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着色ニスの使い方
2004/10/15

私は屋内で使用する様々な物を製作する際、最後の作業としての塗装に油性ニス仕上げを採用することが多いです。 その理由は木工材料を最も美しく見せてくれるからに他なりません。 しかしよく聞く話ですが、作っては見たものの塗装せずに白木のままでおしまいという方もおられ、片手落ちであり残念なことだと思います。

その理由の中で多いのは、塗装は難しい!、折角作った物を塗装で台無しにしたくない!といった理由が結構あるように聞いたことがあります。 塗装と言えば、塗り斑を思い出す方もおるようで敷居がかなり高いようです。

確かに塗装と言う作業は安易に取り組むと失敗しやすい落とし穴が結構ある作業ですが、突き詰めてその原因を調べてみると、面倒くさがって押さえるべき手順を省いたり、完成を急ぐあまり所定の乾燥時間を無視したり、というような原因が失敗の理由にあるように思います。

そこでここでは絶対に守るべき塗装作業の手順を和信ペイント油性ウレタン着色ニスを例にして解説いたします。

油性ウレタン着色ニスについて

ウレタンニスには2液性と1液性のものがあり、硬化の仕方でも溶剤揮発型と化学反応型など様々な種類の物があります。 物理特性だけに着目すれば、2液混合型や化学反応で硬化する物が優れてはいますが、それらの使い方はかなりデリケートな部分があります。

ここで紹介する和信ペイントの油性ウレタンニスは1液性で溶剤揮発型であり大変使いやすい物ながら、物理性能も業務用のものにかなり近しい優秀なもので、過去10年近くの私の使用経験の結果、家庭用塗料の中ではピカ一であると評価しています。

  120ml容器の着色ニス12種類   270mlのつやあり/つや消し透明にス 700mlのつやあり/つや消し透明にス


このニスの基本は透明な艶のあるものですが、これにつや消し剤を加えたもの、又は顔料を加えて着色が塗装と同時に完了してしまう便利なものがあり、その色の種類は次のように10色あります。


上の写真はメーカー提供のカラーサンプルでシナ合板に刷毛塗り2回によるものですが、薄め液を15%程加えて薄くしています。 木材が変わると発色も変化いたしますので、参考としてご覧ください。 各色の下側細い部分は1回しか塗られておりませんので、薄い色となっています。


ウレタン着色ニスを完全に使いこなす手順

以下に説明する内容はこの油性ウレタンニスで良好な結果を得るために必要な手順です。 初心者の場合特に完成を急ぐあまり、手順の一部をはしょったり、短い乾燥時間で次の作業に移ったりしたため結果が思わしくないことがあろうかと思いますが、一度だまされたと思って手順どおりに試してみてください。 また最低でも2回塗りを実施してください。 どんなに優秀な塗料でも1回塗りでは十分な出来栄えは決して得られません。


 1.塗装前の表面仕上げ
   塗装前に塗装面のペーパー掛けは必須です。 通常購入する全ての材木の表面はそのままでは塗装に適していません。
   ホームセンターで販売されている集成材で汚れ防止のためプラスチックフィルムで包んだ物に、「このまま塗装できます」
   表記された物を見かけますが、真っ赤な嘘です。 というか正確には、ニス仕上げに絶えられる表面ではありません!と申し
   上げるのが適切でしょう。

   家庭用と言いながらこのニスを正しく使うと、水性塗料などは遠く及ばない性能と仕上がりを得られますので、#240ペーパ
   ーでつるつるになるまで研磨してやりましょう。 ニス塗りがうまく出来るかどうかの半分はこの塗装前の研磨に掛かっている
   と言っても過言ではありません。


 2.ニスを薄めて使う
   塗料メーカーの容器に記載された説明では、薄めなくても問題
   なく塗れるように表現されていることが多いですが、私の経験
   ではペイント薄め液で薄くした方が遥かに塗りやすく塗り斑も
   できにくいです。

   ここで例にあげる和信ペイントの油性ウレタン着色ニスもその
   例外ではなく、10-20%のペイント薄め液を加えることにより容
   易に塗り斑発生を抑えることが出来ます。

   使用するペイント薄め液はサードパーティー製でかなり安く販
   売されている物もありますが、塗料メーカーが販売している純
   正の物を使いたいものです。 名称は同じでも僅かな成分の
   違いで塗料が分離したりするなどのトラブルを起こす可能性が
   あるからです。 


 3.刷毛には安いだけの合繊刷毛を使わない
   最近ホームセンターの売り場ではD.I.Y.用の刷毛として合繊の刷毛ばかりが並んでおり、動物の毛(殆どの場合山羊が使わ
   れる。)
の物はとんと見当たらなくなってしまいました。  無論プロ用の高価な刷毛の領域では圧倒的にヤギの毛の刷毛が
   存在していますが、それらは大変高価であり(1本\2,000以上)、とても使い切れません。 特に使い捨てにしなければなら
   ない塗料の場合にはそのコスト負担は馬鹿にならないです。
   そのうちに合繊刷毛と山羊の刷毛との比較実験を紹介したいと考えていますが、塗り斑を防ぐ方法のひとつは良い刷毛を使
   うことにあります。  その点でmini-Shopで販売している和信ペイント製のニス刷毛はアマチュア用に極めてよく出来た刷
   毛で、価格も手頃でありお奨めのものです。

和信ペイント製の山羊の毛100%で作られた良質の刷毛。 合繊刷毛とは比較にならない仕上がりが得られる。


 4.塗装方向は木目方向と一致させる
   時々見かけるのだが、塗装に際して木目の方向を全く無視してそれに直角の方向に平気で塗っている光景に出くわします。
   これは非常識この上ないことです。 とういのは、刷毛目が若干発生しても木目と平行に塗装することにより、木目の流れに
   溶けこんで目立たなくなってしまいますが、木目と直角方向に塗ればその僅かな刷毛目がもろに目立って見えるからです。

   隅の部分でどうしても木目方向に塗りにくい部分に出くわすことが時にはありますが、そのような場合木目と直角方向に塗っ
   た後、間をおかずに平行に刷毛を移動させ慣らすようにすればよいです。


 5.塗幕の厚みに注意
   塗り厚は塗った後に僅かな刷毛目が残っても塗料が流れると言うか表面張力で自ら平らになるような状態が最適です。
   薄すぎれば表面張力で平らになることがなく、最悪の場合にはかすれが出てしまいます。  一方厚すぎると塗料溜まりが
   出来易くなりますし、最悪は表面だけが先に乾燥して中の塗料の乾燥が極端に遅れるため、全てが乾燥した時には表面が
   縮んでしまい、修復が極めて困難なちりめん状の表面となってしまいます。

   塗り厚の適正値は口頭や文章で表現することが難しく、色々試して頂く必要がありますが、これを会得すれば同じところを何
   度も塗りなおす必要は大幅に減りますし、塗り斑防止に直結します。


 6.乾燥時間をきっちり守る
   重ね塗りする前に充分に乾燥させることは極めて重要。 既に塗った部分が生乾きのまま塗り重ねると、生乾きの表面が溶
   けて大変汚らしい塗り斑の原因になるからです。  和信ペイントのニスでは20℃3-4時間の乾燥時間と記載されていま
   すが、重ね塗りは6時間以上経ってからにしましょう。 安全値としては長めの方がよいので1晩寝かすと考えるのもひとつの
   手です。  当然1日で数回の重ね塗りを完了するのは不可能であり、私の場合3回塗りする場合どんなに仕上がりを急いで
   も、朝に一回目の塗装をし、夕方に表面研磨した上で二回目の塗装、一晩寝かして翌朝研磨してから三回目、その夕方に
   乾燥終了!のようにしています。(冬には更に数時間乾燥時間を長く取る。)


 7.重ね塗り前の研磨
   重ね塗りの前には必ず#400ペーパーで表面を研磨します。 2回目の塗装前の研磨は表面のザラツキを取るような感覚で
   すが、3回目以上の塗装前ではザラツキというよりも表面を平滑にすることが目的になってきます。 
   ニスが充分乾燥した上での研磨であると、研磨屑は細かな白っぽい粉状になりますが、研磨終了後は濡れ雑巾でよくふき
   取ってやりましょう。

   鏡面仕上げやピアノ仕上げと呼ばれる充分に艶の出た滑らかな面とするためには、最低でも5回塗りが必要となると思いま
   すし、その場合にはペーパー掛けもさらに目の細かな水研ぎペーパーで、塗装面に水を掛けて研磨というような作業が必
   要になります。 これは大変手間の掛かる作業ですが、そういった目的にもこのニスは充分耐えられる製品です。



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