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新たな部材のテスト
2009/07/10

LED化電気スタンドが完成した!と思ったら何と私が愛用しているDMM(デジタルマルチメーター)が突然不良になり修理のためメーカーに返品しました。 と言うことは暫しの間電気回路の実験や測定が出来なくなります。 また近い将来のテーマに使えるのではと購入手配していた物が入荷しましたので、少々息抜きを兼ねてそれらの試用実験をしておこうというのが本稿のテーマです。

購入手配した物は8φの白色LEDと5φのリフレクター、レンズセットです。 何れもメーカー不詳の1個或いは1セット\50という格安品で、お金の無駄遣いに終わるかもしれないという半ば怪しげな代物です。

 前者の8φLEDは左の写真を見て判るように、大きくていかにも明るそうな感じがし
 ます。(右は雷神です。)  スペックはVfが3.0-3.4V、If20mA、明るさが13,000-
 16,000mcd、半値角20°となっています。 明るさの13,000-16,000mcdというの
 は明るい部類に入りますが半値角が20°と狭いので、総発光量は最近の高輝度
 LEDには遠く及びません。 写真で見た色味も純白ではなく青白い感じがします。
 どうやら一時代前の製品で価格相応?という感じがしましたが、私は半値角20°
 に興味があるのと8φという大きさから来る外見上の押し出しの強さという2点で10
 本注文してみました。

 というのはコンパクトな携帯型LEDランプ(従来の小型懐中電灯)の実用品を作ろう
 とした時に、光量と照射角をどうするかが非常に難しいと考えています。 無論光
 量が大きくて照射角も大きければ問題ないのですが、消費電力も増大しますから
 どんどん外形が大きくなり、とてもコンパクトと呼べない物になってしまうからです。

実は私は現在製作中のLEDフラッシュライトの構想をまとめる段階で比較テストした大型の電球型フラッシュライトの照射特性を、使い物にならないくらい狭い!と評価しています。 実測で1m離れた距離でたった直径150mm程度の範囲しか明るくなかったからです。 これを照射角で言うと約8.6度になります。

しかし良く考えてみると照射角を狭くするのは総発光量が少ないときに照射範囲の明るさ増大の格好のテクニックとも言えるわけです。  電池の消耗を抑えたいというのは発光量を制限しないとならない!というのとほぼ同じですから、実用上支障の無い範囲で照射角を狭くするのは電池の消耗を抑えながら明るくするために意味のあることです。  このため狭い半値角20°に興味を覚えたわけです。  まあ1本\50ですからいたずらには絶好という理由もありますが。

 次の5φのリフレクター、レンズセットも上記と似た理由があります。 実はリフレクタ
 ーには殆ど興味がなくレンズにのみ興味を持ちました。 上で触れたように照射角
 を狭めれば照射範囲の明るさを増大することが可能ですが、凸レンズを使って集光
 してやるのもその方法のひとつだからです。

 それを実験してみたくてこれまでにレンズメーカーの処分品などを色々物色してい
 たのですが、最低でも1個数百円するものばかりでした。  ところがこれはセットで
 \50という価格です。 レンズ以外に含まれるリフレクターやブッシングは捨ててし
 まっても惜しくはありません。  但しスペックは全く判りませんから実験してみない
 限り使い物になるかどうかは判りませんが、簡単に調べた範囲では平凸レンズと
 呼ばれる表側が球面裏は平面のレンズで直径は11mmでした。 また焦点距離は
 約17mmです。 プラスチックの成形品ですが見た感じでは歪も少ないようです。

てなことで、8φのLEDは気の毒にも高性能の『雷神』との比較を、そしてレンズはそれら8φLED」と雷神に組み合わせて効果を確認ということになりました。  今回のテストでは電流設定はDMMがないので残るアナログテスターを使っています。 測定値にあまり信頼性は期待できませんので、本当にラフなテストとお考えください。 最初に撮影した写真をお見せしておきましょう。

8φのLEDに規定の20mAの電流を流し1mの距離からの照射状況。 白色LEDと言ってもかなり青みがあります。 また光学系の設計が悪いのか中心がやや暗くなっており若干いびつな楕円状ですが、照射範囲は直径の平均が720mm、中心の明るさは9ルクス、周辺では1ルクス強でした。 右はレンズをLEDに当たるよう被せてやった状態で、照射範囲は直径の平均が200mmと狭くなりましたが明るさは74ルクスとぐんと明るくなりました。 また中心が暗いのも解消されています。 これまで使ってきた大型フラッシュライト(右下の写真)よりは照射範囲が広く変な明るさの斑もありません。

こちらは雷神を使ったテストです。 左はレンズ無しで照射範囲は大きくはみ出して測定不能です。 メーカーのスペックでは半値角は80度で計算すると1700mm程あります。 明るさは中心で11ルクス、650mm離れた所で3ルクスとレンズ無しでは8φのLEDより明るく照射面積が大きいため総光量は文句無く大きいです。 レンズを同様にLEDの先端に当たるよう被せたのが右です。 照射範囲は直径が1300mmに狭まり、中心では22ルクスに上がりましたが周辺での明るさはほぼ同じ3ルクスで変わりありません。

たった2種類のLEDとの組み合わせですから、これだけで全てを物語るのは無理にせよ、組み合わせるLEDによって随分と違いが出ます。 従って今後更に照射角度の異なるLEDとの組み合わせを色々実験しないとこのレンズがどこまで使えるのか良く判らないなあ!というのが率直な感想です。 その前提に立って取り敢えず次のようなことが確認できたと思います。

8φLEDは1本使用では明るさ不十分で実用レベルとは言いがたいがレンズを被せると飛躍的に明るさが増加し、1mで74ルクス、50cmで300ルクス近く得られ十分な実用レベルの明るさになる。 但し照射範囲は1m離れて直径200mmと小さくなる。(角度にして11.4度)  仮にアルカリ単四乾電池2本とDC-DCコンバーター(変換効率80%)を使って駆動すると、平均消費電流は35mAくらいと想定されるので30時間位の点灯時間が期待できるし単四1本でも10時間を越える駆動時間を取れるかもしれない。

雷神にレンズを被せた時にも集光効果はあるがそれによる増加は2倍程度と8φLEDの時より効果が低い。 これはレンズの大きさ(直径約約11mmの平凸レンズと考えて良い。)が雷神の照射角に対し不十分で十分に光りをかき集められないためと想像する。 その割に照射角はぐんと狭くなる(約66度)のでレンズを使う意味は殆ど無い。 雷神1本をアルカリ単四乾電池2本とDC-DCコンバーター(変換効率80%)を使って駆動した場合平均消費電流は88mA程度と想定されるので9時間程度の点灯時間で単四1本の場合には4時間程度の駆動時間となるだろう。

LED1本のみ(放熱対策不要の)のアプリケーションを考えた場合、コンパクトさと電池の寿
命を勘案すると、元々照射角の狭いLED(今回購入した8φLED)にレンズを組み合わせた
構成は、更に照射範囲が狭くなる問題はありながら、電池の寿命と明るさと言う点で実用
上のバランスは意外にも良いのでは?と思います。
照射角が狭いといってもこれまで使ってきた大型のフラッシュライトよりも広くて明るさの斑
がありませんから使い勝手は良さそうな気がします。 また照射角をもう少し大きくしたかっ
たら焦点距離が少し長いレンズか半値角が大きいLEDを使えば良いわけです。
こんな観点から8φのLEDを使った作品の構想を詰めたいと考えていますが、その為には小
型で変換効率の良いDC-DCコンバーターをなんとかしないとなりません。

尚誤解なきように願いたいのですが、今回のテスト結果は『雷神』が劣ることを示唆してい
るわけではありません。 もっと直径が大きくて雷神の発光を十分に拾えるようなレンズを
使えれば結果は随分変わるはずで、今回使ったレンズが役不足だということです。
その辺りは右の図でご理解ください。 かなり特殊な形のレンズが必要になります。



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