2004/10/01
木工作業において使用頻度の高い接着剤というと木工ボンドであるが、エポキシ系の接着剤を使うテクニックと言うか、エポキシ系でなくてはならない状況についてしっておくと、ココゾ!!というときにその威力を発揮でき大変心強い。 そこでエポキシ系接着剤の特質とそれを生かした使い方について今回はお伝えしたい。
結論めいているが木工ボンドに対してエポキシ系接着剤のメリットは何かというと、
1.接着力が強力
木工ボンドも正しく使えば強力な接着力を発揮するが、エポキシのそれは遥かに高い。
2.金属・プラスチックの一部・コンクリート、ガラスにも良くつく
木工ボンドは木・紙以外では接着力が発揮できないが、エポキシ系接着剤が使える材料の幅は広い。 但しプラスチックにつ
いては殆ど硬質プラスチックに限られる。
3.耐水性が高い
木工ボンドや合成ゴム系接着剤が水の掛かるところではからきし駄目なのに対し、エポキシ系接着剤は水に対して大変強
い。 従って屋外工作物でその威力を発揮する。
4.充填効果がある
エポキシ系接着剤は溶剤が揮発して硬化するのではなく化学反応によって硬化する。 このため収縮率が小さく充填する目
的に使える。
以上がメリットであるがデメリットもあり、
1.使用するたびに混合しなければならない。
エポキシ系接着剤の殆どは主剤と硬化剤を棟梁混合して使うものであり、使用量だけを混合するわけだがこれが面倒であ
る。 というか使用する量を推測して混合するわけだが、多すぎれば無駄が多いし少なすぎれば再度混合しなければならず、
この辺りが厄介といえる。 一部に混合する必要のない1液性のエポキシ系接着剤が存在するが、この場合150-180度に
過熱しないと硬化しないので、これまた別な面で面倒だ。
2.割高である。
接着面積が大きいと随分割高な接着剤であることを痛感するだろう。 この辺りが気楽に使えない一番の理由かもしれない。
3.硬化に時間が掛かる。
エポキシ系接着剤の硬化時間は期待したよりも長く感じることが多いがその理由は表示にあるようだ。
例えば「5分硬化型」の場合殆どの方は5分経つと固まってしまうと思われるかもしれないが、これは化学反応で硬化が始ま る時間であり、実用強度になるには30-40分、完全硬化には12時間も掛かる。 「30分硬化型」「60分硬化型」も同様で、
硬化が始まる時間表示なのである。 この辺りのメーカーの考え方は如何な物であろうか?
硬化という化学反応は温度が高くなると促進される性質があるので、例えば「60分型」を使用しても接着部分をヘヤードライ
ヤーなどで加熱すると「5分型」程度の硬化時間になる。 硬化時間が短いほど価格は高くなる傾向にあるのと、5分以内に
接着作業を終了させないとならないのは結構厳しい場合もあるので、安い「60分型」を使って接着作業を落ち着いてやった後
にヘヤードライヤーで加熱して硬化時間を短縮するという賢いやりかた?もある。
さてエポキシ系の接着剤に含めて使用している材料として、エポキシパテの使用も結構あるので、それ
についても触れておこう。
私が愛用しているのはコニシボンドのウッドエポキシである。 メーカーの説明によれば、木工の充填
剤として最適ということになっているのだが、どっこいそれだけでなく接着剤としても大変強力であり、充
填効果が必要で且つ接着能力も求められる状況で威力を発揮する。
スピーカーの製作で音響ポートとして塩ビパイプを使う時の接着に私はもっぱらこれを使用しているが、完全硬化した後はハンマーで叩いても全くびくともしなくなる。
通常の木工パテでは決してこのようにはならない。 しかも硬化時間が長いことを逆用して接着後1週間以内であれば、
ナイフで削ったり、ペーパーを掛けたりして表面を削る。
ドリルで穴をあける。
なんていう作業も可能である。 (完全硬化すると容易には加工できない!)
使用前に2剤を攪拌する必要があるのは他のエポキシ接着剤と同様だが、主剤と硬化剤共にぼそぼその粘土みたいな物で、攪拌にはかなり力が要る。 使う量が多いと結構な力仕事だが、この固い粘土のような状態のため決して垂れたり流れたりすることがなく作業性は大変良い。
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