HOME
サイトマップ
アマ的手法
材料
工具
作品一覧
リンク
mini-Shop

テトリス型収納ボックス
2003/06/19

 手ごろな価格でいろいろ組み合わせの出来るカラーボックスと言う商品があります。
1辺が約300mmの立方体に近い箱で、積み上げると楽しい収納スペースが出来る物ですが、ホームセンターで何気なくこのカラーボックスを見て家に戻ったら家内がテトリスで遊んでいました。

 ロシアのアレクセイ・パジトノフという人が発明した余りにも有名なゲームであることは今更説明するまでもないのですが、テトリスの7種類あるブロックが次々と落ちてくるのを見ていて、あっこのモチーフとカラーボックスを一緒にしたら面白い収納ボックスが出来るかも? と考えました。

 テトリスの7種類のブロックと言うのは、左の図のようにそれぞれ正方形4個ずつを使い貼り合わせたようになっています。 その内の2.3.4.5.は反対に引っくり返すと全く同じ物になりますから、5種類と言えないこともありません。
 (ゲーム中のテトリスは反対に引っくり返せませんから7種類のままですが。)

 収納ボックスとして5種類で行くか7種類とするかはもう少し検討する必要がありますが、これを実用品として実現するには詰めねばならない問題があります。

 それは大きさで、各ブロックを構成する正方形の1辺をカラーボックスと同様に300mm程度とする と、積み上げた時の高さがかなり大きくなってしまいます。  重量もそれなりにかなりのものになりますから子供がひょいひょいと積み替えて収納の仕方を変えるのは高さが高くなることも含めて難しいと思いますし怪我をしやすい危険性も出てきますし、無論使用する材料の量もかなり多く必要となります。

 正方形の1辺を半分の150mm位にしたら重量も積み重ねた時の高さも半分になるわけですが、こうすると入れられる物の大きさの制限がかなり出てきます。

 また各ブロックの仕切りとなっている部分を取り払えば入れられる物の大きさ制限は随分緩和されますが、この場合材料切断寸法の種類が幾つか出てきてそれらの間の誤差があると組み立て後にしっくりと積み上がりませんから、製作の難易度が急に上がってしまいます。 その上箱の強度も低下します。

 ということで発想としては面白いし設計を旨くやれば夏休みに子供と一緒に作るテーマとして好適なので、うまい妥協点がないものかとまだ検討中ですが、近いうちに実現して発表したいと検討を続けています。



2003/06/26

設計

 その後更に検討を加えた結果実用性が高い設計法を考えましたのでご紹介します。

 第一に考えたのはブロックを構成する箱を単純化し作りやすくしようということです。 テトリスは7種類のブロックから成り立ちますがその内2種類は前後を反対にしたものですから、基本は5種類です。

 従って5種類のブロックを製作することにした時正方形の箱は、5 x 4 = 20個必要となります。 これは製作が大変であるのと材料も沢山必要となりますので、左の図のように長方形の箱を組み合わせてブロックを構成することにしました。

 但し凸型のブロックは長方形だけで作れませんので長方形1個と正方形2個のブロックで作ります。 こうすることにより作る箱の数は11個で済みます。

 また箱の組み方も通常の接ぎ方を変えることにより箱を作る板材の寸法が2種類(450mm x 219mm219mm x 219mm)あれば可能になり、これは切断誤差を少なくする効果があります。

 第二に大きさです。
カラーボックスのように300mmを1辺とした箱にすると積み上げた時にかなり高くなりますし、1個の重量も当然大きく子供が取り扱いにくくなります。 無論材料も沢山いります。

 色々考えた末長方形の外寸を462mm x 231mmとすると極めて
 板取りが良くなることに気が付きました。 (参考:板取り図

 板厚は12mmを考えていますから内寸では438mm x 207mm
 なります。 カラーボックスよりも小さな内寸ですが立てた時には
 438mmありますからカラーボックスよりも縦長の物が収納できま
 す。(例えば大きな本や人形など)  また正方形の箱は、
 外寸231mm x 231mm、内寸207mm x 207mmです。

 こうすることで子供でも扱える範囲の大きさと重量になります。

註)寸法を変更したい方へのヒント

場合によっては私の設計したものより大きく或いは小さくしたいと考えられる方がいるかもしれません。 

そのような場合には次の計算式で切り出す板材の寸法を算出し直し、板取を検討すればよいでしょう。
計算例は内寸130mm、板厚12mmのCDケース用を示します。

 長方形の長辺外寸 = (短い方の内寸 + 板厚 x 2) x 2
 計算例: 長方形の長辺外寸は、(130 + 12 x 2) x 2 = 308mm

 長方形長辺用板材の長さ = 長方形の長辺外寸 - 板厚
 計算例: 長方形の長辺用板材の長さ = 308 - 12 = 296mm

 長方形短辺用と正方形用板材の長さ = 長方形の長辺外寸÷2 - 板厚
 計算例: 長方形の短辺用と正方形用板材の長さ = 308 ÷2 -12 = 142mm


以上の計算結果に奥行きの寸法を決めた上で、板取りを検討します。 必要数量は長辺用板材が18枚、短辺用と正方形用が26枚です。

























製 作

 前述の設計に基づいた製作例をご紹介しますが以下の点を念頭に置いています。

 1.低廉な費用
   私の製作例では、板材が12mmOSB2枚(計\1540.-)、とネジ168(箱単位で買ったが使用した量は約\100.-)
   合計\1722.- (消費税込み)で済みました。(塗装する場合には別途かかります。)
   完成した収納ボックスの容量に対し懐に優しい出費で、カラーボックスよりかなり格安です。

 2.1日で組み立てが終了すること
   切断は全てホームセンターでやってもらうことを前提に考えていますので、自分でやる作業は組立だけです。
   その組み立ては2人でやると大変効率的ですから(無論一人でもやれるが)、親子で組み立てるのをお奨めしたく夏休み
   の工作テーマにとした所以になっています。  そして1日で組立作業は終ります。

   (私の場合1人で作業し合間に写真撮影という余計な時間を含みながら急いで作ったわけではありませんが、5時間で終り
   ました。 従って以下に説明する注意点を守れば落ち着いてゆっくりやっても1日で完成します。)



使用材料:

 OSB(1820mm x 910mmの物) 2枚: 
   OSBの表面が嫌いと言うことであれば、ラワン合板かシナ合板になりますが、ラワン合板は1枚\2,000-\2,500、シナ合板
   は1枚\5,000と高価になります。 コンパネは大きさが小さくて今回の板取り用には使えません。

 ネジ:
   長さ25mm軸細コーススレッドネジ168本使いました。 なかにはネジがバカになってしまうケースがありますので、
   そのような場合用に35mmのものが10数本あると好都合です。

 木工ボンド:


使用する道具:

 電動ドリル・ドライバー: 私はリョービFDD-1000を使いました。 ネジ締めのトルクを5-7に設定して使います。

 ドリル: 太さ2.5mm-2.7mmの金工用を下穴あけに使います。

 ドライバービット: プラスの2号

 玄翁(ハンマー): ずれを修正するのに使います。

 曲尺(指金): 直角度確認用

 濡れ雑巾: はみ出た木工ボンド拭き取りよう。


切断加工
  全て板材を購入するホームセンターでやってもらいます。 板取り図を持参して切断してもらいます。 特に450mm219mm
  の寸法が正確になるよう確認した方がよいでしょう。
  切断回数が多いのですが切断寸法は3種類しかないので、板を数枚重ねて切断することにより切断費用を節約できるホー
  ムセンターもありますので、相談してみると良いと思います。
  (普通パネルソーは50mm厚位まで対応できますので、一度に4枚を切り落とすことが可能です。)


組み立て作業
  長方形の板18枚と正方形に近い板26枚を以下の写真と解説に従い組み立てます。

細長く大きな板18枚、正方形に近い板26枚を組上げます。

この図に従い全ての板に下穴(貫通穴)をあけておきます。

穴あけに使ったドリルと穴のあいた板のクローズアップ
(下のほうに3個のうちの2個の穴が見える。)

長い板の穴のあいていない方の木口にボンドを塗ります。

塗るボンドの量はこの程度が適当です。


ボンドを塗った面をテーブル端に置き小さな板の穴をあけた側を当てて両方の板をテーブル面に押し付けながらネジを締める。 これが基本です。

具体的には右側のネジから。 左脇で小さな板を挟みながらテーブル面に押し付け、左手は長い板をやはりテーブル面に押し付けています。 指先は段差が出来ないよう調節をしています。 そして右手で電動ドライバーで締め付ける。
次に左側にネジを締めますが左手の指は長い板と短い板がテーブルに押し付けていることには変わりありません。 これが終ったら真中のネジを締め付けて一箇所終了。

このように段差なく接合できれば完璧ですが、0.5mm以内の段差であれば良しとしておきましょう。

組上げてL字型になったものはノギスで接合部の直角が出ていることを確認した上でこのように寝かせておきます。

L字が全て組みあがったら最初に組んだL字2組を同様に接合し箱にします。 出来た箱は横に2段重ねて隣に縦に置けばご覧のとおり高さがぴったりと一致します。


その箱を重ねてネジを斜めに打ちながら締結し図のように5種類を組上げます。 (後でいろいろ組換えが出来るようはボンドを併用しません。 またネジを斜めに打たないと先が飛び出る危険性があります。)

組み立ては以上で終了です。 出来上がった5種類のブロックの形が判るようランダムに積み上げました。

ブロックの積み方は実に沢山あり、好みで考えれば宜しい。

これは階段状になるよう工夫した積み方です。




2003/07/03
塗 装

出来上がったボックスは無塗装のままでも構いませんが、塗装をした方が遥かに見栄えがよくなります。 ここでは1例として水性塗料での塗装について解説します。

水性塗料は塗料に求められる本質的な要素である塗幕の丈夫さや耐久性においては油性塗料にかないませんが、水が溶剤であるための扱いやすさと乾燥の速さがとりえです。
このテーマは親子で作ると言う切口で考えておりますから扱いやすさの点で水性塗料はもってこいであり、2回塗りが1日で終了します。

使用する塗料は外側はOSBの表面処理をそのまま活かすことにして箱の内側用に5色、縁の塗装に白と計6色使いましたが無論それらの選定は自由です。 使用する刷毛は幅30-50mmのものと幅10mm程度の狭い工作用の刷毛を使いました。 絵の具用の筆でも代用できないことはありませんが、腰が不十分で塗装にはあまり適していません。 以下例により手順を写真と補足説明でご覧下さい。

使用したアサヒペンの水性屋外用ウッドライフカラー。 
無光沢ですが各社から同様な物が販売されています。

塗り方の基本その1で、先ず内側隅を塗ります。 隅から板の両方向へ良く伸ばすこと。

隅から板に沿い充分に塗料を伸ばすことで塗装境目の段差が目立たなくなります。

片側が終ったら反対側の隅も同様に仕上げます。

次が隅と隅の塗装部分を繋ぐように間の部分を塗って行きます。 極力塗幕が均等になるよう伸ばします。

内側の塗装が終りましたら、木口の塗装を細い刷毛でやります。 若しはみ出て板の面に回りこんだ場合には、濡れ雑巾で拭き取りましょう。


註):
 メーカーが1回塗りでOKと説明しているような塗料でも、2回塗りのほうが仕上がりは良くなります。
    理由は1回塗りで塗りつぶせないからで無理やり厚塗りすると仕上がりが悪く乾燥も遅くなります。

    5色の塗装を1本ずつの刷毛で次の手順で行えます。

    1.1色目で1つ目の箱の内側を全て塗って乾燥。(塗装時間1個辺り約15-20分)

    2.刷毛を流水でよく洗い次の色で2つ目の箱を塗装して乾燥。

    3.同様に刷毛を流水でよく洗い次の色で3つ目の箱を塗装して乾燥。

    4.以下同様に続け5つ目の箱の塗装が終ったら、1つ目の箱の2回目の塗装。

    5.これを繰り返して5つの箱の2回塗りは2.5-3.5時間で終了します。 1回目と2回目の間が1時間以上空き
      ますから2回塗り前の乾燥時間が十分取れます。

    6.木口の塗装のやりかたは、木口には沢山の穴があいているので、塗料を塗る感覚だけでは塗りつぶせま
      せんので、「塗料を置いて行く」或いは「塗料を押して行く」感覚を交えてやります。 このため厚塗りとな
      りますから1回塗りで十分です。

      所要時間も平面塗りよりも掛かりますが慎重に進めます。 塗料が回り込んだり垂れたりしやすいです
      が、そのような場合にはすぐに濡れ雑巾で拭き取ってやります。 (塗装時間1個辺り20分前後)

   片方の木口を塗装したら乾燥させ、1度刷毛を十分に流水で洗ってから次の箱に移ります。  同じ手順で1つ
   の箱の塗装が終るたびに刷毛を洗いながら5個の箱の片方の塗装が終了したら最初の箱に戻り、反対側の木
   口を塗装します。 木口塗装の所要時間は3.5時間位で済むと思います。

   1工程の塗装が終了する都度刷毛を水で洗うのは、刷毛の根元に沁み込んだ塗料が固まってしまうのを避け
   るためで、一見面倒なようですがこうすることにより1本の刷毛で何色もの塗装が出来、刷毛の腰の具合が変
   わらず寿命も長くなります。
 



塗装が終了し使用開始したテトリス型収納ボックス。 
5色が変化をもたらし楽しい雰囲気です。

全景です。 どちらかというと高さの低い物の収納を優先していますが、逆の設定も可能です。



追記:

出来上がって実際に使ってみての感想ですが、1辺を30cm前後とした設計としてもそれ程大きくなって扱いにくくなることはないのではないかと感じました。(全てのサイズが約1.5倍になる。) また今回は5個のブロックとしましたが、本物のテトリスと同様7ブロックとすることで更に面白い組み合わせが可能になります。

----- 完 -----


Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.