HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop

 
こんなもんでいいや!?
2002/08/15

「こんなもんでいいや!では進歩無し」

日曜大工教室で見かける光景のひとつに、どう考えても仕上げ不十分なのに「先生こんなもんでいいですか?」と質問されどう答えてよいか困ることがある。

何故困るかと言うと、どの位の程度まで仕上げたらよいかは当人の技量、経験度などにより画一的にこのくらいなら良いとは言い切れないからなのだ。 全く初めてカンナを握った人に、綺麗に削れない。平らに削れない。を、深く突っ込んで上手く行くまで強要したら多分その方はカンナを使うことそのものが嫌になってしまうと思う。 他の工具でもそれは同じ事であり最初から高望みしても始まらない。
初心者の場合には、程ほどのところでよしとせねばならない。 その作業を何回か繰り返すうちに少しずつ上達すればよいのだ。 

問題はある程度の経験がある人だ。 
何でこんな面倒なこと!みたいな雰囲気を持って、「こんなもんでどうでしょうか?」 みたいな質問には面食らう。
「あなただったらもっと綺麗に仕上げられるのではないですか?」 とやんわり否定することにしているが、「最後の判断はあなた次第ですよ!」とも言うことにしている。 

黙ってみていると、結果はその方よりも初心者の方が良かった。なんてこともあり、「なんで!!ノコギリも満足に使えないのに!」と陰でつぶやいていることも目撃している。

どんな工作であろうとも、これ以上の仕上げはない!と言い切れるまでやったら、それは完璧にプロの仕事であり領域なのだ。 材料が粗末なものであろうとプロは吃驚するようなすばらしいものに仕上げてしまう。 逆に技術がなければ高級な材料を使おうが、高価な道具・工具を使おうがろくなものはできない。

その技術レベルへの到達を夢見て、色々工夫してより良いものを作るとか、前よりも上の仕上げとなるよう努力しようとする心がけがない限り、上達など決してありえない。 

極端な例ではあるが日曜大工教室に参加している方で、なんと増・改築に関する知識やテクニックを教えて欲しいと言う方がいた。

はっきり言って申し訳ないのだが、やりたいと思っている高度な目標に反しその方は全くずぶの素人としか言いようがなく、釘さえも満足に打てない。 ノコギリも使えない。メジャーもまともに使えないのである。 
しかし日曜大工教室ではかなりの不満をおっしゃられ、「こんな作業は面倒くさくてやっていられない。 こんなところは適当にすればいい。」みたいなことをしょっちゅう言われる。 改築のテクニックの前にある程度の技術を身に付けないと実現できませんよ!と申し上げているのだが、どうも反対側の耳へ素通りの様子が続いている。 

一方私の説明の要所をテキストに記入し復習されている方もいる。 その方は最初の教室で始めて電動ジグソーを使いその時はかなり手が震えていた。 数回の参加の後に最近では、「先生、前よりもこの部分の加工が上手く出来たように思うのですが?」と聞いてくる。 私の記憶でも前回よりも一段上になっていることが判りこんな時は大変嬉しい。 後でその辺りを確認してみると、少しずつ前よりもよくなるように色々考えていますが、先生がより良くするヒントを教えてくれていますので、それをメモしています。 とのことだった。  無論こんな方は非常に進歩が早い。 

以上2つの例は何れも全くの初心者で女性であったが、現在ではかなり技量の開きが出てきてしまっている。 このギャップは多分開く一方になると思うのだが。

私は日頃、器用かどうかが上手にものを作れるようになる要因ではなく、よりよくなろうとするこだわり、工夫、努力があるかどうかの方重要だと考えている。 

かく言う私自身が、自分でも判るくらい作業・加工の仕方がまだ進歩していることを認識している。 
(まだ進歩できるくらい進歩の度合いが遅いともいえるが。) 

いずれにしても、「あすなろの心掛けと努力」は日曜大工レベルアップの絶対的な必要条件なのである。

日曜大工だけに言えることではないが、皆さんくれぐれも 「こんなもんでいいや!」と安易な妥協をしないで欲しい。 
そのときから進歩は止まります。

  

Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.