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家具転倒の防止策
 
2006/06/30 (以前D.I.Y.雑談に含まれていたものを再編集しました。)

最近大地震発生の可能性にたいする関心がかなり高まっているようだが、日曜大工で簡単に出来る地震による家具転倒防止法に付いて触れたい。

1.不充分な転倒防止
  地震による死者や負傷者の中で、その原因が家そのものの損壊によるものは別として、倒れてきた家具で怪我をしたとか、
  下敷きになって亡くなった方が結構多いと言われる。 このような観点から、家具転倒防止対策を考える方も結構いるのでは
  と思うが、その方法によっては不充分なこともありうる。 そこで以下を読んでいただき、万全の備えをお勧めしたい。 
  無論転倒防止策をやられていない方は、この際早めに対応されたほうがよい。

2.家具の揺れ方
  地震には横揺れと縦揺れの2つが存在するのだが、縦揺れで家具が転倒・破壊されるような場合には、家屋そのものが先に
  倒壊してしまうことが多いらしく日曜大工的な解決策は困難と言える。 従ってここでは横揺れに対する対策を考えたい。
  時々地震対策と称して、家具の上部を壁や天井に固定しているのを見受けるが、これだけでは不充分な場合がありうる。
  その理由は揺れによる転倒の仕方がそう単純ではないからで、物体が持つ慣性と、ある振動周期で発生する共振により思い
  がけないような挙動を家具が起こす可能性があるためである。

3.慣性について
  慣性とは、「物体が現在の状態(動いているか又は静止しているか)を保とうとする。」いう性質を指している。 
  ようは、動いているものはそのまま動き続けようとするし、止まっているものは止まったままでいたいのである。 
  (既得権にしがみつこうとしている何とか族議員みたいなもの?!) 
  この働きは物体の重量(正確には質量)が大きければ大きいほど強くなる。

4.家具の挙動
  大きな地震が来たら家具はどうなるか? 仮にあなたが部屋の中に立っていたとしたら、家具が横に揺れ出すか滑り出す
  ように見えるはずである。
 というのはあくまで家や床を基準にした相対的な現象であり、実際に揺れているのは家や床
  で、家具は止まった状態を保とう(慣性)としているが、あなたが立っている揺れている家(床)から見れば、家具が揺れて
  いる、或いは滑り出すように見えるだけなのである。 この時家具の重心が上のほうにあると、家具上部の揺れが大きく見
  え、手前側に転倒しやすくなる。 

  一方重心がかなり下にあり、床が滑り易いような例えばワックスで磨いたフローリング仕上げであると、家具全体が横にスラ
  イドしやすくなる。 私自身比較的大きな揺れで全く固定していなかった家具が横に移動したのを目撃している。 こういった場
  合、家具の上部だけを固定していた時には、家具の下部のみ壁と反対方向に滑り出す為、最悪のときには上部固定部分が
  外れて前述とは逆に壁側に転倒する可能性がある。 但し床との摩擦力が高いような、例えばカーペットの上に乗っている家
  具はこのような転倒の仕方は起こりにくいが。

5.物体の共振
 地震の揺れで物体が揺れるメカニズムは4. で述べたように単純ではな
 く、共振現象が伴った場合には小さな揺れで大きな被害に繋がること
 があり特に要注意のテーマだ。

 物体の共振について釣り竿で説明しよう。(左の図) 釣り竿を上下に
 振ると穂先に向かって湾曲し図の上のようになるが、竿を振るスピード
 (正確に言うと一定時間内に振る回数)を上げて行くと、振り降ろした
 瞬間に穂先が下を向き、振り上げた時に穂先が上を向<ようになる。

 更に上下に振るスピードを上げて行くと穂先は殆ど上下に振れずに、竿
 の間がもっとも振れ出すようになる。 これが共振現象であり一番振れ
 ている部分が腹、振れの少ない部分を節と呼ばれる。 この節に相当
 する部分の振れの量は振りの周期に依存しており振る力にはあまり関
 係ない。

 この釣り竿を使った実験は、揺れに対してどのようなことが起きるかを
 暗示している。 家具は釣り竿のようにしなやかに曲がらないから、こ
 の実験のような光景は見られないが、曲がらないだけであって曲げよう
 とするような力は働く。 すなわち横揺れによって一番揺れる力が働く
 のは必ずしも家具上部ではなく中間の場合があり得る。  例えば2段
 積みの家具の場合でこのような状態になると、家具の積み重ね部分が
 くの字型に折れるように転倒してしまうことが起こり得る。  これは揺れ
 の強さではなく揺れの周期に依存しているためたちが悪い。


6.対処法
  これらのことから家具の転倒防止の為に上部だけを固定すれば大丈夫と考えるのは十分でないことが理解できると思う。
  地震による揺れは、例えばお相撲さんが家具をヨイショと押して倒すのとは全く訳が違うのである。

  壁への固定は最低でも、家具両脇の上部と下部計4箇所を、壁或いは間柱に固定したい。 家具の移動の時のことを考
  えて、L金具などを木ネジで固定するのが良い。 天井に固定するのは構造体の強度が大きくないのであまり効果を期待で
  きない。  また2段積み家具の場合には、上下を何らかの方法で締結することを考えねばならないが、ここ数年で使われ始
  めた地震対策用の特殊プラスチックパッドは共振・振動を吸収する能力が高いため、これを間に挟むのも効果的でこの場合家
  具を全く傷つけないで済むメリットがある。mini-Shopにてこちらから購入できます。)

  嵌め込みの作り付け収納家具は、床、天井、壁に容易に固定できるので家屋と一体になり最も万全な対策と言える。
  私が嵌め込み作り付けの家具に拘る重要な理由の一つだ。

7.家具内容物の保護
  家具の転倒防止は以上の方法でうまくいっても、家具の扉が開き戸の場合には扉が揺れで開いて中のものが滑り落ちて壊
  れてしまう恐れがある。 このような場合には地震のような揺れが加わっても扉が開かない構造としなければならないが、普
  段はそれを意識せず普通に使えるものであるもののほうが良い。 その様な目的で開発された感震君は絶妙な構造になって
  おり是非とも試していただきたい部材だ。(これもmini-Shopで販売しており、こちらから購入可能です。)

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