 無論
  この場合縦方向の切断は材料を購入するところでやってもらえば運ぶのも楽だし、切断の手間が省ける。

3.奥行き寸法の種類と板取り
  収納家具を作る際に引出しを作りたいケースは沢山あると思われる。 というか実際に使ってみると引出しというのは物の出し
  入れのしやすさ、整理のしやすさのてんで棚よりもずっと優位性が高いと私は思う。 特に50-60cmの奥行きがある場合
  には、押入れよりはマシとは言え奥の物の出しいれのしやすさで段違いとなる。

  その引出しもスライドレールを使ったものの方が少ない力で出し入れでき、しかも奥のほうまで手前に引き出せるから是非とも
  お奨めしたいのだが、その場合引出しの奥行きはスライドレールの長さで決まってしまうので、その点の配慮が必要になる。
  市販されているスライドレールは30cm-60cmの間で5cm刻みとなっていることが多いから、引出しの奥行きもそれに併せた
  方がスペースの利用効率がよくなる。

  これら以外の棚などは奥行きは自由に設定可能だが、3 x 6の合板や4 x 8の合板から効率よく切断できるよう良く考えるこ
  とが無駄を少なくする。  縦引きは購入時に依頼することを前提とすると、所要の板幅それぞれに3mmを加算して板取りを考
  え、合計が3 x 6の場合910mm4 x 8の場合1220mmに近しくなるよう決めれば板取り効率が良くなる。

  例えば3 x 6の場合、300mm3枚は 303 x 3 = 909mmでぎりぎりOK。 4 x 8の場合、300mm4枚が 303 x 4 =
  1212mm
8mm程余る。 といった具合だ。 このような板取りを考えながら家具の各部の奥行きを決定すれば、かなりの
  材料費の節減に繋がる。

  このような観点から幅の狭い板を沢山必要とする場合には、中途半端な数値となっても板取り効率を優先した方が良い場合も
  ある。  例えば引出しを沢山作る場合には100-150mm程度の幅の板をかなり必要とするが、効率を優先した幅を考えると
  すると、3 x 6からだと98mm幅で9(ちょっとぎりぎりすぎるが)110mm幅で86mm余り)126mm幅で77mm
  り)
148mm幅で64mm余り)と言った按配だ。 きりの良い数値の100mm幅とか120mm幅に拘ると無駄が増えてしま
  う。

面倒なようだが以上のような考え方で収納家具を作ると適性サイズで尚且つ材料費をかなり節減できる。 
私の実例では、4 x 818mmシナ合板一枚分(\15,000位する)節減できた例もあり、予算の節減もさることながら、端材が少ないから残材の処理で困ることも減る。

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