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接合強度を確保するには?
 
2006/07/07(以前D.I.Y.雑談に含まれていたものを再編集しました。)

アマチュア的手法で述べているように合板を日曜大工の主材として使っているように、私は合板同士の接合には4種類を使っているが、それらの接合をどう使い分けているかについて触れてみたい。 但し以下の説明は定量的な破壊試験や強度試験が出来ないアマチュアである為、さまざまな経験に基づいた定性的な見方であることをあることをあらかじめお断りしておきたい。

最初に接合面とそれに働く破壊力に関して簡単に述べてみたい。 接合面の耐力の大きい方から上げてみた。
(図中赤線は力の掛かる方向を、青線は接着した部分を表す。)

 1.接合面を押すような力(圧縮力)
   接合した面に対し双方から直角に力が加わる場合で、この場合には接合力は全く重要ではなく、合
   板自身がどれだけの圧縮に耐えられるかに拘わっているので一般的に接合上の問題は発生しな
   い。

   従ってこの力しか加わらないのであれば接合は不要であり、床に置いたテーブルの脚と床の間に掛
   かる力等はその典型である。


 2.接合面に平行で且つ反対方向の力(剪断力:せんだんりょく)
   接合面に対するずれの力である。 これに対する耐力は、1.には遠く及ばないが後述する力より
   は高い。 今まで経験した中では接着面積が100mm、幅40mmで、剪断力100kg近くまで耐えたこ
   とを確認している。(大人2人の体重で破壊した。) この剪断力の強化に木ダボ、ネジの併用が大変
   有効である。 

   一つだけ注意すべきことは、剪断力のみが働くことは少なく後述の曲げの力も同時に加わる事が多
   いことで、接着部分の曲げの力に対する耐力は剪断力への耐力よりずっと低いので注意が必要だ。

 3.接合面を引っ張る力(引っ張り力)
   1.とは反対方向に力が加わる場合だ。 このような力が加わった時に何が耐力を決定するかという
   と、木工ボンドを使った接着が正しく行われたとするならば殆どの場合、合板の表面に貼られた薄い
   板がその下の積層板にどれだけ強く接着されているかで決まる。 言いかえるとこの力がどんどん
   加わって行くと最後には表面材がべりっと剥がれてしまい、結果として接合部分が破壊してしまうの
   である。 何故かというと積層板を貼り合わせる時に使われる接着剤は、正しく使った木工ボンドより
   も接着強度が低いためのようである。   私は合板生産に関する知識はないが、これに近い現象は
   何度か経験している。(破壊までには至らなかったが) 

従って木工ボンドの接着力が高くてもそれだけでは不充分な為、木ダボとネジの併用は強化の為に不可欠である。 木ダボは正しく接着された場合には、その剪断力耐力増大に繋がるし、ネジはその引き抜き力の増大が補強に貢献する。

 4.接合面に加わる曲げの力(折り曲げ力)
   この力は私の経験ではもっとも警戒すべき力だ。 以上述べた4種類の中で最も小さな力で破壊に
   繋がってしまう。 破壊の原因は3.と同様だが、木ダボやネジを併用すれば補強できるがその効果
   は3.程ではない。 特に片持ちの場合には不利なので構造部分等では筋交いのような追加補強を
   考えた方が良い。




次に以上述べた接合部に掛かる力の耐力UPの実例を説明したい。

1.棚板の補強
  例として個室1の収納家具で説明しよう。 右側2ブロックの洋服ダンス部分は内寸がそれぞれ770mmあり、それぞれ2枚の
  固定棚が側板に接合されている。 この固定棚に掛かる力は剪断力と曲げの力であるが棚の幅が長くなるにつれて曲げの力
  に対する耐力が重要になってくる。 各接合部分には、木ダボ4本と3.5φ50mmのスレンダースレッドネジを5本使って補強し
  ているが、木工ボンドが完全に固着した後では大人2人が乗ってもミシリともいわないほど(100kgを少し超える)強化されてい
  る。 実際にはこの上にそれ程の荷重が掛かることはないはずなので十分な強度であると考えている。
  ところでこの収納家具の最上部と最下部に固定されたB'はスレンダースレッドネジで固定しただけで接着剤は使っていない。
  その理由はこれらの接合部分には通常は上で述べたような力が殆ど掛からない為、強化を施す必要性がない為であり手抜き
  ではない。

 棚板の幅が広くなるとテコの原理で曲げに対する耐力が重要課題と
 なるが、同時に棚のたわみ防止の処置も必要になる。  棚の幅が
 600mmを超えそこに重量物が載るとたわみが無視できなくなる。

 リビングルームの収納家具ではたわみ防止に鉄製Cチャンネルを使い
 大きな効果が上がっているが(棚板への荷重は1枚辺り約40kgあると
 推定している)、これは接合部の曲げに対する耐性アップにも貢献して
 おり、たわみ防止という見てくれだけの問題では決してない。


2.家具横方向のたわみ防止
  床に置かれた家具に掛かる横方向の力は、側板と棚板の接合部分には曲げの力として作用する。 上で述べたように曲げの
  力に対する耐力は他の力に対してより低いので強化する必要がある。 その一番簡単な方法は、背面に薄い合板を全面的に
  貼ってしまう方法で、最も薄い2.7mmの合板でも木工ボンドで接着してやることにより絶大な効果がある。 但し私の作る収
  納家具は基本的に壁と壁の間にぴったりと納まる構造としている為特に耐力アップの対策はしていない。 この写真を見ても
  判るとおり背面は壁面その物である。 手抜きというわけではないのだが、組立は楽であり材料節減の意味でも合理的な方
  法であると自認している。 もし壁面とは違った仕上げをしたければ、後からペイントを塗ってしまうとか、別な壁紙を貼るとか
  その辺りは自由である。

 3.引っ張り強度に対する配慮
   吊り戸棚の構造で引っ張り力が問題となる組み方として左の図の
   場合がある。 棚板は両側の側板との接合では、剪断力と曲げの
   力が重要で、引っ張り力が問題となるのは中の2個所の側板だけ
   であり、引っ張り力に対する耐性が不充分であっても両側の側板
   と棚板の接合がそれを補完する様に働く。 これを逆に見て、真中
   の2箇所の接合がたわみ防止となり、両側の接合部分の曲げの力
   に対する耐性アップに役立っているとも言え合理的な構造だ。 
   但しこのような補強を施しても1箇所で100kg以上の耐性を持たせるのはかなり困難であるので、この棚に乗る物が大きな荷重とならないような配慮が必要となる。

家事スペースの収納で作った吊戸棚は正にこのような構造となっている。 2箇所の側板に掛かっている引っ張り力は現在合計で60kg位だが、150kg位までは耐えられるのではと推測している。

4.強度が問題とならない場合
  例えば私の作る引出しは殆どの場合ネジや木ダボ併用の接合力強化は施していない。 要するに木工ボンドの持つ接着力
  だけをあてにしているのである。 現在までにその様な方法で作った引出しは合計で70個ほどになるが、強度不足とか壊れて
  しまったということは発生していない。 無論それらは軽荷重であり一番弱いと思われる曲げ荷重でも30kgを超えることはない
  と思う。 但し木工ボンドでの接着時の密着度を確保することは重要なので、隠し釘を使って密着度を高めている。



今回のお話は以上だが木工ボンドを使った接合について最後に注意点を申し上げておきたい。

上記で述べた接合力は正しく木工ボンドを使用した場合に始めて得られる。 正しい使用とは、接着される面の密着度が十分に高いことを意味する。 接着面に隙間が出来たり、あきらかに木工ボンドだけで繋がっているような場合には得られる強度は大幅に下がってしまう。 これを避ける為に、ネジ、隠し釘、仮釘を併用したり、完全固着するまでクランプを使用したりするわけである。
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