HOME
サイトマップ
アマ的手法
設計/検討編
加工/塗装編
情報/協力編
材料
工具
作品一覧
大型作品
小型作品
特殊作品
日曜大工入門
リンク
mini-Shop
木材の反りについて 2
2005/01/21
反りを修正する方法
前回の説明でお判りのように板材を充分乾燥させてからカンナを掛ける!というのが反りを最少にする方法だから、使おうとする材料に反りがあった場合その対策法としては面をカンナで削ることが難しいアマチュアの対策法はどちらかというと、
「そりの少ない板材を選別する!」
という消極的な方法しかないといってよい。
しかし板材の幅が狭い場合には実用に耐えられる方法
を取れる。 それは左の図のようなもので、板の表面
の出っ張っている部分をカンナで大雑把に削り取りその
後で
#60-#80
の粗いペーパーを取り付けた電動サンダ
ーで削り落とし平らにしてから
#120-#240
のペーパー
に替えて更に研磨する方法だ。
この場合カンナの役目は出っ張りを削り落とすことにあり
平らにするのは電動サンダーということになる。
電動サンダーで
#60-#80
のペーパーと組み合わせは
意外なくらいの切削能力があり
0.5-1.0mm
位削り取る
のはあれよあれよという間に可能だ。
この方法で完全に平らにするのは無理だが、実用上支
障のない程度に仕上げるのは電動サンダーが削り取る
際の癖さえつかめば難しいことはない。
実例として郵便受けの製作で安かったため反った荒材
を敢えて使用した際の、面の作業の様子を以下の写真
でご覧頂きたい。
荒材の加工前の状態。 反っているだけでなく表面はざくざく。 年輪の曲率が大きくなるように反っていることが判る。
天地が逆さになったが上の写真の板の凹面を平らにしたところ。 完璧とは言いがたいが実用上問題ない程度に平らになった。
もうひとつ反りを軽減する方法をご紹介しよう。
これも消極的な方法だが、反って凹面になった側に木目と平
行に溝を切ってしまうことによる。 この溝をデザインの一部と
して処理できるのであれば有効と言える。
具体的には凹面側を溝を切った後に軽く絞った雑巾で濡らし
てしまう。
(凸面側は濡らさない)
すると殆ど反りがなくなるか
或いは逆反りを生じ、乾燥すると共に元に戻って来るのだが、
溝を切る前ほどの反りにはならない。
(左図参照)
人造木材の反り矯正
一方人造木材の場合どうであるかというと先週述べたようにそりの発生するメカニズムや発生原因は複雑であり、結論から言って簡
単な方法はないと断言せざるを得ない。
かなり力技的な方法として専用の金物を使う方法がある。
扉などの大物でも有効で反り矯正の程度を調節も可能だが、
価格が高いことと凸面側にしか取り付けられないこと、そしてこの
金具の存在が目立つ!という問題がある。
(右図参照)
大きな扉で普段は目に付かない裏側が膨れ上がるように反ってる
場合には
(表から見て凹んでいる)
簡単に取り付けられて効果的。
(
mini-Shop
で1セット
\3,000.-
で取り寄せ可能です。)
従って唯一取れる方法としては材料の選別しかなく反り矯正の補
強などが入れられない合板1枚の扉などでは板取りを無視しても反りの少ない部分を使うしかない。
反りの増大に注意
製作中は反りがなかったにも拘わらず後で反りが出てしまったとい
う事がある。 これは乾燥が充分であっても起こりうることで、一言で言うと表裏で異なった仕上げ処理をした場合である。 ここで言う仕上げ処理とは、塗装、紙貼り、壁紙貼り、突き板貼りなどを指す。
それぞれの仕上げには仕上げに使う材料の収縮率や水分の吸収率が異なることにより、表裏で違った仕上げをすると、収縮率の違いが発生し反りに繋がる。 例えば塗装を例にあげると、表面は油性ニス仕上げとし裏側は見えないからといって無光沢の水性塗料を塗ると、油性ニスと水性塗料の乾燥時の収縮率の違いと乾燥後の水分の吸収率が水性塗料のほうが大きいことからニスを塗った表面が凹むように反ってくる。 扉などにこのような処理をすると致命的なことになる。
従って大きな反り防止の補強が入らない1枚板
(合板で作る扉が代表的)
の場合には、無条件で表裏とも同じ仕上げにしないといけない。
次に掲げる写真はこういった原因で発生した反りのサンプルで、幅が
100mm
、長さ
1950mm
、厚さ
18mm
のシナ合板の片側だけ油性ニスを2回塗ったものだが、塗装した側が収縮して反りが発生していることが明瞭に判る。
板の左の面はニスが塗装されているが
(艶による反射が見える)
、そちら側に反っている。
板の右面は無塗装
(白っぽく見える。)
の状態である。
集成材の使い方の注意!
集成材は最もムクに近い見栄えを持ちながら値段が手頃で幅の広いものも容易に入手できる大変有効な材料だが、木の小片を接着剤で繋ぎ合わせたものからくる他の材料にはない弱点がある。
集成材の木の小片一つ一つが持つ収縮度や収縮の方向は密度の違いや木目の方向の違いなどが絡み合い、ミクロ的にはそれぞれがてんでバラバラに収縮する。 この為に複雑な反りが出るだけでなく、接着面のずれや剥がれの原因になる。 この現象は合板、ランバーコア、チップボードなどにはないことである。
従ってこれが起きないような使い方をする必要があり、ベストなのは両面を油性ニスで塗装し湿気の吸い込みを抑えることだ。
(水性ニスは水分を吸収しやすいから不可!)
場合によっては木目と直角方向に補強を入れたほうが良い場合もある。 また湿気の高いところでの使用とか、両端だけで支える棚板などにも適していない。
私は仕上がりが綺麗なのでスピーカーボックスに集成材をよく使うのだが、近くのホームセンターで切断をお願いすると、そこの極めて木工に造詣が深く信頼性の高い係りの方は、
「大橋さん! 集成材でスピーカーの箱を作るのは大変でしょう?」
とおっしゃる。 正にその通りで、組立て前に見えなくなってしまう内側となる面にもニス塗りを2回施し、更に割れ防止の補強を入れているのは、製作例でもお判りいただけると思う。
以上我々アマチュアが接しやすい範疇で反りに対する心構えと対策を解説してきた。 多少はしょった部分もあるので理解しにくい部分があったら遠慮なくご一報いただきたい。
Copyright (C) 2001-2019, Vic Ohashi All rights reserved.